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ビムビムの実の能力者の冒険

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
目次

第三十八話 襲撃(一)

タビーとマリウスはソファの陰に倒れ込んで矢をよけた。
ヒュン!ヒュン!ヒュン!
間髪入れずにさらに数本の矢が撃ち込まれ、それと同時にどこかの扉や窓が破られる音と、フロリモンかカントーの悲鳴が聞こえた。
ガンッ、ガンッ!! ガシャーン!!
「ひ、ひええええ!」
客間の他の窓も、複数の斧によってガンガン叩かれて次々と割れた。タビーは、壊れた窓から侵入しようとした暴漢が持っていた斧をビームで破壊した。ビームはその暴漢の肩も貫通した。
「くおぉっ!!ちくしょうっ、やられた!!」
「ひるむな!あいつだ!あいつが悪魔の実の能力者だ!!」
ビームを発射する時に赤い光を放つタビーの目を見て、暴漢達は恐れるどころかかえって沸き立った。
怪我をした仲間を押しのけて部屋に入ってこようとする暴漢に向けて、タビーはビームを連射した。
「ぎゃあっ!!」「くそっ!」
数人がビームの直撃を受けて傷を負い、ある者は自分で、ある者は仲間に引きずられて退却した。
タビーはソファの裏から飛び出した。
廊下に出ると、突き当りの窓を破って侵入しようとしている複数の暴漢の頭を、フロリモンが長いモップの柄で叩いているのが見えた。
台所では、カントーがドアを破って侵入しようとする2人の暴漢に、暴漢から奪い取った長い槍で応戦していた。
また、玄関側にある窓のひとつが壊され、廊下にいるタビーに向かって、ガラスの隙間から矢が放たれようとしていた。
タビーはこれらの3か所に向けて次々にビームを連射した。タビーに矢を放とうとしていた暴漢は矢を放つのを諦めて逃げたようとしたが、一瞬の差で間に合わずに肩の辺りにビームを受けて、悲鳴と共に後ろに倒れた。フロリモンとカントーに襲いかかっていた暴漢も、足や腕にビームを受けて退却した。
タビーは素早く周りを見回しながら、二人の使用人に声をかけた。
「二人とも大丈夫っ?」
「お、お客様…」
「た、助かりました」
窮地を救われたフロリモンとカントーが、震える声で答えた。

一瞬のうちに何人もの仲間が次々と傷を負い、暴漢達はさすがにひるんで一時退却となった。全員で一か所に集まって状況を確認すると、12人中9人が何らかの傷を負っていた。
特に、悪魔の実の能力者が放つビームは、全て急所を外れていたが、ほんのわずかな溜めの間もなく、いきなり尋常でないスピードで飛んでくる。そのため、よけることもなかなかできない。命中率が高く、まさに「視線だけで的を狙える」といった感じだった。
「これが悪魔の実の能力かよ…」
「俺達…勝てるのか…?」
数人が弱気になっていたが、例の凶悪な男がこれを一蹴した。
「何を言ってやがる。ヤツはとっくに疲れてヘロヘロになってるぜ」
別の男が同意した。
「俺もそう思う。やっぱり連続の攻撃はキツイらしいな。後のほうの攻撃は格段に威力が弱い」
そう言って、自分の足に付けられた火傷のような傷を見せた。初めのほうの攻撃を受けた者の傷と比べると、明らかに軽症だった。
さらに別の男もこう言ってきた。
「大勢で一斉に襲う戦法は正解だったな」
「攻撃開始から3分経過か…。次で仕留めるぜ」
例の凶悪な男は、そう言って庭の隅に隠しておいた袋から小型爆弾を3つ出してきた。
「お前、こんなもんを持ってきてたのか…」
「死体がバラバラになって回収できなくなるんじゃねえか…?」
「まさかそこまでの威力はねえさ…直撃でもしない限りはな」
男はニヤリと笑って、これからの作戦を説明し始めた。
「あまり目立つことはしたくなかったがしょうがねえ。こいつを屋敷の中に放り込んで、ヤツらが外に出てきたところを袋叩きにするんだ」
仲間が頷いて同意した。
「ヤツらが出てくるとしたら玄関か裏口だろう。玄関と裏口を中心に屋敷の周りを取り囲め。爆発音で人が集まって来ちまうかもしれねえが、その時は上手く逃げろ。いいな?」
「おう」「分かった」
「1分後に攻撃開始だ」

タビーは客間のソファの陰に座りこんでいるマリウスのところに駆け寄った。
「マリウス、大丈夫?怪我は?」
「ははは…。腰が抜けちゃって…」
しかし、マリウスはこう言って笑いながら、自分でしっかりと立ち上がった。
「それがビムビムの実の能力か…。すごいね…」
「そうよ。目からはビームが出せるし、口からは炎も吐けるわ」
フロリモンとカントーは、破られたドアの前に倒したテーブルを立て掛けてから客間にやってきた。
「強盗達は諦めたでしょうか…」
「恐ろしゅうございました」
口ではこんなことを言っているが、さっきの二人の戦いぶりは非常に勇敢だったとタビーは思った。
「警察に連絡を…」フロリモンがあたふたと電伝虫を取りに行った。
カントーも「護身用に用意してあった武器を出さないと…」とあたふたと走り出した。
屋敷の外は妙に静まりかえっていた。
マリウスが不安そうな表情をした。
「アルは大丈夫だろうか…。この屋敷に近づいたところを奴らに襲われるなんてことになったら…」
「ローとゾロが一緒だから心配ないわ」
タビーは即座にこれを否定した。
「それと…この盗賊たちの目的は一体何なんだ?さっき悪魔の実のことを言っていたような…」
マリウスが眉をしかめながら言った。
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