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若様の優雅なインペルダウン生活

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
目次

3人の面談の模様… その4

ペラムは二人に、一月の長期休暇を4年に1回取りたいという希望を出したことと、ドフラミンゴの休暇中の処遇について自分が提案したことを話した。ドフラミンゴに係わる部分は、本人に聞かれないように声を潜めた。

「これはあくまでも私の希望です。お二人の希望は私とは違うかもしれません。でも、休暇が一週間では足りないんです…」
ペラムがカスターとバーティに自分の考えていることを率直に話すと、二人はペラムに笑顔を向けた。
「なるほど。私は異論はありません」
「私も同じ考えだよ。何なら、毎年か4年に一度か、休暇を取る時期を選べるようにしてもらえばいい」
ペラムはやっとニコリと笑った。

次にペラムは、特別室担当の看守が増員されるかもしれないことを、さらに小さな声で話した。
これを聞いてカスターは眉をしかめた。
「マゼラン副署長がここの監視に入るのですか…。あの方は4時間しか働けませんから、私達も変則的な勤務になるでしょうね。やれやれです…」

「人が増えるのは悪いことではないですよ。多分ですが…」とバーティが言った。
「長年の習慣がこの年になって変わるというのは負担が小さくなくて…。しかし、変化には対応しなければいけませんね」
カスターは皮肉交じりではあるが、いくらか前向きな姿勢を示した。

ドフラミンゴは、看守の3人が自分にも関係があることを話しているような気配を、なんとなくではあるが感じ取っていた。しかし、話しの内容までは分からない。小説を読んでいるふりをしながら3人の密談をそれとなく探るが、看守達のガードは隙があるようでそうではないのだ。

時計を見ると、10時43分だった。もう少ししたら、バーティは面談を受けに会議室に行かなくてはならない。

「今日は面談があるので、いつもの制服でなく、支給されたほうの制服を着てきました」
バーティにこう言われて、カスターとペラムは目を皿のようにしてバーティの首から下を見た。

「…そうですか」
「きっと、着ている人には着心地の違いが分かるのでしょうね」

バーティは二人の反応を特に気にする様子もなかったが、急にそわそわと緊張しだして、今のうちにトイレに行ってこようとか、昼食の時間までに面談が終わるだろうかとか、しばらくその辺りをウロウロしていた。そして、会議室の扉の前に10時58分に到着するタイミングで出発していった。

「さて、私もそろそろ帰ります」
10時に勤務が終わっていたカスターが自分の部屋に帰っていった後、ペラムはしばらくぼんやりとしていた。

ドフラミンゴがペラムに声をかけた。
「おい、忘れてるかもしれねえから今のうちに言っておくが、今日は風呂の日だからな」

「あ、そう言えばそうでしたね」
入浴は午後からの予定なので特に問題はなかったが、ペラムは面談以外のこの日の予定をすっかり忘れていたことに気が付いた。

(バーティさん、面談が終わったらまたここに来るかな?今日は非番だけど…)

それに、明日は新しいダイニングルームに絨毯とピアノと絵を搬入する日だ。きっと忙しいだろう。
しかし、ペラムはすっかり気が抜けてしまって、今日も明日も、もう何もしたくないと思った。


バーティは会議室のテーブルについていた。向かい側には、3人の人事担当者が座っている。
(ペラムは何も言ってなかったけど、この人達は全員、見ただけじゃ女性なのか男性なのか分からないな…)

ダイナミックなゴージャスさを持つ担当者1と、凛とした雰囲気の担当者2、溌溂としたエネルギーに溢れた担当者3の3人は、バーティの目には、全員が本来の性別とは違う服装や髪型をしているように映った。

一方、人事担当者の3人は、ペラムの面談の疲れからすっかり立ち直っていた。
(まあっ、なかなか素敵なお兄サマねっ)
(お兄サマというよりオジサマですが…。この方も先程の方と同じくらい厳しい運命を背負っているので、聞き取りは慎重に…)
(私にはお兄サマっていう感じの年齢なのよっ!ふんっっ)
(キャ~、すみません~~。お許しを~~)
(担当者1さん、担当者2さん、落ぢ着いてください。ペラムさんの面談では、安全対策に関するご本人の希望は、結局聞き取るごどがでぎまぜんでした。ごの方は話して下さるでしょうか…)

目の前のバーティは、ペラムが面談の初めに見せたような激しい緊張は感じていないようだった。背筋を伸ばし、落ち着いた感じで椅子に腰かけている。

面談は粛々とした雰囲気で進められた。担当者1から新しく作られる予定の長期休暇の概要が説明され、長期休暇をどのように過ごそうと思っているのかが質問された。

「本来であれば、休暇の過ごし方を我々に申告する必要などないのですが、このようなことをお伺いするのには理由がありまして…」

バーティは軽く微笑んで、担当者1の言葉を制した。
「そのお話しはすでにペラムから聞いています。人事担当者の皆さまには、お気遣いいただいて、有難く思っています」

バーティの態度は非情に丁寧だった。人事担当者達は、バーティと向かい合って話しを聞いているだけで緊張してくるのを感じた。
「は、はい…」
「業務上当然のことですので…」
「こちらごそ、立ち入ったごどをお伺いしでしまって…」
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