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Moon face

原作: 名探偵コナン 作者: takasu
目次

13

風見「そんな…!誤解されたままでいいんですか?!」

降谷「わかりました。」

風見「降谷さん?!」

「鳳のこと、よろしくお願いします。」

美弥妃はそういうと深々とベッドの上で頭をさげた。


翌朝、降谷、風見、剛田の3人を中心に厳戒態勢で空港で鳳の身柄の引き渡しが行われた。

BPOLの私服捜査員の中に一人の男が帽子を人差し指で少し上げながら鳳に近づいた。

変装をしているのだろうか、想像していたよりも年老いた男だった。鳳が30代半ばくらいで、この男は50は余裕に超えてそうな見た目をしていた。

?[久しぶりだな、鳳](ドイツ語で話しているところは[]で表記します。)

鳳[な…んで…]

?[承認保護プログラムを受けていたんだ]

鳳[ホントに…ジェイなのか…?]

ジェイ[あぁ、そうだよ。久しぶりだな、鳳。元気にしていたか?…まぁ元気にしてくれていないと今こうして会えていなかったな。]

そう言って男は力の抜けた笑みをこぼした。

鳳[…っ!!ジェイ!!]

鳳はそう叫ぶとジェイに抱きついた。

鳳[よ、よかっ…よかった…!死んだと思ってた…!生きてて…本当に…っ!!]

ジェイ[オイオイ、勝手に殺すなよ。俺はそんな簡単に死んだりしないさ。]

ジェイはそう言いながら鳳を引き剥がすと私服捜査員の頭から帽子を勝手に奪い取って鳳に帽子を被せた。

鳳は被せられた帽子を押さえたまま声を押し殺して泣いていた。

ジェイ[泣いているのがゴリラじゃなくて可憐な女だったら俺も嬉しいんだがな]

そう言ってジェイは鳳の頭をポンポンと叩くと降谷達の前にゆっくりと歩いてきた。

ジェイ「初めまして、ジェイだ。まぁ、もう会うことはないだろうけど」

風見「日本語?!」

ジェイが日本語を話したことに風見は驚いていたがその隣で降谷は落ち着いた様子でジェイに差し出された手をとった。

降谷「日本語が話せるんですね」

ジェイ「少しだけだがな。昔…そこにいる日本人の不器用な女に教えてもらったんだよ。」

風見「え…まさか…」

ジェイの視線は明らかに剛田に注がれていた。

ジェイ「鳳を保護してくれてありがとう。やはり日本の警察は優秀だな。…こいつを彼女に渡してやってくれ。今ここで俺が直接渡せば彼女の不器用な優しさを無下にしてしまうからな」

ジェイはそういうと1枚の紙切れを降谷に預けた。

そしてジェイはもう一度降谷に握手を求め、次に風見に、そして最後に剛田にも握手を求めた。

そして小声で何かを伝えた。

ジェイ[次はもう少し可愛らしい女性にしてくれないか?その姿は少しむさ苦しいぞ]

そう言ってニヤリと笑うとジェイは体を翻し鳳の元へ戻った。

ジェイは鳳の背中を叩き歩かせると片手をひらひらと降って仲間達と消えていった。


風見「や…がみ…さん…なんですか?!」

ジェイ達を見送った後、風見はギギギと音がなりそうな具合に剛田の姿をしている美弥妃の方を見た。

すると剛田の姿の美弥妃は観念したのかはぁ、とため息をついてから「今日退院したんです」と言いながらばっとマスクを剥ぎ取りジャケットを脱ぎ出した。

風見「うわあああ!!」

化け物でも見たかの様な悲鳴をあげた風見は青い顔をしてその場に尻餅をついた。そしていそいそと這いつくばったまま降谷の方に逃げた。が、ふと顔を見上げて降谷を見るとこちらの方が鬼の様な笑顔をしていたのでひいぃ!とまたもや尻餅をついていた。

降谷「どうして入院中のはずの貴女がここにいるんです?」

降谷は恐ろしい笑顔を崩さずに言あと彼女の方へとずんずんと歩いていく。

降谷「風見!」

風見「はいぃ!」

降谷「護衛についていたものに帰るように指示を出せ。あと車を表に回せ。今すぐにだ!」

風見「はい!!!」

風見は目にも留まらぬ速さであくまで、指示を出すために逃げ出した。

降谷は風見が居なくなって目の前の彼女を見ると悪びれる様子もなく「重い」と言ってジャケットをぽいっと床に投げていた。

そんな彼女に降谷はとはぁ。と心の底から呆れたようなため息をついた。

降谷「全く…貴女は…」

降谷は放り投げられたジャケットを拾い上げて彼女を見下ろした。

降谷「ジェイから貴女にと。」

降谷は先程預かった紙切れを美弥妃に差し出した。

それを受け取りゆっくりと開いた彼女は目を見開いた。

"おおとりにはおれからしんじつをつたえる。
だからいつか3にんでごはんにいこう。
おれたちはいきている。おまえだけしんだらゆるさない。
×××-××××-××××"

慣れない平仮名で書かれた文字と電話番号にクスリと笑うと美弥妃はポタポタと涙を流し始めた。

暫く降谷は彼女を見ていると風見が息を切らしながら車の用意ができたと戻ってきたので降谷は拾い上げたジャケットを彼女の頭に被せた。

降谷「帰りますよ。」

降谷はそう言ってジャケットを被ったままの彼女の腕を引いて歩き出した。

そんな二人の前を歩く風見は降谷が恐ろしい説教をして泣かせたのかと一人ヒヤヒヤしながら急いで車のドアを開けに走ったのだった。
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