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いと哀れなり

原作: その他 (原作:鬼滅の刃) 作者: takasu
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「こんにちは。あとは私がやりますから皆さん休んでください。」

村人7「いんや。ゆりえちゃんにばっかりまかせちゃいかんでな。」

村人8「そうじゃな。…それにしてもゆりえちゃんや、また痩せたかい?ここん所体調も悪そうじゃったし、ワシらの為に無理しすぎとるやないか?」

「そんなことありませんよ。私のせいで守れなかったんです。少しくらい役にた………」

そう言って言葉がとまったゆりえは目の前の木材が思いの外重く、持ち上げられないことにかなり苦戦していた。

村人7「重いじゃろ!どれ、わしらも手伝…グキッ…アダデデデ…」

村人8「伊藤さん大丈夫かいな!」

「あっ…!伊藤さん!大丈夫ですかっ!」

ゆりえははやく腰を抑えている伊藤という村人に駆け寄りたいが持っている木材を下ろそうにもこちらもなかなか素早く動けずに困り果てていた。

宇髄「何地味に無理してやがんだ?」

煉獄「うむ!これはゆりえ少女一人で運ぶのは少々難しいだろう!」

不死川「ったく、無理すんなァ。」

無一郎「重た…。」

しのぶ「腰を痛めておられますね。…あちらで手当てをしましょう。」

甘露寺「私が運ぶわよ!!」

「み、皆さん…」

突然柱勢揃いで助けられたゆりえはおろおろと手元の木材も素早く奪われてしまい手持ち無沙汰になってしまった。


「手伝って頂いてすみません…。」

無一郎「別に。手伝うつもりで来たんだし。」

宇髄「にしても毎回一人であんなの手伝ってたのか?」

「ほとんど村の人達が自分たちで復興しています。私はほんの手伝い程度です。」

不死川「にしても無理しすぎだろォ。」

しのぶ「そうですよ。ご自分の傷の心配も少しはして下さい。」

しのぶはそう言いながらゆりえが木材を運ぶ時に開いてしまった傷口を手当てしながらそう言った。

甘露寺「力仕事なら私にまかせて!」

「いえ…そんな…」

煉獄「ゆりえ少女は無理をしすぎだ!」

「そんなことありません…。まだ努力が足りないだけです。」

村人1「手当ては終わったかい?ゆりえちゃんや、子供達が私の家にいるんだけど会いたいと煩いんだよ(笑)」

「あ、すぐに行きます。…えっと…」

村人1「鬼狩り様達だろう?もてなしておくから心配しなくていいよ!」

「すみません。よろしくお願いします。謝礼はお嬢様にあずけておきますので、皆さんで使ってください。」

ゆりえはそう言ってから柱達に一礼すると素早くその場を後にした。

そして残された柱達に村人1が話しかけた。

村人1「さてさて、湯浴みされますか?それともお食事を先にお出ししましょうか?」

しのぶ「いえ、どうぞおかまいなく…」

村人1「そうは行きませんよ?ゆりえちゃんからしっかりもてなすようにと言われてますからねぇ。…と本来なら言うべきでしょうけど、少しお話でもいかがですか?」

甘露寺「お話…?」

村人1「ゆりえちゃんの話をしようではありませんか。鬼狩りの柱の方々…」

そう言うと村人1はお茶とお茶菓子を出して柱達の前に座った。


村人1「鬼狩り様達は大変な仕事だねぇ。…命がけで鬼を狩って、私達老人さえも助けてくれて。本当にありがとうねぇ。」

そう言って村人1の山中さんが頭を下げた。

しのぶ「頭をあげて下さい。お礼をされるほどの事を私達は何も…」

山中「ゆりえちゃんはね、この村の人達が感謝する度にあなた達のことを話してくれるんだよ。…実際にあなた達を見たことがないのに、今日初めて見てゆりえちゃんの話していた柱の人達だとわかったよ。」

煉獄「ゆりえ少女が俺たちの事を!よもや!」

甘露寺「なら、私たちがひどい事をしたのは…」

山中「酷いこと…?」

不死川「何も聞いてねぇのかァ…?」

山中「そんな話は一切。…強くて素敵で優しくて、尊敬していると聞いているよ。…酷いこと…ねぇ…。そんな話はゆりえちゃんから一切聞いていないよ。…あの喋る不思議な烏は不満を零していたけど、私達には確認のしようがないからねぇ。…だけど、ゆりえちゃんが無理をしていることは明白だったよ。皆さんも見てわかる通り、日に日にやつれていって、村に来るたびに大金を寄付してくれて、それなのに本人は村人以下の風貌。…正直、とても心配だったんだよ。…でも今日初めてあなた方を連れてきて、さっきの働きぶりも見せてもらって、あなた方が根本的に悪い人ではないことがわかって安心したよ。…なにか問題がおきて誤解がうまれてしまったんだろうね。…今日皆さんが手伝ってくださった時、ゆりえちゃん、少し嬉しそうだったんだよ。…ゆりえちゃんは人に頼るのが下手だから、毎回どうしたものかと思っていてね。…無理をさせたくないけど、この村は見ての通り老人と行き場のなくした孤児達ばかり、ゆりえちゃんの手を借りなければここまでの復興は絶対に出来なかった筈だよ…。」

その言葉に柱達は俯いた。

山中「毎回助かっているんだよ。だけど、心配でたまらない。私達村人は老人達からすればゆりえちゃんは大切な子供のよう。そして子供達からすれば大好きなお姉ちゃんなんだよ。…毎回手伝いに来ては少しの休息でまた鬼狩りへと旅立ってしまう。心配でたまらないよ…。」
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