ソウルメイトやで♡
4月の早朝は、まだとても寒かった。
星空凛は朝4時に起き、5時には身支度と朝食をすませて家を出ていた。普段賑わっている秋葉原も早朝は静かだ。凛はランニングをしながら神田明神へ向かっていた。冷たい空気が顔に当たるのがとても気持ちよかった。明神男坂の前まで着くと、ランニングの仕上げに階段を全力疾走で一気に駆け上がった。
「凛ちゃんは朝から元気やね〜。」
階段を駆け上がった先には、社務所の壁にもたれかかっていた東條希が笑顔で迎えてくれた。
「ハァハァ・・。希ちゃん!おはようにゃぁ!」
「凛ちゃん頬っぺた真っ赤になっとるよ。走ってきたから、冷たい風に当たりすぎやね。」
「でも気持ちよかったにゃぁ♪」
凛は希と一緒に過ごせる時間が嬉しかった。
「希ちゃんに昨日だけじゃなくて今日も付き合ってもらえるの、凛、とっても嬉しいにゃぁ♪」
凛は西木野宅で真姫から曲のCDを受け取った後、家で曲の振り付けをほぼ完成させていた。前から取り入れてみたかったダンスステップと、曲と歌詞を聴いて自然とイメージが膨らみ湧き上がってくる振りが重なり合って、あっという間に出来てしまったのだ。あんまり早く出来すぎたので、もう少しよく考えたほうがいいのかもと思ってみたが、最初に浮かんだイメージを大切にすることにした。
翌日、作り上げた全体のフォーメーションをイメージしやすいようにと思いっきり踊れるスペースが欲しかったため、昼間は学校の屋上で振り付けとフォーメーションを確認しながら練習し、一度家に帰って夕飯だけ食べると今度は参拝客が減る時間の神田明神まで訪れていたのだった。
「うちが神社のお手伝いから帰る時に丁度凛ちゃん見つけられてよかったわ。
こんな可愛い女の子が1人で夜遅くは危ないしな。」
「危なくないよぉ?ここは夜遅くてもライトいっぱいで明るいもん。」
「凛ちゃん、そういう問題とちゃうよ。」
凛は軽く走りながらてへっと舌を出し、ガラス張りが反射になって鏡代わりになる交流会館のほうへ移動した。背負っていたボディバッグからケータイとポータブルスピーカーを出し、会館の正面入り口の適当な場所にセットした。
「セット完了っと♪」
希も凛を追って会館前までやってきた。
「ほな、やろか。」
「希ちゃん、ウォーミングアップは大丈夫にゃ?凛はストレッチとランニングで充分だけど。」
「凛ちゃんが来る前にすませておいたよ。ばっちりやろ?」
希はピースサインとドヤ顔で答えた。
「さすが希ちゃん♪やる気充分にゃぁ♪最初はどーしよっか?カウントでいく?それとも曲かけちゃう?」
「曲でええよ。」
「よし、了解にゃぁ♪」
曲が流れると、2人は軽快に踊り出した。
希は神田明神での凛のダンス練習にずっと付き合ってたせいか、振りはほとんど覚えていた。スクールアイドルは卒業した希だったので、凛のダンス練習は客観的に見ていてもよかったのだが、凛の練習を見ているうちに自然と「うちも後ろで凛ちゃん見ながら踊っていい?」という言葉が出ていたのだった。
2人は正面入口のガラス張りに移る自分自身の動きを確認しながら数回踊った後、今度は動画を撮りより細かく1回ごとにダンスのチェックをしながら10数回踊った。3時間ほど過ぎた頃、神社にも参拝客が増えだしてきたので、ここでの練習はそろそろ終わりにしなければならなかった。
「はぁ〜。やっぱりラップの部分はキツいなぁ。」
希はスポーツタオルで汗を拭きながら、ケータイやスピーカーを手早く片付けている凛の横に腰を下ろした。
「あそこはカウントの取り方が今までにない速さやん?」
「でも希ちゃん、ほとんど完璧に踊れてたにゃぁ。希ちゃんは、なんでも卒なくこなせて凄いな〜って、凛、いつも思ってるよ。」
「そんなことないよ。凛ちゃんには到底及ばへんわ。うちは凛ちゃんの成長に凄いなぁって思ってるんよ。」
