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ビムビムの実の能力者の冒険

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
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第十八話 美しき逃亡者

「ぎゃああ~っ!俺の足に何をするんだ~~」
「ならさっさと吐け」
林の中では、ローのオペオペの身の能力による身の毛もよだつような尋問が行われていた。
三人の男はなかなか口を割らなかった。気が短くなっているローは、さっさと三人の男の体をバラバラにした。
そうしたら、ちょっと目に付いた1本の足にタビーのビームによる大きな切り傷があったので、外科医の性で何となく縫い合わせたところ、それがかえって恐ろしかったらしく、足の持ち主が悲鳴を上げた。
尋問しながら地面に転がっている無数の体のパーツに目をやると、こっちの胴体の背中にもザックリ切られたところがある。今度はこっちを縫うか…と胴体を拾って服を剥がしたら、
「勘弁してくれ~!吐くっ!何でも吐くから許してくれ~~」
と、三人のうちの一人(の首)が悲鳴を上げた。
「いい心掛けだ。しかし、この傷はほっといちゃいけねえ」
「うわああ~~…」
このようにして、ローは男達からわずか10分足らずで何があったのかを聞きだし、傷の手当ても、こちらのほうはある程度なのだろうが、同時に完了させた。
ゾロは三人の男に同情する気はさらさらなかったが、このような方法で尋問されることに対してだけは気の毒に思った。ただ、実際に彼らは傷の手当てをしてもらっているのだ、ともゾロは考えた。恐い思いをするだろうが、最終的にはコイツらのためになっている。気の毒がることはない。
男達が話した内容はこうだった。列車に乗っていた一人の女性を誘拐しようとしたが反撃され、馬を奪われて逃げられた。女の反撃は予想外のものだった。女の目から、殺傷能力のある光線が飛んできた…。
「それはタビーって名の女だな?」
ローは、ほぼ分かり切ったことだと思いつつも、誰かの腕の傷を縫いながら訊ねた。
「自分でそう名乗ったのなら、タビーって名前なんだろ」
腕の持ち主であろう男が、皮肉そうな笑みを浮かべながら答えた。
「目的は何だ?」ゾロが訊ねた。
「さあな」
男は反抗的な態度を取ったが、ローが傷口を縫う手を止めて「おい」と睨みを利かせると、すぐに大人しくなって次のように言った。
「俺達はある人の命令に従っている…とだけ言っておこう」
「…」
つまり、主犯格となる人間が存在するということだ。そうすると、コイツらに構っている間に、タビーの身に新たな危険が迫る可能性もある。事態は思っていた以上に深刻かもしれない。
ローとゾロは、すぐにタビーの後を追いかけることにした。バラバラになったままの三人をその場に残し、地面に付いた馬の蹄の跡を確認する。
ゾロが駆け出しながらローに言った。
「鬼哭があの女のいるところに飛んで行ってくれたら有り難いんだが…」
ローがちらりと鬼哭を見る。肩の上の鬼哭は、何の反応もしなかった。

タビーは一頭の馬に乗り、もう一頭は手綱を引いて並走させて、林の中を進んでいた。
タビーはこれからどうするか迷っていた。今回は逃げることができたが、すぐに追手が来るかもしれない。できるだけ遠くまで逃げたほうがいいが、逃げるにしても、街に出て人に紛れるか、このまま林の中を進むか。
現実的に考えると、このまま林の中を進むには、今身につけている装備だけでは足りない。リュックに入っている水と食料は大人一食分にも足りないし、この付近の地理も詳しくは分からない。馬に飲ませる水も必要だ。
このようなことを考えながら馬を走らせている時、タビーは前方の木立ちの間に建物が見えるのを見つけた。近づいていくと民家らしき家で、幼い二人の子供が家の近くの木の下で遊んでいて、中年の女が庭の井戸で水を汲んでいた。
タビーは井戸の近くまで行って馬を降り、女に話しかけた。
「すみませんが、馬に飲ませるための水を分けていただけませんか」
女はタビーをまじまじと見てから言った。
「ああ、いいよ。好きなだけ飲ませてやるといい」

馬に水を飲ませた後、タビーは女に、ここからツールーズに行く方法を尋ねた。すると女は、得意げに家の中から地図を出してきた。
「今いるところがここだよ。この太い線が街道だ。この手書きの線は、あんたが通ってきたような細い山道だ」
「まあ」
女が持ってきた地図は、付近の山道を自分で書き込んだものだった。タビーが今まさに必要としている情報である。
「こういう地図があると便利だろう」タビーが驚いているのを見て、女は胸をそらせた。
タビーは神経を集中して、地図の内容を頭の中に叩き込んだ。そして、目的地をツールーズから国境を越えたところにある街に変更した。それでも日が落ちるまでの約4時間で到着できるかどうかは微妙だった。
タビーは女に礼を言って、急いで出発した。
それから程なくして、女のもとに一人の男が馬で訪れた。
「馬を2頭連れた若い女がここを通らなかったかい?」
「ああ、さっき通ってったよ」
「どこに向かうって言ってた?」
「ガスケーニュ王国に行きたがってたようだね」
ここで女はふと、男がどうしてそんなことを訊ねてくるのか興味を覚えた。
「あの人がどうかしたのかい?」
「あの女性は大きいお屋敷のご令嬢でね、何があったかは知らないが、一人で家を出て行ってしまったらしい。お屋敷では大騒ぎで行方を捜してるよ」
女は納得して、大きく頷きながら言った。
「なるほどね。確かにそんな感じだったよ」
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