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ローを牢屋敷から助けたのは誰でしょう?

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
目次

その五 ローラの場合

ワノ国花の都羅刹町の牢屋敷にこっそりと忍び込んだ一人の女海賊…それは、ローリング海賊団船長「求婚のローラ」だった。
ローラはわずかな気配さえもさせることなく、ある人物を探して牢屋敷の中をさまよい歩いていた。

ふと、ローラはある牢の前で立ち止まった。その牢の中では、ひどい傷を負った青年がぐったりと床に座って目を閉じている。

「ちょっと、あなた大丈夫?ひどい怪我じゃない」
「?」

小さな声で話しかけると、傷だらけの青年はすぐに目を開いた。相手が反応を示したので、ローラはほっとした表情を見せた。

「良かった…死んでなかったのね。拷問されたの?」

青年は自分に話しかけてきた女をまじまじと見た。会ったことがない女だと思った。

「おれに何の用だ?ここがどんなところか知らねえはずはねえよな…」
「あんまりひどい怪我なんで、心配になったのよ」

この時、ローラはこの青年の手のタトゥーに気が付いた。

「そのタトゥー…。あなた、トラファルガー・ローね。新聞で見たことあるわ」
「ああ」

ローはベポを始めとする3人の部下を助けるために、自分が捕虜になったのだった。
ローラはローをじっと見つめていた。

「私の名前はローラ。ローリング海賊団の船長よ」

そして、思い切ったように口を開いた。

「…あなたさえ良かったら、ここから出してあげるわ。一緒に逃げましょうっ!」
「?! 」

予期せぬ展開に、ローは驚いた。

「それで安全なところに着いたら…」ローラは真剣な顔で続けた。
「私と結婚して!! あなた、とても素敵だわ!」

しかし…、
「逃がしては欲しいが、結婚はできねえ」

ローに速攻で断られてショックを受けたらしく、ローラは少しの間うつむいていたが、気丈にもこう言った。

「分かったわ…。それにこんな状況で結婚を申し込むなんて、私も卑怯だったかもしれない…。ごめんなさい…」
「…」

ローラは顔を上げた。彼女はもう落ち込んでいなかった。
「あなたをここから逃がしてあげるわ。その代わり、人探しを手伝って欲しいんだけど…」

「それなら乗れねえことはねえぜ…。交渉成立だ」

ローが面白そうにニヤリと笑い、獄中で出会った二人の海賊は、短い間の同盟を結んだ。



ローラは手枷の鍵をすぐに探し出してきた。彼女は海賊として至極優秀であるらしい。

自由になったローは人探しの手伝いをすべく、ローラの話しを声をひそめながら聞いていた。

「私が探しているのは、ある有名な占い師よ」ローラは苦い顔で言った。
「占い師?! 」

意外な単語が出てきて、ローは再び驚いた。

「カードを使った占いなんだけど、よく当たるってもの凄い評判で、予約しても順番が回って来るまで数年かかるの。私も何年も待って、やっと順番が回って来たのに…」

ローラは悔しさに眉を吊り上げた。

「いきなり占い師を廃業しちゃったのよっ!! ひどいと思わない?! やめるんなら予約なんか受け付けなきゃ良かったのにっっ!!」
「…」
「私、絶対に諦められないっ!こうなったら、押しかけてでも占ってもらおうって思ったの!!」
「…なるほど」

「ほうぼう手を尽くして、その占い師がやっとこのワノ国にいるって情報をつかんだわ。そして、この牢屋敷にいるらしいってことまでは分かったんだけど…」

ローラは困ったような顔をした。

「この牢屋敷にはたくさんの囚人がいて…。この中から探すにしても、あなたのように独房にいる人にはこっそり声をかけることもできるけど、集団で牢に入れられている人達にはそういうこともできなくて…大勢に気が付かれて騒がれでもして、侵入したのがばれたら大変だし…」

これを聞いて、ローラは囚人の中に占い師がいると思っているらしいとローは思った。

「アンタはその占い師の顔や名前を知らねえってことか…」

「名前はミスター・バージーよ。顔は分からないわ。映像電伝虫を使ったオンライン占いなんだけど、ミスター・バージーはいつもマスクを被ってたから」

ミスター・バージー…、「バジル・ホーキンス」。やはり、その占い師はあの男だ。

(あいつ、億越え前はそんなバイト(?)をしてやがったのか…)

同時に、ローはなるほどと思った。占い師の正体が最悪の世代の一人だと知っていたら、さすがにローラも押しかけてこなかっただろう。

「安心しろ。そいつなら知ってるぜ」ローは愛想良く言った。
「まあ、そうなの?!」
「ただし、奴はかなり狂暴な男だ。自分に向かってきた人間が海賊の場合は、女でも容赦しねえかもしれねえ。あんたがおれに協力を求めてきたのは、運が良かったと言えるだろうな…」

ローラは、ローの言わんとすることの意味に気付いて、たじろいだ。

「何それ、どういうこと?!」
「さあな…」

ローはニヤニヤ笑ったまま、さりげなく話題を変えた。

「ところで、何を占ってもらいたいんだ?」
「あら、年頃の女子が占ってもらいたいものなんて、決まってるじゃない」

ローラは顔を横にそむけて、ちょっと軽蔑したように言った。

「ズバリ、恋愛と結婚運よ!あなた、鈍いわね。意外と女の子にもてないでしょ」
(ううっ)

ローは返す言葉もない。
その時、誰かがやって来る気配がした。ホーキンスだった。

「おい、見つからねえようにどこかに隠れてろ。すぐに占い師を捕まえてやるよ」
「頑張って。くれぐれも失礼のないようにお願いね」
「努力はしよう…」

ローは激しい戦闘の末にホーキンスを拘束した。
ローラが占ってもらえたかどうかは…いや、きっと占ってもらえただろう。
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