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Gray

原作: 名探偵コナン 作者: takasu
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それから1ヶ月後、彼女が目を覚ましたという情報が入った。

先に見舞いに来ていた狩生さんと風見は無言のまま立ち尽くしていた。

降谷「矢神っ!」

「…」

10日を見つめたままぼーっとした彼女はこちらの声に反応さえしなかった。

降谷「あの…これは…?」

狩生「降谷、風見、行くぞ。…今は一人にしてやれ…」

狩生の言葉にしぶしぶついて行くと狩生はすぐに公安本部へと車を走らせた。

その道中…

降谷「矢神は、どうなんですか…」

風見「…」

狩生「…」

降谷「まさか記憶喪失でも…?」

狩生「…いっそ、記憶喪失になってくれたらよかったかもしれないな。」

降谷「それはどういう…」

風見「それが…。…目が覚めたと聞いて俺たちが行った時…矢神は…」

狩生「なんでって言ったんだ…」

降谷「なんで…?なんでって何が…」

風見「…」

狩生「なんで、しか言わなかったが…恐らく、何で生かしたんだ。というところだろうな、あいつの表情を見る限り」

降谷「そんなっ…」

そして本部に着いた時、さらに驚かされることになる。


部下「大変です!狩生さん!矢神が病院からいなくなったって!」

狩生「なんだと?!」

上司「連絡しても出なくて…」

狩生「くそうっ…!!」

降谷「組織の携帯から連絡してみます」

狩生「あぁ、頼む!」

そう言って降谷がスマホを取り出した時、彼女から着信が来た。

降谷「矢神か?!何してる?!今どこだ?!」

「…米花町○番地×××。すぐに来てください。組織を…取り押さえました…。スコッチさんの敵…うてますよ…。」

降谷「今すぐ向かう!お前もそこにいろよ!」

「…降谷さん、今まで、お世話になりました…組織の件で一緒に組まされて…さぞ不快な思いをさせてしまって…すみません…でした…。」

降谷「おい、何急に…」

「私が、生かされてたのって…組織壊滅のため…もう、組織は抑えたし…もう、いいですよね…。狩生さんに話すとまた暴れちゃいそうなので…降谷さんに言いました…すみません、最後の迷惑にします…ありがとうございました…」

そう言って一方的に切られた電話。

公安全員が動き出した。


彼女の言われた通りの場所に向かうとそこには見覚えのある組織の人間が気絶し捕らえられていた。

狩生「お前達はこいつらの確保だ!!」

降谷「矢神っ!矢神!いたら返事しろ!!矢神!!」

何度叫んでも彼女は姿を現さない。

降谷「矢神っ!」

赤井「彼女ならここにいる、安心しろ、無事だ」

降谷の前には彼女を抱きかかえた赤井がいた。

降谷「矢神っ!」

慌てて駆け寄るがどうやら気を失っているだけのようだった。

赤井「君ならもう少し彼女を見てやってくれると思っていたんだがな。少々手荒だが自害を止めるためだ。気絶させてもらったよ」

降谷「じ、さつ…?」

赤井「組織を制圧する為に手を貸して欲しいと言われてな。その後少し目を離したすきに自分に拳銃を当てる彼女がみえたから仕方なくだ。」

降谷「…」『自分で命を絶とうなんて思わせるほど俺たちはこいつを…』

赤井「悪いがこのまま彼女のことは預からせてもらうぞ。」

降谷「それはっ…!」

赤井「放っておいたら死にかねん。」

降谷「俺が見てます」

赤井「君に任せた結果がこれだが?」

そんな言い争いをしているうちに(名前)は目を覚ました。

「…ん…」

降谷「矢神っ!」

「…なん…で…」

赤井「…」

「赤井さん…」

赤井「辛いならやめろと言ったんだ。死んでいいとは言ってない。」

「…ハハ…。赤井さんが止めたんですね….。なら逆らえないな…。降ろしてください。もう死んだりしませんから…」

赤井「…」

赤井は静かに彼女を降ろすと(名前)は深々と赤井に頭を下げた。

「ご迷惑おかけしました。…協力して頂いたおかげで組織は壊滅しました。ありがとうございます。」

赤井「…また祝杯でもあげよう」

「…」

赤井の言葉に(名前)は黙って頭を下げたまま立ち去る赤井を見届けた。


「組織を捉えてくださってありがとうございました。それと、無礼な電話失礼いたしました。今後私からは緊急時以外は連絡致しませんのでご安心ください。…報告書をまとめなければいけないのでこれで失礼いたします。」

(名前)は降谷を中心としたその場にいる上司や部下に頭を下げてそう言うと一人でフラフラと署の方に向かった。

それを全員が心配そうに見つめ、彼女の後をつけていく。

そして本部のデスクでは光の宿らない目でパソコンと向き合う彼女はひたすらに仕事をこなしていた。

勿論、今までのように上司たちの仕事を全て自分のデスクに持って来て淡々と終わらせていった。

上司「や、矢神…それは俺の仕事だからもういいぞ…。今日はもう帰っ…」

「もう終わりました。どうぞ。」

上司「あ、あぁ…ありがとう…」

部下「俺たちも自分でやります…」

「大丈夫ですよ。上司の方からお酒の席に誘われるかもしれませんし、仕事は残さない方が身のためですよ。私はそういった席に呼ばれることは100%ないので安心してください、お疲れ様です。」

彼女は異様なほどに全ての仕事を自分一人でこなしていった。

『自害がゆるされないのなら過労死するまで働けばいいんだ…もう、生きていたくない…』
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