凛は片付けが終わると希の横に腰掛けた。
「それは、μ’sのおかげだにゃ。絵里ちゃん、希ちゃん、にこちゃん、穂乃果ちゃん、ことりちゃん、海未ちゃん、かよちん、真姫ちゃんと一緒に頑張ってこれたから、今の凛がいると思うんだぁ。でもまだ全然これからだから。もっともっと成長していかないとだにゃぁ♪」
凛の笑顔の奥で輝いている瞳が希には眩しかった。
「風が気持ちええね。」
「うん。いい風きてるにゃぁ。」
2人は少し無言で神社にやってくる参拝客をぼーっと眺めていた。
「希ちゃん、たぶんこの曲の初披露は新入生歓迎会のステージになると思うんだ。そしたら是非観にきてほしいにゃ。本音を言うと、このまま一緒に練習して、一緒にステージに上がってほしいんだけどね。」
凛はチラッと希の横顔をうかがった。
「歓迎会のステージの時は、うちも大学が始まってるからなぁ・・。ちょっと無理かもしれへんね。」
「だよねー・・。」
たぶんありえないだろうほんの少しの期待を膨らましてしまった凛は、少ししゅんとしてしまった。
希はそんな凛の頭を撫でながら優しく微笑んだ。
「昨日今日と凛ちゃんの練習に付き合って、うちも新しい場所で、凛ちゃん達に負けないくらい輝きたいし成長したいって思ったんよ。ありがとう、凛ちゃん。」
「うん・・。」
「うちらはどこにいてもソウルメイトやで。」
「ソウルメイトって?」
「魂共同体や。」
「お〜。ソウルメイト、なんかカッコいいにゃ♪」
「だから、頑張ってな。うちはずっと応援してるよ。」
「うん!希ちゃんも!」
「ほな、帰ろっか。」
「あ、希ちゃん!最後にツーショット撮っていい?ダンス動画と一緒にかよちんと真姫ちゃんに送るんだ♪超サプライズだにゃぁ♪」
「あはは。いいよぉ。まさかうちが一緒に練習してるなんて思いもよらないやろしね。」
「じゃ、いくよ♪」
春風がそよぐ中、ピースサインの2人は満面の笑顔だった。
星空凛は朝4時に起き、5時には身支度と朝食をすませて家を出ていた。普段賑わっている秋葉原も早朝は静かだ。凛はランニングをしながら神田明神へ向かっていた。冷たい空気が顔に当たるのがとても気持ちよかった。明神男坂の前まで着くと、ランニングの仕上げに階段を全力疾走で一気に駆け上がった。
「凛ちゃんは朝から元気やね〜。」
階段を駆け上がった先には、社務所の壁にもたれかかっていた東條希が笑顔で迎えてくれた。
「ハァハァ・・。希ちゃん!おはようにゃぁ!」
「凛ちゃん頬っぺた真っ赤になっとるよ。走ってきたから、冷たい風に当たりすぎやね。」
「でも気持ちよかったにゃぁ♪」
凛は希と一緒に過ごせる時間が嬉しかった。
「希ちゃんに昨日だけじゃなくて今日も付き合ってもらえるの、凛、とっても嬉しいにゃぁ♪」
凛は西木野宅で真姫から曲のCDを受け取った後、家で曲の振り付けをほぼ完成させていた。前から取り入れてみたかったダンスステップと、曲と歌詞を聴いて自然とイメージが膨らみ湧き上がってくる振りが重なり合って、あっという間に出来てしまったのだ。あんまり早く出来すぎたので、もう少しよく考えたほうがいいのかもと思ってみたが、最初に浮かんだイメージを大切にすることにした。
翌日、作り上げた全体のフォーメーションをイメージしやすいようにと思いっきり踊れるスペースが欲しかったため、昼間は学校の屋上で振り付けとフォーメーションを確認しながら練習し、一度家に帰って夕飯だけ食べると今度は参拝客が減る時間の神田明神まで訪れていたのだった。
「うちが神社のお手伝いから帰る時に丁度凛ちゃん見つけられてよかったわ。
こんな可愛い女の子が1人で夜遅くは危ないしな。」
「危なくないよぉ?ここは夜遅くてもライトいっぱいで明るいもん。」
「凛ちゃん、そういう問題とちゃうよ。」
