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若様の優雅なインペルダウン生活

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
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海軍のとある会議の議事録(超極秘) その2

【准将1】:その後の2日間は、着目すべきことはありません。一応戦闘の経過を説明いたしますと、当主の船が襲撃を受けてから3時間後、一時的に戦場を離れていた傭兵部隊の船が戦線復帰し、第一夫人船に向けて攻撃を再開。
傭兵部隊は、この後もう1隻が参戦していますが、戦闘終結までに全て撃沈されております。

注視すべきはここからであります。
戦闘開始から4日目の未明、“空高く扇をかかげるマヌルネコとヨツコブツノゼミ”の旗を掲げた船が、もう1隻出現。この船はいずれの船にも積極的な攻撃は行わず、戦闘終結まで当主船および第一夫人船と並んで航行しておりました。

そして同日午後、空を飛んできた人物により、当主船および第一夫人船の武器が全て破壊されました。これにより戦闘は終結。

また、この時に、盗難されたとみられる海軍の小型偵察船が、“輝くあかつきの星になる黒い薔薇”の紋章を掲げて現場に出現しております。

戦闘終結後、第一夫人船と後から出現した2隻はすぐにその場を立ち去りましたが、当主船は損傷が激しかったため、海軍に出していた不介入要請を解除すると同時に、救助要請を出しました。
以上です。

【中将1】:“輝くあかつきの星になる黒い薔薇”か…。また古い紋章が出てきたな。それと、その空を飛んできた人物とは?

【准将1】:元王下七武海で、現在はインペルダウンに収監中のドンキホーテ・ドフラミンゴに酷似した人物であります。写真もあります。

(※この時、資料として准将1が現場で撮影したドフラミンゴ囚の全身~アップの写真が6枚提出されたが、後に全て破棄された)

【中将1】:すごい服だな…。それに、この白いタオルのほっかむり…。写真ではよく見えんが、ほっかむりにも“輝くあかつきの星になる黒い薔薇”が入ってるか…?

【准将1】:はい。こちらの拡大写真でご確認ください。
“輝くあかつきの星になる黒い薔薇”のマークを付けた盗難船には、二人の人物が乗船しておりました。

一名はインペルダウンの特別室担当の看守で、今回行方不明になった当該看守の同僚であります。もう一名は、傭兵部隊の一員と思われます。

(※ここでも資料として、盗難された小型偵察船、帆に貼り付けられた紋章、乗船していた人物等の写真が計10枚提出されたが、後に全て破棄された)

【少将2】:え~、この二名のうちで、この紋章と関係があるとすれば、当該看守の同僚のほうと思われますが、出生等を調べてもこの家系との関連は発見できませんでした。もう一名のほうも一応調べましたが、結果は同じでした。

どちらにせよ、“輝くあかつきの星になる黒い薔薇”を紋章に持つ家系は、約45年前にすでに断絶しております。

よって、無関係の人間が、使われなくなった紋章を悪用したという可能性も否定できません。
もしそうであれば、脱獄した囚人と、それを見逃している看守は、法律通りに厳罰の対象となりますが、いかがいたしましょうか。

【中将1】:この件は追及しない。以上。

【少将2】【准将1】:…。

【少将1】:だから言っただろ。この件は、俺が報告したことだけで終わらせていいのさ。

【少将2】:よろしければ、理由を教えていただけませんでしょうか…。
【准将1】:自分は“輝くあかつきの星になる黒い薔薇”など、今まで見たこともありません。色違いの“輝くあかつきの星になる紫の薔薇”の紋章なら、19の王家の紋章のひとつでありますが…。

【中将1】:そうか。今の若いもんは“紫の薔薇”の紋章しか知らんのか。

【少将1】:私は子供の時に見たことがあるので、なんとなくですが覚えています。昔は黒や紫の他にもいろんな色がありました。

【中将1】:そうだな、赤い薔薇も白い薔薇もあった。全部で8色だ。

【少将2】:そうなのですか。今は紫しかありませんが…。

【中将1】: それにな、これは「薔薇」ではない。「チューリップ」だ。

【少将2】【准将1】:は?

【中将1】:ほら、ちゃんとここに小さい字で書いてあるだろ…。

【少将2】:た、確かに…。紋章の中に「黒いチューリップ」という文字が…。
【准将1】:なぜでありますか?絵は薔薇なのに…。

【中将1】:なぜなのかは、誰にも分からない。
【少将1】:しかも、紋章の名称は、“輝くあかつきの星になる黒い薔薇”でいいんだ。そうですよね、中将1。“黒いチューリップ”だと語呂が悪かったのかな。

【少将2】【准将1】:…。

【中将1】:ああ。それに薔薇の色によって、この小さく書かれている文字もそれぞれ違う。
【少将1】:そうそう、青い薔薇は「青い珊瑚礁」で、白い薔薇は「白い恋人」…。
【中将1】:「赤い情熱」、「黄色いハンカチ」、「ピンクパンサーの誘惑」。オレンジは「マーマレード・ボーイ」だ。
【少将1】:中将1、さすがです!いや~、懐かしいですね~。

【准将1】:え、え~と…。
【少将2】:なぜそのようなことに…。

【中将1】:さあな。ちなみに、紫は「紫の薔薇の人」だ。
これらの8つの薔薇のバリエーションは、一族を構成する直系と7つの傍系…本家と分家と言えば分かりやすいだろうか…を表したものだった。
しかし、今から45年前、一族内で闘争が起こった。その結果、たった一年で「紫の薔薇」以外の系統は、全て消滅した。
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