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神様はアタシの胸に

ジャンル: ロー・ファンタジー 作者: 山科
目次

第19話

 面倒くさいけど、あたしは、分かっていること全てを涼太に話す。
 もちろん、綾瀬川奈々子のことも。包み隠さず、全てを話した。
「…………まさか……」
「……涼太? どうしたんだ?」
「……いや、なんでもない」
「……? そうか……?」
 涼太の様子がどこかおかしかったが、今はどうでもいい。
 とりあえず、この状況をどうにかするほうが先決だ。
 翔平太の時のように、シャルに頼んで眠らせるのがいいのか。
 あるいは、守護部隊を呼んだ方がいいのか。
 考えていると、廊下の端から、徳元先生と、数人の生徒が歩いてくるのが見えた。
 先生たちは、教室の外にいるあたしたちを遠ざけ、引き連れた生徒たちとともに教室内に入っていった。
「全員、おとなしくしろ! 抵抗すれば容赦はしない! 生徒会、風紀委員、教室内を制圧しろ!」
「「「はいっ!」」」
 元気よく返事をした生徒たち。
 どうやら、あれは生徒会と風紀委員だったらしい。
 すごいな。軍隊のように、徳元先生の指揮下で教室内の暴れる男子生徒たちを取り押さえていく。一死乱れぬ動きは、ただの生徒ではないような感じだ。
 あっという間に、ものの数分で、教室内を制圧してしまった。
 いくらなんでも凄すぎるだろう。
 こいつら、化け物か? 同じ人間とも思うことができない。
「よし! 捕えた生徒たちは、体育館に連れて行け」
「「「はいっ!」」」
 先生の指示のもと、生徒会&風紀委員が、暴れていた男子生徒を連行していく。抵抗する生徒もいるようだが、お構いなしだ。、
「お前ら、授業が始まるぞ! 教室に戻れ!」
 先生の言葉に従い、ぞろぞろと野次馬たちは自分たちの教室に戻っていく。
「……俺らも、教室の中に入った方がいいんだよな?」
「……だろうな」
「「……はぁ」」
 あたしと涼太は、一つ嘆息を漏らして、教室の中へと入っていく。
 まずは、この荒れた教室の片付けをやらないとな。



 一時限目の授業が終わった後の、休み時間。
『話があるのじゃ』
 とシャルが言うので、あたしは誰もいないであろう屋上まで向かった。
 予想通り屋上には誰もいない。
 鍵が開いているとはいえ、立ち入り禁止場所だから、当たり前と言えば当たり前だけど。
「んで? 話って?」
「うむ。じつはじゃのう」
 話しやすいからと、銀髪碧眼の幼女の姿になったシャル。
 全裸のままで話すのもあれなので、今はあたしの制服の上着を羽織っている。
 下の方は丸見えだけど、まあないよりはマシだろう。
「このがっこうのなかにの、あるとくしゅなきかいがセットされておるらしいのじゃ」
「特殊な機械?」
「うむ。かんいばんの、モザイククライシスをおこすきかいらしい」
「簡易版?」
「うむ。くわしいことはわからぬのだがな。しょーへいたのときのように、ずっとしょうじょうがでるのではなく、いちじてきにしょうじょうがでるらしい」
「なるほど」
 それで簡易版モザイク化計画なのか。
「でも、なんでそんな機械があるってわかったんだ?」
「また、はんにんからちょーはつされたのじゃよ。『簡易版モザイク化計画(インスタント・モザイククライシス)を、今日の13:00丁度にこの学校で起こすから、止めてみろ。これが嘘ではない証拠に、今日の朝、一つの教室を対象に、簡易版モザイク化計画を実行する』とな」
「それで? 神様たちの反応は?」
「しょうじき、むししておった。しかし、けさのいっけんでむしできるものではないとはんだんしたようじゃ」
「それじゃあ、神様がなんとかしてくれるのか?」
 もしそうしてくれるのならば、これ以上心強いことはない。
 そのまま、綾瀬川奈々子も何とかしてくれると最高なのだけど。
「いや……それが……」
 テンションが上がったあたしとは逆に、何故かテンションが下がっているシャル。
 なんだ? なにかあるのか?
「じつは、しゃるたちだけで、こんかいのことをかいけつせねばならんようになった」
「…………。…………。…………。…………。……はい?」
 なんだって?
 聞き間違いかな?
 アホみたいな台詞が聞こえたんだけど。
「じゃから、しゃるとあすかのふたりだけで、『簡易版モザイク化計画』をかいけつせねばならんのじゃ」
「なんでだよっ!」
 いくらなんでも、無理だろ!
 神様ってのは、そんなこともわからない馬鹿集団なのか?
「しかたがないのじゃ……ただでさえ、はんらんのせいで『絶対神』にしたがうかみさまがすくないのに、さいきんははんらんもかっぱつかしてきてのう。ひとでがたりないのじゃよ」
「……じゃあ、どうするんだよ? 本当に、あたしたちだけで解決するのか?」
「……やるしかなかろう。それが、しゃるにあたえられたにんむでもあるしの。あすかがいやなら、しゃるひとりでやる」
 俯きながらそう答えるシャル。
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