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赦されざる者たちは霧の中に

原作: その他 (原作:かつて神だった獣たちへ) 作者: 十五穀米
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植物の中から

「植物に対抗できる能力。毒に対抗できる能力。できれば戦闘力もあると助かるって感じかな。オーレン(仮名)との対決は人よりも俺たちの方が適している。人間が素手で擬神兵に立ち向かうくらいの力の差はある。オーレン(仮名)のようにのほほんとしたようなやつでも」
「聞いての通りです。いかがでしょう、皆々様」
 するとすぐに、こちらが、こちらでと協力者の名乗りが出た。

※※※

 いったん解散し、再び揃うときはマックス(仮名)を筆頭に協力者三人とこちらの三人、見届け役のアストレイ(仮名)という面子が揃った。
 だが協力者三人は各々特徴あるものが顔を隠している。
「ねえ、あれってなに?」とライザ。
 ライザはマックス(仮名)に聞いたのだが、答えたのはアストレイ(仮名)だった。
「人間との接触に慣れていない者は、あなた方の血にあてられやすいので、そのガードです。どちらも守るものとなりますので、顔を隠すことはご了承いただきたい」
「そちらの事情は察しますけど、なんでよりにもよってジェラルド軍曹のお面を被っている人がいるのよ!」
 お面は定番のキツネ、ピエロになぜかジェラルド軍曹だった。
 たぶん、急拵えだったのだろう。
 どんな顔にするかでマックス(仮名)がいたずら心に火がつき、人間の世界ではこれらが人気だよ~とでも言ったのだろう。
 ライザはキッとマックス(仮名)を睨みつけることで、この件にはふれないで置こうと心に決めるのだった。
「もういいわ。いちいち気にしてツッコミいれるのも疲れてきたわ。というわけで、作戦会議を始めましょう。どうやってオーレン(仮名)の幻覚の中に入るの? それって私たちも入れたりするの?」
「普通ならそんな危険なことはしないよ。でも、その能力に特化した者が協力してくれるのなら、可能にもなるかなってね。俺たち一族にとって霧はなくてはならないもので、霧を操れるからこそ別の世界にも紛れることができる。俺でも霧を操って幻覚を見せることができたからさ。特化しているとしたら考えられないこともできちゃうんじゃないかってさ」
「え? もしかして、確証があるとか、見たとかじゃないの?」
「そーだよ。だって平和に暮らしていればどれも必要のない力じゃん?」
「……それはそうだけど。でもあなたたちはケインを捕まえるために動いているって。平和な暮らしとは言えないんじゃない?」
「そそーだよ。だからっておいそれと自分の力を披露はしない。得意程度ならするけど」
「それってマックス(仮名)の本領発揮は披露していないってこと?」
「してるよ? 言ったじゃん。姿を自在に変えられるって」
「……それだけ?」
「そ、それだけ。でも情報収集には役立つんだよ。だからじゃないかな。俺が選ばれたのって」
 言いながらマックス(仮名)はチラリとアストレイ(仮名)を見た。
 アストレイ(仮名)はわずかに視線を逸らす。
 ふたりの仕草を見ていれば、そうなのだろう。
「オーケー、わかったわ。じゃあ、話を戻しましょう。私たちをオーレン(仮名)の幻覚の中に入れてもらえると仮定して、どうやってするつもりなの?」
「それはさ、本人に語ってもらうのがいいんじゃない?」
 と、ピエロの面を付けた者を指した。
「協力してくれる組織から提供された資料によるとね、そういうことになっている」
 マックス(仮名)のあまりにも頼りない説明にアストレイ(仮名)は「少し付け加えさせてくれ」とマックス(仮名)がまだなにか読み上げようとしている書類を取り上げ、黙らせた。
「憶測でしかないが、その者を寄越したということはそれ相応の実績があり、対オーレン(仮名)として申し分ないと組織のボスが決定したから、というのが理由です。ボクは代理でしかありませんが、普段は代表の近くにいて、補佐的なことも任されています。そういう立場になると隠しているようでも客観的に観察して見抜けたりもするのですよ。マックス(仮名)をそちら側に派遣するようにしたいという案がでたとき、まさに適任と思ったものです。ただ、その能力がどれだけ発揮できるかは、実際に見せてもらわないとわからないのですが。でも、そういうものってわかるものだと共感はできませんか?」
 アストレイ(仮名)はライザとハンクを見た。
 ともに階級は違うが人を使いまとめる立場にある、もしくはあった者だ。
「俺はそこまで統率者として長けていたわけじゃないが、客観的に観察したり、戦っている姿を見て判断したりはするな」
「そうね……言おうとしていることは察することができるわね。一見、できそうなのにまったくのヘタレであったり、またその逆だったり。シャールなんて、完全に見た目だけで判断されたら痛い目を見させられるタイプよね」
「え? 私、そんな凶暴じゃないですよ?」
「わかっているわよ。見た目以上に心が強く負けず嫌いで……って意味」
 そこに黙らされていたマックス(仮名)が割り込んでくる。
「え? シャールちゃんて、そういう子だったの?」
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