凛は軽く走りながらてへっと舌を出し、ガラス張りが反射になって鏡代わりになる交流会館のほうへ移動した。背負っていたボディバッグからケータイとポータブルスピーカーを出し、会館の正面入り口の適当な場所にセットした。
「セット完了っと♪」
希も凛を追って会館前までやってきた。
「ほな、やろか。」
「希ちゃん、ウォーミングアップは大丈夫にゃ?凛はストレッチとランニングで充分だけど。」
「凛ちゃんが来る前にすませておいたよ。ばっちりやろ?」
希はピースサインとドヤ顔で答えた。
「さすが希ちゃん♪やる気充分にゃぁ♪最初はどーしよっか?カウントでいく?それとも曲かけちゃう?」
「曲でええよ。」
「よし、了解にゃぁ♪」
曲が流れると、2人は軽快に踊り出した。
希は神田明神での凛のダンス練習にずっと付き合ってたせいか、振りはほとんど覚えていた。スクールアイドルは卒業した希だったので、凛のダンス練習は客観的に見ていてもよかったのだが、凛の練習を見ているうちに自然と「うちも後ろで凛ちゃん見ながら踊っていい?」という言葉が出ていたのだった。
2人は正面入口のガラス張りに移る自分自身の動きを確認しながら数回踊った後、今度は動画を撮りより細かく1回ごとにダンスのチェックをしながら10数回踊った。3時間ほど過ぎた頃、神社にも参拝客が増えだしてきたので、ここでの練習はそろそろ終わりにしなければならなかった。
「はぁ〜。やっぱりラップの部分はキツいなぁ。」
希はスポーツタオルで汗を拭きながら、ケータイやスピーカーを手早く片付けている凛の横に腰を下ろした。
「あそこはカウントの取り方が今までにない速さやん?」
「でも希ちゃん、ほとんど完璧に踊れてたにゃぁ。希ちゃんは、なんでも卒なくこなせて凄いな〜って、凛、いつも思ってるよ。」
「そんなことないよ。凛ちゃんには到底及ばへんわ。うちは凛ちゃんの成長に凄いなぁって思ってるんよ。」
凛は片付けが終わると希の横に腰掛けた。
「それは、μ’sのおかげだにゃ。絵里ちゃん、希ちゃん、にこちゃん、穂乃果ちゃん、ことりちゃん、海未ちゃん、かよちん、真姫ちゃんと一緒に頑張ってこれたから、今の凛がいると思うんだぁ。でもまだ全然これからだから。もっともっと成長していかないとだにゃぁ♪」
凛の笑顔の奥で輝いている瞳が希には眩しかった。
「風が気持ちええね。」
「うん。いい風きてるにゃぁ。」
2人は少し無言で神社にやってくる参拝客をぼーっと眺めていた。
「希ちゃん、たぶんこの曲の初披露は新入生歓迎会のステージになると思うんだ。そしたら是非観にきてほしいにゃ。本音を言うと、このまま一緒に練習して、一緒にステージに上がってほしいんだけどね。」
凛はチラッと希の横顔をうかがった。
「歓迎会のステージの時は、うちも大学が始まってるからなぁ・・。ちょっと無理かもしれへんね。」
「だよねー・・。」
たぶんありえないだろうほんの少しの期待を膨らましてしまった凛は、少ししゅんとしてしまった。
希はそんな凛の頭を撫でながら優しく微笑んだ。
「昨日今日と凛ちゃんの練習に付き合って、うちも新しい場所で、凛ちゃん達に負けないくらい輝きたいし成長したいって思ったんよ。ありがとう、凛ちゃん。」
「うん・・。」
「うちらはどこにいてもソウルメイトやで。」
「ソウルメイトって?」
「魂共同体や。」
「お〜。ソウルメイト、なんかカッコいいにゃ♪」
「だから、頑張ってな。うちはずっと応援してるよ。」
「うん!希ちゃんも!」
「ほな、帰ろっか。」
「あ、希ちゃん!最後にツーショット撮っていい?ダンス動画と一緒にかよちんと真姫ちゃんに送るんだ♪超サプライズだにゃぁ♪」
「あはは。いいよぉ。まさかうちが一緒に練習してるなんて思いもよらないやろしね。」
「じゃ、いくよ♪」
春風がそよぐ中、ピースサインの2人は満面の笑顔だった。
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