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『遊戯王-デュエルモンスターズ外伝 The end of Endless Rondo』

原作: 遊戯王 作者: コモン
目次

ターン001:終わりの始まり

   ~~プロローグ~~


 男「リバースカードオープン!《闇の大竜巻》!」

──暗黒で覆われた闇の荒野に傷だらけの二人のデュエリストが対峙している。

延々たる曇天、永遠の百夜。やや血生臭い生暖かな風が這いずる世界。…ここは現実の世界から隔絶された、"闇の世界"と呼ばれる異空間だ。

褐色の肌にギザギザの長髪をしたローブを纏った男と、油臭そうなクタクタのツナギを着た白いバンダナを巻いた青年の二人だ。そしてその結末を、異形の影法師達が遠巻きから生暖かい眼差しで見つめ、ぐちゃぐちゃと闇の中で蠢いていた。

 男「フィールドにある全てのカードをゲームから除外!…その後、互いのプレイヤーは除外されたカードの中から1枚を墓地に送り、デッキからカードを1枚ドローする!」

   ──シュビィっ!

 青年「く、俺の壁モンスター達が!」

 男「……くくくっ、奈落に落ちるのは貴様の方だったなぁ"。俺に歯向かった事を存分に後悔しながら闇へと消えるがいい!」

 青年「ふ、まだ勝負はついてない!俺の手札にはクリボーだってあるんだ。
マジックカード《終焉のカウントダウン》の効果で次のターンになれば勝つのは俺だ」

 男「くくくっ、カウントダウンは既にゼロさ。
貴様に次のターンは来ない!!…マジックカード発動!《死者蘇生》!!
さぁ再び蘇れ《ラーの翼神竜》!!」

 青年「……、そんな!!」

 男「うはははははは!!…カードは持ち主を選ぶという。神(ラー)は再び俺を選んだのだ。…俺こそが神のカードの所有者に相応しいデュエリストなんだよぉ!!」

 青年「ふん、今さら攻撃力0のモンスターで何が出来る!?」

 男「…神にはプレイヤーのライフポイントを攻撃力に変換する特殊能力が備わっている」

   ──男のLP2000 → 残り1ポイント
   ──ラーの攻撃力0 → 1999ポイント

男の肉体は炎の不死鳥と一体となり、残した1ライフポイント分の眼だけが青年を真っ直ぐ見据えている。その眼はもっともっと快楽を得てイッてしまいたいと言う様な、そんな血走った眼だ。

 男「…よく見ろ。これが神との融合!貴様の死に様だぁ!……神(ラー)の攻撃!!"ゴッドブレイズ・キャノン"!!!」

ド、っと熱風と爆煙轟かし紅蓮の火柱が空を切り裂いた。業火絢爛に包まれ、焦げていくデュエリストの苦悶と絶叫を見て男は狂喜絶頂しながら神火を吐き続けた。

 男「あ"ははははは…!灰となって消えろ」

 青年「…わああぁあああぁああ!!…がぁ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ!!!…」

   ──ライフポイント……0


炎塵が晴れ、辺りに再び闇が満ちた。
勝者は天空を仰ぎ、敗者は荒野に崩れ落ちる。

…するとグググッ、と虚空が歪み二人の頭上に一閃の光が舞い降りてきた。
"ソレ"は黄金の閃光放つ、翼の生えた花札の様な不思議なモニュメントだった。


 ?『──デュエル終了ヲ確認。…勝者、マリク・イシュタール。敗者、伊達 騎士(ダテ ナイト)ト判断…』

 勝者、マリクと呼ばれた男はニヤニヤと笑みを浮かべながら、敗者、伊達と呼ばれた青年のカードデッキからカードを1枚引き抜き天に翳して言い放った。引き抜いたカードはトラップカード《奈落の落とし穴》だ。

 マリク「…さぁ!次の対戦相手を寄越せ!全員奈落の底に沈めてやる」

決闘の成り行きを静観していた影法師達は獲物を横取りされたハイエナ達の様に、"ソレ"の光を嫌い外野で蠢いている。

光照らすソレは勝者の腕に"★"の烙印を刻み付け、1枚の"光のカード"をその手に与えた。
"光のカード"のテキスト欄には《光を束ねし時、道は開かれん》等と記されている。
絵柄は無いが、青と何個かの赤いマークが明滅していた。

マリクは腕に刻まれた5つ目の"★"を愛おしそうに指でなぞり、"光のカード"を懐へ仕舞った。

 ?『…決闘者達ヨ、戦イ続ケヨ。力ヲ、魂ノ光ヲ……』

などと言い残し、ソレは光の粒となってやがて消えていった…。
再び影法師達が横たわるデュエリストに群がり肉体を奪いあう。

 マリク「…くくく、待っていろ遊戯!光の世界へと戻った暁には、真っ先に貴様を地獄へと送ってやる」


マリクはそう怨嗟の言葉を吐きながらフードを被り直すと、奈落の闇に沈み行く青年の姿を一瞥してフラフラと何処かへと去っていった──


──これは、闇の中に消えて行ったデュエリスト達の決闘(たたかい)の記録…。歴史に語り継がれる事のない闇の決闘(デュエル)の物語。
彼らの"バトルシティ"は人知れずに終わり、そして、人知れず始まりを迎えていた…──



 『遊戯王-デュエルモンスターズ外伝 The end of Endless Rondo』
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