ネット喫茶.com

オリジナル小説や二次創作、エッセイ等、自由に投稿できるサイトです。

メニュー

Moon face

原作: 名探偵コナン 作者: takasu
目次

28

暫く沈黙が続いた中、それを破ったのは風見だった。

風見「…矢神さん、搬送される時、降谷さんに謝ってました。」

降谷「え…?」

風見「降谷さん巻き込んでごめんなさいと。…それに、泣いてました。」

降谷「!!っ…」

それから病院に着くまでの間、車内は長い沈黙のままだった。


受付の人に取り次いでもらうと怪我の程度が酷くまだ手術中だった。

手術室の前の椅子に座ってから何時間経っただろうか。昨夜からバタバタと手術室を行き来する看護師達の足音に気を取られて気付かなかったが良くなってか、悪くなってかはわからないが静かさになった廊下の窓から溢れる光が朝が来たことを知らせていた。

そして暫くして消えた手術中の灯り。

ゆっくりと医者が出てきたがその顔には酷い疲労の色が見えた。

2人は思わず立ち上がり医者に駆け寄った。

医者「手術は成功しました。」

風見「よかったっ…!」

医者「…ですがまだ危ない状態です。それに、回復したとしても何らかの後遺症が残る可能性はゼロではありません。」

風見「そんなっ…」

降谷「彼女は…」

医者「ICUに移動しますのでもうすぐ出てきますよ」

そう言って手術室の方を見るとその扉が開いた。

降谷・風見「「矢神さっ………!!」」

彼女が横たわるストレッチャーに駆け寄るとあらゆる所に包帯が巻かれ、痛々しい姿だった。

そんな姿に2人は思わず足を止め、絶望した。

風見は床にへたり込んでしまった。

呆然と立ち尽くす降谷とへたりこんでしまった風見に医者は歩み寄った。


医者「落ち込んでいる暇はありませんよ。矢神さんも頑張ったんです。今度は貴方達が頑張る番ですよ。」

そう言って辛うじて立っている降谷の手にジッパー式の袋に入れららた何かの部品を握らせた。

医者「彼女が搬送される時、救急隊員が部品を触って黒ではなく青い煤がついたといった途端激痛で声を出すのもやと、いや、気を失っていてもおかしく無い筈なのに自分の体に刺さった部品を捨てるなと、すごい剣幕で言われたそうです。ここに来てからも部品を取り除かせてもらえなくてね。麻酔を使うのに時間がかかりました。彼女がやっと納得してくれてからですが、関係者に爆弾の部品の一部かもしれないと伝えてくれと言付かりました。今の貴方達に見せれるような状態ではないので残りの大きな部品は少し待ってください。後ですぐに助手が持ってきますので。」

その言葉に風見はとうとう嗚咽を漏らして泣き出してしまった。

医者はそれを見て降谷肩に手を置いてあとはお願いしますよ。と言って去っていった。

降谷「風見。」

風見「…はい…」

降谷「泣いている暇は無いぞ。今すぐ爆弾処理班に連絡を取ってくれ。奴らは全員捕らえられた筈。なのに矢神さんがこれを託したということは…まだこの事件終わっていない。」

風見「!!は、はいっ!」

2人は足早に病院を離れるともう一度現場へと向かった。
目次

※会員登録するとコメントが書き込める様になります。