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仲間・親友・それから…

原作: その他 (原作:ハイキュー) 作者: 久宮
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第2話

練習終わり、ラーメンを食べて帰ろう言いながら着替えを済ませる。そして、いつものラーメン屋で4人が各々の注文し終わり、奥の席に座っていた松川が、人数分の水をコップに注ぐ。
「そーいや、合宿の件ってどうなった?」
コップを差し出しながら、松川は及川に質問する。及川は「ありがとう」と受け取りながら、
「本決まりではないみたいだけど、多分問題ないって。決定の報告は明日になるかな」
及川の返答に、他の3人は了解の意を表した。
今日あったクラスの笑い話や、テレビの話などをしていると、注文したラーメンが運ばれてきた。それを、やはり話しながら食べる。男子高校生の食欲はすごく、ここで仲間たちとラーメンを食べて帰っても、家で食べる夕食はまだ入るのである。
スープまでしっかりと飲み干した4人は、満足げに店を出る。そして、そのまま歩き出す。
しばらく行くと、
「じゃ、ここで」
「また明日―」
と、岩泉と及川が自宅に向かう道へ曲がって行く。花巻と松川は、「おぅ」と手を上げ別れる。そこからしばらくは、2人は同じ道を帰る。
「そーいやさぁ、クラスの水瀬がに彼女できたんだって」
「へー、マジか」
「なんか、2年に告られたらしい。いいよなぁ」
花巻の友人の話を松川に話す。
「部活の後輩とかか?」
「いや、部活じゃなかった…と思う。なんだっけ…」
聞いた話を思い出す花巻に、
「花巻も彼女とかほしいの?」
と松川が質問する。
「そりゃ、いたらいいなぁ…とは思うよな」
と、さっきまで前を見て歩いていた花巻が、キッと松川を見てくる。
「だってさぁ、このまま行ったら俺の青春は、バレーボール一色だぜ。そう思うと、そーゆーイベント的なことがあってもいいよなとか思う」
今度は、なぜかガッツポーズをしながら熱く言ってくる。
「ってか、そもそも好きな子とかいるの」
松川の質問に、そっとガッツポーズを下げながら
「…いない……けど」
と言う。その答えをきいた松川が
「ふーん……」
と小さい声で言った。
「ってか、まぁ、及川みてると、彼女いらないかもとも思ってる自分がいるのも確かなんだよな」
「何それ」
花巻が言った意味が分からず、松川が聞き返す。
「だってさ、『バレーボールしてるところがかっこよくて好き』って言われて付き合い始めても、『部活ばっかり!』とか『岩泉とばっかり一緒にいる』とか言われて責められて、結局別れてるんだぜ。俺、バレーボール好きだし、部活楽しいし、みんなで遊ぶのも楽しいし、それを『嫌だ』とか言われたら、正直ムリだもん」
両手を頭の後ろに組みながら、花巻は話す。
「そんな事言われるくらいなら、彼女とかいらねーっとも思う」
それを黙って聞いていた松川に、花巻が逆に聞いてくる。
「松川は彼女ほしくない?」
それに対して、
「今んとこいらないかな」
と一言で返す。
「そーなんだ。じゃ、好きなやつもいない感じかぁ」
花巻が答えると、少しの間があった後、
「好きなやつかぁ…」
と、前を見たまま答えた。
「ぅえ。マジで。気になるやつとかいるの?俺の知ってるやつ?」
花巻は、松川からそんな答えが出てくるとは思わなかったのか、変な声を出しながら、矢次早に質問し返した。
「知ってるような、知らないような…ってとこ」
「んだよ、いいじゃん。教えろって」
はぐらかすような答えをした松川に、花巻はくらいついてくる。
「どーすんの、その子もバレーボールになんだかんだ言ってくるような子だったら」
さっきの話の流れで、部活の事について仮定の話をする。
「だから、告るとかそんなこと、考えたこともなかったわ。でも…まぁ、ただバレーボールについては大丈夫」
「はぁ?」
「間違えなく、スゲー理解あるから」
花巻の方を見ながら、そう話してくる。
「じゃ、マジで告っちゃえばいいじゃん」
花巻は勢いよく話してくるが、それを冷静なトーンで
「んー、でも気になるってだけで、それ以上の感情はないと思うから」
とだけ返す。
「そーいやさ、結局のとこ、及川たちは付き合ってんの?」
急に花巻が言ってきた。確かに、ただの幼馴染というには距離が近く、及川の旦那といえば、だれもが『岩泉』と答えるような状況であるが、本人たちからは別に何も聞いたことはない。
「さぁ。ってか、今更『付き合ってます』でも『付き合ってません』でも、どっちにしても驚かないけどな」
と言う松川に、花巻も「それな」と笑いながら返す。
しばらく二人で笑った後、少しの間をあけて松川が
「花巻って、男と男が付き合うの否定派?」
と質問してきた。
「何それ?」
それを質問で返すと、
「いや…なんとなく。今の話の流れ的な感じ?」
とあいまいに答える。
「否定も肯定もしてねーよ。まぁ、俺は今まで女の子としか付き合ったことないけど、別に本人たち次第なんじゃないの」
と答える。
「ふーん…」
松川は、花巻の答えを聞くと、そうつぶやきながらまた前を向いた。
そして、松川は自宅へ向かう為に左折しながら
「じゃ、また明日ね」
と片手をあげる。花巻も
「おぅ。明日なー」
と片手をあげる。さっきまで、勢いよく話していた花巻だが、別れ際はいつものテンションにもどり、松川と別れた。歩きながら、バッグからヘッドフォンを取り出し、セットする。
(松川がねぇ…ちょっと意外かも)
そんなことを思いながら、曲を再生する。
(あ、結局誰なのか聞き忘れた)
しばらく歩いた時に、ふとそんなことを思い出し、いつか絶対に吐かせてやろうと思いながら岐路についた。
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