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ポケモンアドベンチャー

原作: ポケットモンスター 作者: ruru
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16話「リッシ湖」

リッシ湖の中央に象徴的に存在する空洞、ここにアグノムは生息している。アグノムは意思の神と呼ばれ、自分達が何か行動しようとする思いや考えを作り出したポケモンだと言われている。この世界はポケモン達が作り出したというのがシンオウ神話なのだが、その話がもし本当なら素敵だなと、ハルアキの説明を聞きながら思うのだった。

「久しぶりに空洞に入ったけど今回も眠ってるね。あ!言うの忘れてたけどアグノムに近づき過ぎたら攻撃されるからあまり近づいちゃダメだからね!一定の距離で未来予知が発動して生身の人間なら全治何か月ってとこだから!」

ハルアキの話を聞くと、どうやら2回前の空洞の調査でアグノムに近づき過ぎて未だに完治していない人が出ているらしい。俺は少しアグノムが怖くなってきた。

しかしボランティアの指示係の人はずんずんとアグノムに近づいていく。適度な距離と言うものを熟知しており、それはもうベテランの域に達している。アグノムについてはかなり詳しそうだ。俺と同じ飛び入り参加だが別行動をしていた清掃員もアグノムに平然と近づいていく。皆怖くないのか?

「うん、アグノムはいつも通り。周りに危険なポケモンもいないし安全だね。じゃあ今日はここまでにしようか!入口前に集合して解散という流れにしよう」指示係の人がアグノムを刺激しないように少し距離をとってから他のボランティアのメンバーに声を掛ける。

「きゅううん!」しかし皆が入口方面に向いた時、アグノムが急に声を発して俺達の注意を空洞の奥の方に向ける。

「アグノムが目覚めた・・・?皆先に行ってて、ちょっと調べてくるから。ハルさん先に解散させておいて下さい」

「待って下さい、実は私も気になる所があったのでお供します。ごめんね、皆まだ残っててくれるかい」

「俺も行きます。何かあったらバリヤードのバリアーで守りますから」

俺達3人でアグノムの近くに行く。するとアグノムは未来予知をしようとしているではないか!まだ十分な距離を取っているというのに!

「まっ待て、落ち着けアグノム!僕達は敵じゃないんだ!もう近づかないから未来予知を解除してくれ!」指示係の人は慌てながら俺とハルアキを両腕を伸ばして前に行かせないようにして後ずさる。

「ん?待ってください、あの地面何かおかしくないですか!一部だけ地面が盛り上がって微妙に動いている!」ハルアキがアグノムの少し後ろの地面を指さして言う。

「そうか、そこに何かいるな!サイコキネシスでアグノムから遠ざけろ!」

バリヤードはサイコキネシスで盛り上がった地面の部分を捉え、空洞の奥に吹き飛ばす。その正体は地面に変色したカクレオンだったのだ。

「カクレオン!もしかして、またあのオネェが・・・?」俺は周りを見渡す。しかしどこにも俺達清掃活動のメンバー以外見当たらない。

「あの男はここにはおらんよ。このカクレオンは私の物だからな」

突然頭の中に声が鳴り響く。テレパシーというやつなのだろうか、そしてその声の主は俺の目の前にテレポートで一瞬で現れる。

「なっ・・!?ポケモン?」

俺が見たものはフーディン、紛れもないポケモンだった。フーディンは俺に考える暇もなくテレパシーで言葉を伝えていく。

「このカクレオンは確かにあの男のポケモンだ。しかし、私がイリーガルボールで従えることが出来るようにしたのだ」

「どういうことだ・・・?」

「イリーガルボールは誰かが捕まえているポケモンであってもボールに入れることが出来る、ここまでは貴様も見ただろう?まぁ記憶が無くなるわけでないから元のトレーナーのいう事は聞く。だがこうすれば私の忠実な下僕となる」フーディンはそう言いカクレオンに向けて念力を送る。

するとカクレオンは頭を痛がる素振りを少し見せてから、カクレオンは操られたようにこちらに襲いかかってくる。明らかに正常な状態でない、目がかなり血走っている。

「どうだ、イリーガルボールに入ったポケモンは私の念力を効きやすい状態になり、洗脳レベルの催眠も容易にできる。人間相手だとかなり時間が掛かるからなぁ」

「!お前、オネェを洗脳して・・・!」

「ふっ、イリーガルボールの存在に気付いたのが全ての始まりだった。これならばどんなポケモンも意のままに操れる。シンオウチャンピオンのポケモンだろうとな」

バリヤードはカクレオンと戦っているが、ダメージを喰らってないかのように攻撃を受け続けながらただ一心不乱に襲いかかってくる。その隙にフーディンはアグノムに近づいていく。

「おぉ、未来予知があともう少し近づけば発動してしまうのか。だがその未来予知は効かぬ。こうすればな」

フーディンは念力を俺の腰のボールに向ける。するとゴンベが勝手に出て来てフーディンを庇うように盾になっているではないか!

「ゴンベ!?おい、何をやっt」

「きゅううん!」アグノムは未来予知を発動させる。ゴンベはその未来予知を体全体で受け止めてフーディンは無傷、そしてイリーガルボールをテレポートで出現させてアグノムに投げつける。

「アグノムぅ!」

「ふははは!アグノムよ、私の手下となるがよい!」

アグノムの寸前までボールが来てもう駄目だと思ったその時、突然ボールが破裂する。嫌、一瞬で分からなかったが後ろでヘラクロスがミサイル針を撃ってボールを破壊してアグノムを救ったのだ。更にそのヘラクロスのトレーナーは清掃の時別行動をしていた清掃員だった。清掃員がこんなに強そうなヘラクロスを持っているとは驚きだが。

そしてフーディンはカクレオンをボールに戻して去ろうとする。

「なるほど、私の頭脳でこのままイリーガルボールを利用して殲滅しようとしても他のポケモンに私が倒されてしまい負けると判断した。おい!そのゴンベは貴様に預けておこう。平均よりかなり成長スピードが著しいからな。どうかもっと鍛えて私の最強の下僕にしてくれよ?」そう言いフーディンはテレポートで去る。

俺は少し唇を噛みながらも、アグノムが元気よく飛び回る姿を見てわずかだが安堵する。

「有難うございます、助かりました」俺はヘラクロスのトレーナーに礼を言いに駆け寄る。

「・・・今後は余計な事をしてくれるなよ」そう言い、男は清掃服姿の変装を解き正体を現す。

「っ!?お前、コンテストとクロガネ博物館の・・・!」

ヘラクロスのトレーナーの正体は、ガイル。クロガネ博物館でオネェと一緒に博物館のポケモンを盗んでいった奴だった。

  (手持ちポケモン バリヤードLv.38 ブビィLv.35エレキッドLv.37ゴンベLv.44)
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