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ビムビムの実の能力者の冒険

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
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第三十九話 襲撃(二)

その時、部屋の中に何かが投げ込まれた。
ボトン、ゴロゴロゴロ…。
タビーとマリウスは瞬時に危険を察知した。二人は転がるようにして廊下に飛び出してドアを閉めた。
「伏せろ!」
マリウスが大声で怒鳴るのと同時に、閃光が辺りを照らした。
その直後、大きな爆発音が響いた。

バァン!!

振動で柱がギシギシと音を立て、漆喰の壁と天井の一部が崩れた。照明器具や壁に掛けてあった絵画等も、崩れた漆喰と一緒にガシャガシャと降ってきた。
「うわあああ!」
「お、お屋敷があああ~~っ」
フロリモンとカントーがその場で床の上に身を伏せて、両手で耳をふさぎながら叫び声を上げた。
振動が収まって顔を上げると、客間の中で火が燃えているのが分かった。
「か、火事だ!早くお屋敷の外に!」
フロリモンが叫んだ。
「ダメよ!!」
タビーが反対の声をあげた。
「外に出て行ったら相手の思うつぼですっ。上です!屋上に出るのよ!!」
この屋敷は大きくはないが、石造りで西洋の古城のような四角い形をしており、屋根はなく、建物の一番上は屋上になっている。
「し、しかしそれでは火が回ったらますます逃げられなくなりますっ」
「大丈夫です!屋上から助けてもらえます!」
もうすぐアルと一緒に二人の海賊が来るはずだ。しかし、それを説明する暇はなかった。

ゴトンッ、ゴロゴロ…

廊下の突き当りの壊された窓から、さっきと同じものが投げ入れられた。
「急いで上に!この人の言う通りにするんだ!!」マリウスが大声で叫んだ。
「ひええええ~~~」
4人は階段に走った。この時、投げ込まれた小型爆弾の近くにいたカントーが、勇敢にも手に持っていた長い槍で、これを廊下の隅に弾き飛ばした。

バァァン!!

さっきよりも大きな爆発音がしたような気がした。爆風で飛び散った細かい塵が肌に突き刺さり、床や柱がガタガタと揺れたが、4人は必死で階段を駆け登った。
この建物は2階建てだった。
「こちらです!」
フロリモンが2階の隅にある、屋上に通じる階段への扉を指し示した。
「奴らが追って来なければいいのですが…」
カントーがどこからか椅子を持ってきて、閉めた扉の前に横にして立て掛けた。これで少しは敵が入ってくる時に障害になる。
階段を上がったところにもうひとつ扉があって、その扉を開けて4人は屋上に出た。
4人は身を低くして端に寄って下を見てみたが、暴漢達の様子までは分からなかった。また、大きな炎は見えないが、階下が妙に明るいような気がした。
この建物は天井が高いので、2階までしかないくせに、屋上から地面までの距離がかなりある。
4人は見つからないように奥のほうに引っ込んだ。そしてタビーが自分の考えを簡単に説明した。
「アルと一緒にいる海賊が到着すれば、ここからすぐ助けてもらえるから安心して下さい。ただ、いつ到着するのかが…」
「下の階はどのくらい燃えているのだろう。時間との勝負かもしれない…」
マリウスが冷静に言った。そして、フロリモンとカントーに電伝虫と武器を持ち出すことができたかどうか聞いた。
「電伝虫は残念ながら…」フロリモンは悲しそうに言った。「かわいそうに…。自分で逃げてくれればいいが…」ただ、さっき武器として使っていたモップの柄はずっと手に持っていた。
「武器はこれの他は持ち出せませんでした」カントーもしゅんとした様子で、手に持った長い槍を見せながら言った。
「あの状況ではしょうがありません。無事にここまで逃げられただけでも良かった」
マリウスは笑顔でそう言った。電伝虫があれば誰かに連絡することができたのだが…と心の中で思ったが仕方がなかった。それに自分以外の3人もそう思っているだろう。
「…きな臭いですな」
フロリモンが空気の臭いをかぎながら言った。火が回ってきているのだ。
「ここからアル達にビームで合図を送ったら…敵にも気が付かれるかしら?」
「気が付かれるだろうね」
マリウスが肯定した。しかし、続けて彼はきっぱりとこう言った。
「でも、ここに僕達がいることを誰かに気付いてもらったほうがいい。アルでも、近所の人でも」
フロリモンとカントーも頷いた。
「その前に、君の剣とこれを交換してくれ」
マリウスが、上着のポケットから護身用の小さな短剣を出してタビーに言った。マリウスはタビーが服の中に剣を隠し持っていることに気付いていた。タビーはフロリモンとカントーに中が見えないようにスカートをめくり、ベルトごと剣を外してマリウスに渡した。
そして、「それでは…、合図を出します」と3人に言ってから、空に向けて光の玉のようなビームを何発か撃った。

屋敷の外では暴漢達がしびれを切らしていた。屋敷の中にはすでに大きな火の手が上がっているが、悪魔の実の能力者は屋敷からいまだに出てきていない。
「ちくしょう、時間稼ぎされちまってるぜ…」
「死んじまったんじゃねえのか?」
その時、建物の上から光の玉が上がった。
「上だ!!奴ら建物の屋上にいやがる!!」
「どこかに合図を送ったのか…くそっ…」
男達のうちの一人が、瞬間的に逆上し、独断で行動を起こした。なんと懐から小型の爆弾を取り出すと、火を付けて屋敷に向かって思いっきり高く投げた。
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