ネット喫茶.com

オリジナル小説や二次創作、エッセイ等、自由に投稿できるサイトです。

メニュー

いと哀れなり

原作: その他 (原作:鬼滅の刃) 作者: takasu
目次

12

そう書いて見せて一礼してから扉を閉めようとしたら水柱様が真顔で阻止してきました。

殴られるのでしょうか。

体が震えてしまうのはなぜでしょう。


"それ以上中に入られない方がいいと思います。"

そう書いて私は玄関の血溜まりに目を向けるとお二人とも眉を潜めておられました。

"どうしても中に入るなら少しまってください。"

私がそう書いて見せると扉から手を離してくださったので私は急いで玄関を掃除して二人を招き入れました。

お茶があったはずですからそれを出そうとすると水柱様には腕を掴まれますし蟲柱様には無理をするなと怒られました。

私の出すものなんて飲みたくないと正直に仰っていただいて構いませんのに。

二人の前に腰を下ろすと気まずい空気が流れました。

しのぶ「左目を見せてください。あと怪我をしているところも。」

"問題ありません。それよりも音柱様の目の具合はどうですか。"

しのぶ「お陰でちゃんと見えてましたよ。….あれは、貴方の目を移植したんですよね。」

"はい。音柱様は嫌がるかもしれませんが見えないよりはいいと思い勝手な真似をしました。申し訳ありません。"

冨岡「お前はそれでよかったのか。」

"はい。私のような役立たずの目がなくなったところで戦力にかわりはありません。"

そう書いて見せると蟲柱様は私の目の前まで来て腰を下ろすと私の前髪をかき上げました。

それを見ていた水柱様は驚いた顔をされていました。

止血程度しかしていなかったのでグロテスクでしょうね…

しのぶ「宇髄さんの手当ては完璧にやっておいて…ご自分は放置ですか。…このままでは化膿してしまいます。手当てをしますので蝶屋敷に来てください。」

"遠慮させていただきます。"

そう書いて見せると蟲柱様は少し悲しそうな顔をしました。

どうしてでしょうか。

手間が省けて喜ばれるかと思っておりましたが。

どうしたものかと頭を悩ませているとクロがしゃべり始めました。


クロ「ハヤクテアテヲシテモラエ!モウスグニンムダ!」

もうそんな時間でしたか。

私は静かに立ち上がり羽織を着て刀を持ちました。

冨岡「おい…」

しのぶ「そんな状態で任務に行かないでください!他の人に…」

そう言われることは何となくわかっていた。

弱いから。

冨岡「何故(今日任務なんだ?昨日任務があったなら)非番のはずだろう。」

水柱様の言葉に蟲柱ははっとしておられました。

しのぶ「誰かの任務をかわりにやっているんですか?!」

"弱いものは経験を積んで強くなるしかありません。"

蟲柱様の問いの答えにはなっていませんが本当のことを言うわけにはいきません。弱いのは事実ですし嘘はついていません。

クロ「テアテ!テアテシテカラ!」

私はそう言うクロに留守番を頼むつもりで頭を撫でて扉に手をかけた。

しのぶ「待って下さい!」
冨岡「待て。」

"クロを置いていきます。あとは好きにして下さい。"

そう書いた紙を二人の前に置いて私は任務へと向かうことにしました。


随分と怪我を負いましたがもう痛みなんて感じません。

その代わりに鉛のように重たい体を引きずって自宅に向かいました。

流石に蟲柱様と水柱様はお帰りになられたようで電気は付いていないようです。

しかし人影が一つ見えます。

風柱様のようです。

どうしましょうか。私の姿を見せては嫌な気持ちにさせてしまうかもしれません。

どうしていいかわからなくなると急に心臓が痛みました。息が上手くできません。

咳が出て吐血してしまいました。

咳き込む音が聞こえてしまったのか、風柱様がこちらに気付いてしまったようです。

とりあえず頭を下げなければ。

私は頭を下げていることにしました。

不死川「おィ。」

すぐにこちらに寄ってこられたのでしょうか。わざわざご足労頂いて申し訳ありませんね。

何の用かきかねばなりません。

紙と筆を取り出し私は震える手で書き始めました。

"申し訳ありません。どういった御用でしょうか。"

そういった紙を見せると風柱様は私の髪を掴みました。

不死川「何の真似だァ。口もきけねぇのかァ!」

"申し訳ありません。"そう書いて見せようとしましたが腕が上がりません。

嗚呼、こんな時に限って目眩がしてきました。

しかしここで気を失うわけにはいきません。

もうこれ以上血を流すのも辛いのですが人に迷惑をかけるくらいなら我慢しなければなりません。

私は藤の毒を毎日塗り込んで懐に忍ばせている短刀を取り出すと自分の太ももに突き刺しました。

不死川「何してやがる?!何のつもりだァ?!」

衝撃で手の震えだけは止まったので私は地面に這いつくばって文字を書きました。

"申し訳ありません。声を出せないので筆談にて失礼します。何のご用件でしたでしょうか。任務でしょうか。"

そう書いて見せている間私はその場で頭を下げ続けました。

「ゴホッ…」

咄嗟に口を押さえましたが血が止まりません。

醜い姿を晒してしまって申し訳ないです。

不死身「任務でヘマしたのかァ?」

そういって風柱様は私の前にしゃがみ込みました。
目次

※会員登録するとコメントが書き込める様になります。