ネット喫茶.com

オリジナル小説や二次創作、エッセイ等、自由に投稿できるサイトです。

メニュー

若様の優雅なインペルダウン生活

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
目次

看守たちの長期休暇(準備編)その2

ドフラミンゴの日記より
×月×日
今日の午前中、ダイニングルームにバーティのピアノが入った。調律師も来たらしい。ピアノを移動した時、調律するのは普通のことのようだ。ピアノの移動にはいろいろ手間がかかることを初めて知った。

届いたピアノは、いろんなところが、なんとなくではあるが古びている。どうやら中古のようだ。

ピアノに興味がない奴からすると、こんなボロっちい中古じゃなく新しいもののほうがいいんじゃないかと思うが、確かあれはなんちゃらとかいう職人が作ったピアノで、“楽器店に問い合わせたら運良く在庫があった”とか言っていたから、数もそんなに多くなくて中古でも有り難いようなシロモノなんだろう。

バーティは今日は非番だったので、一日中、ダイニングルームにこもってピアノを弾いていたようだ。
ちなみに、おれが飯の時も奴はピアノの前にいた。昼飯の時も、晩飯の時もいた。お陰で飯を食ってるのか、ピアノを聞いているのか、どっちなのかよく分からなくなった。

まあ、俺もピアノことはそんなに詳しくないが、奴のピアノの腕は確かだと思う。
おれはつくづく、下手な横好きでなくて良かったと考えている。もしもそうだったら、飯の間中、下手なピアノを聞かされるはめになっていた。

×月×日
看守達がはしゃいでいる。長期休暇制度ができて、奴らは最大で1か月の休暇を取ることができるようになったらしい。
あいつらはここに就職してからずっとインペルダウンから出られなかったし、休暇が取れるようになったのは結構なことだ。

しかし、奴らのあのはしゃぎっぷりはうぜえ。3人でおれの監獄の前に集まって、コソコソわいわいと休暇の相談をしていやがる。
読みかけのファンタジー小説を読むふりをしながら、奴らの話しを盗み聞ぎしたところによると、カスターとペラムは20日くらいしか休まないようだが、バーティは30日休むつもりらしい。

いつ誰が休むのか、3人ともいなくなるのか、誰か1人くらいは残るようにするのか、代わりの看守は来るのか、それが誰なのか、おれには何も伝えてこない。

文句を言ったら、奴らはおれのことなんぞすっかり忘れていたかのように、3人揃ってちょっと驚いた顔でマジマジとおれの顔を見やがった。
そして、お互いに顔を見合わせてから、「今はいろいろと相談している最中ですので、決まったらご報告いたします」とか抜かしやがった!

今日の10時からの看守はバーティの当番だったが、昨日に引き続き、バーティの野郎は今日も飯の時にピアノを弾いた。ちなみに、朝飯の時にもわざわざピアノを弾きに来やがった。

奴の今の心情が表れているかのような、テンポが早くて明るい感じの曲は聞いてるだけでうぜえ気がして、晩飯の時、もっとしっとりとした落ち着いた曲を弾くように言ってやった。この嫌味が奴に伝わったかどうかは分からない。

×月×日
今日の朝食:コーヒー(アメリカンを選択)、黄身が半熟の目玉焼き、ウィンナーとベーコン、マッシュポテト、セロリや大根等のピクルス、トースト、青りんごとオレンジ

朝飯の時、バーティがピアノを弾きに来なかった。カスターに今朝は奴は来ねえのか聞いたら、カスターはまず探るような眼でおれをちらっと見てから、
「今朝は休暇の時に乗る船の手配をしています。なんでも、親方が一人でやっているような、小さな船会社なので、今の時間帯でないと問い合わせの電伝虫が繋がらないとか…」
と、誠ににこやかにお答えくださいやがった。

昼食はパエリアだった。丸ごとではないが、おれが好きなロブスターも入っていた。
今日の10時からの看守はペラムだった。カスターもそうだが、こいつも腹が立つくらい機嫌が良い。

ピアノを弾きに来たバーティも、二人と同じように最高に機嫌が良かった。
朝食の時はピアノの音が聞こえなくて静かで良かったなあと嫌味を言ってみたが、料理を持ってきた給仕がドアを開けたタイミングとちょうど重なってしまって、奴もペラムも聞いていなかった。

夕食:ロブスターのビスク、パン、海老とロブスターのマリネ、サーロインステーキ、温野菜のサラダ、チーズ、生のブルーベリー、ティラミス、紅茶

晩飯の時、部屋にいたペラムが、バーティがピアノを弾きに入ってきたとたんに、奴のところに行って話しを始めた。どうやら何か話したいことがあって、バーティが来るのを待ち構えていたらしい。
ちょうどペラムはおれのグラスにミネラルウォーターを注ごうとしていたところだったので、おれは二人の話しが終わるまで待たされることになった。
腹が立ったので、ワインをがぶ飲みした。すぐに1本開いたので、もう1本開けるように言ったが、却下された。

飯が終わっても腹立ちは収まらなかった。頭が花畑状態のペラムを連れて監獄に戻ってきたら、ゴキブリがいた。奴は気が付かなかった。
ペラムはゴキブリが嫌いだ。今までは、こういう場合は奴の目に触れる前にこっそり退治してやっていたが、今日は放っておいた。どっかで大繁殖して、奴がいる時に500匹くらい出て来りゃいいんだ。
目次

※会員登録するとコメントが書き込める様になります。