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アナタの隣で

原作: 名探偵コナン 作者: rabun
目次

第六話 『お見通し』

バッ

相手を突き放し、距離を取る

あまりに突然の出来事に思考が停止する。

(何が起きているんだ・・・今・・・何が)


「ふ、るや・・・さ!な・・にを・・・」

自分の唇に手をあて、状況を整理しようとするが、
頭がぼーっとして思考がうまく追いついていかない。

体中が熱く燃えるようだった。
これは決して暑い夏の日だからではない。



「・・・」

彼はじっとこちらを見つめなにも答えようとしない。

彼の目はいつもの穏やかな目をは少し違っていたが、
優しく包み込むようなまなざしだった。


「え、僕・・・、何が起きたのか・・」

しどろもどろになりながら現状を必死で把握しようとする
柄にもなくジタバタして鼓動の音を隠そうと必死だった。


ふわっ・・・・


「・・・風間」


優しい香り。

温もり。


彼が自分を覆い、包んでくれていることに気づくまで、
一定の時間を要した。


「・・・降谷・・さん・・・?」

「・・・何も言うな、言わないでくれ」





「今はただこのままで」






彼の言葉を聞いて自然と体が動いた。

彼の肩

彼の背中

全てが愛おしく離したくなかった。


愛しい彼の体を抱きしめ返す。
鼓動がより激しく脈を打つのがわかる。


心臓が破裂しそうだ・・
彼にこの音が伝わってしまうかもしれない・・・

それでも彼を離すことなどできるはずもなかった


心地よい風と木漏れ日の中、
ただ彼の温もりだけを感じていたかった。




「風間・・・俺は、今ここにいられることが幸せなんだ」



しばらくの沈黙のあと、耳元でそっと囁かれる。



「ここでこうやってお前が居て、確かにここにいるって生きてるって実感が得られるんだ」


彼の声はどこまでも優しかった

「俺は、自分に嘘をつき続けるのはもう疲れたんだ」


彼の腕に力が入るのが分かった。


「せめてお前の前でくらい。本当の俺で居たい。・・・何を隠すわけでもなく、繕うわけでもなく。ただ、本当の・・・本当の俺を見ていて欲しいんだ。」


彼の言葉に答えたくても声はでない


ただただ抱きしめ返すことしかできなかった




「・・・・・俺に隠していることはないか」



昨日の質問を改めてされる。

鼓動が更に早くなるのが分かった。



「・・・・・・あります。」


素直に答えようと思った。
彼も自分の思いを伝えてくれたんだ。

『繕うことのない本当の自分』

自分だってそうだった。
きっと、自分のすべてを見て欲しかった。

自分以外の誰かではなく、
自分を選んで欲しかった。

『彼の隣にいればそれでいい』
なんて綺麗事だったんだ。

『彼の隣は自分だ』という強い自負。
それが、ここまで心を覆い尽くすことになるとは思ってもみなかったが、今では自分でそれを受け入れ、素直になることができる。



「降谷さん・・・」

それも全部彼のおかげだ。

彼の存在が自分の中で大きくなっていた。
彼が居てくれたから、自分は今こうしていられる。


(伝えなくては・・・)

(この・・・思いを・・・)





絡めていた腕をほどき、目の前の愛しい彼に目を向ける。

彼はこちらをじっと見つめ、俺の言葉を待ってくれている。






「・・・・・・」





ぎゅ・・・

なかなか話し出せない俺の手を。
彼は優しく握ってくれる。








「僕は・・・」





鼓動の音が一段と早くなる
心臓がこれほど脈をうつとは知らなかった





「降谷さんのことが・・・」





自分の鼓動の音で声がかき消されるようだ

やっとの思いで振り絞った声が
彼にきちんと届いているだろうか・・・






「・・・///」










ここまできて最後の言葉が出てこない

何かがのどにつかえてしまっているようだった




(あと・・・少し・・・)



(出てくれ・・・俺の声・・・)




伝えたいんだ。

あの人が自分の中でどんな存在か。

何を与えてくれているのか。

あの人がいてくれるおかげで・・・

自分がどれだけ救われたか



自分が彼を・・・・



どれだけ・・・・













「・・・大丈夫だ・・・」



彼は強く手を握りなおしてくれるた。

「・・・!」

彼の方をもう一度向くと彼と目が合った。


いつもとは違う穏やかな微笑みがそこにはあった。









「ふふっ・・・『お見通し』・・・ですね」


「・・・あぁ・・・」




彼はまた自分を見つめた。
その瞳はさきほどまでと違い、真剣で強い眼差しだった。


「・・・ッ///」

そのまなざしから目を逸らせず、
体が硬直するような感覚になった。








「風見・・・・・」




彼は俺の頬から唇へとその指を這わせる。


「降谷・・・さ・・ん・・・ッ」



そしてゆっくりと、確かに自分の方へと顔を引き寄せる・・・














ーサァ・・・-

心地よい風が頬をすり抜けていく。

木々たちの間から差し込む木漏れ日が、
2人を優しく包み込んでいる。



ーチュ・・・ッー


静かな時の中、二人の音だけが響く


ー・・・チュッ・・・チュゥ・・・-

まるで互いの存在を確かめ合うように
無心でそれを重ねあう


「・・・ン・・・ッッ」


「・・・か・・・ハァ・・・・ざみ・・」


意識が朦朧とする中、彼が自分を呼ぶ声が
頭中に響き渡る

まるで媚薬のように体の神経がすべて
彼に奪われていくような感覚だった


「・・・・・ふ・・るや・・・さ・・ハァ・・・ん・・・ッ」


彼の唇、舌、息、すべてが愛おしい











「・・・ハッ・・・ンハァ・・・愛し・・・て・・・まッ・・・す・・・」

「///////!!」


「・・・降谷・・さん??・・・ンンッッ///」



更に激しくなる口づけに
お互い、もう正気ではいられなくなっていた。



お互いの心の奥底にあった思いのままに、
ひたすらに互いを求めあっていった・・・













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