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銀魂短編集

原作: 銀魂 作者: 神崎しおり
目次

銀時×土方

「万事屋ァ……」

「わっ、土方君。どーしたの、突然じゃねーか」

いつものようにだらけながらジャンプを読んでいると、愛しの土方君がやって来た。

もう少ししたら俺が屯所に愛に、いや会いに向かおうと思っていたところなのになぁ。

でも、行かなくてよかった。土方君が自ら俺に会いに来てくれただなんて嬉しくてどーしようもないもの。……本人には口が裂けても言わないけどね。

それにしても土方君は、銀さん好みの相変わらずの綺麗な顔だねぇ。

好都合なことに、今日は新八も神楽もいねーんだ。

「あのな、万事屋、話しが……あるんだ」

そっか、土方君は俺に用事があってわざわざ来てくれたのかな。

「んー?話しって何?銀さんね、土方君の話しなら何でも聞くよ~?」

「別れよう」

「……は?」
突然言われた言葉に、俺は頭が真っ白になる。

「オイ、いきなり何だよ……?何、間違ったこと言ってんだよ」

「そうだな……別れようは間違ってたかもしれねェな」

そうそうそう、今すぐ前言撤回しようね土方君!

「そもそも俺達付き合ってなんかなかったよな」

「え」

「だって俺達、男同士だし……男同士で付き合うって何なんだって話しなんだよ」

「今更なんだよ、そんなこと気にしてたのかよ」

「とにかく別れたいんだよ。俺はてめぇと」

「待って、落ち着いて土方君」

すると、土方君は壁に拳を勢い良く叩きつけた。

「落ち着いてるってーの!俺さ、お前との……いろんな事あやふやにしててさ、ちゃんと向き合ってねーっつーか……てめぇを振り回してるだけなんじゃないかなって思ってさ。そんなんだったら、別れたほうが「土方君」

俺は土方君の発言を止めるように言葉をかぶせた。

「向き合わなくていーんじゃねーの、別に」


俺がこう言うと、土方君は えっ ってびっくりしたような顔をしていた。

「振り回してもいいし、付き合うのが何かとかも別に考えなくていいんじゃねーの?土方君のしたいようにすればいいじゃん。俺もしたいようにしてるし」

な?と言って俺が微笑むと、何故だか目の前のこの人は声を殺して泣き始めた。

「えっ!?わーっ、ちょ、何で!?」

身体を縮こませて腕で顔を隠し、まるで娘のようにしおらしく涙を流している。

「泣くなよ~……」

今日の土方君は様子が変だ。もう、銀さんどうしたらいいかわかんねーよ。

「なぁ、泣くなって」

「や」

「土方君」

「やだっ放せよ」

俺は土方君の両頬を優しく包んでやった。そして

「大丈夫だから、な」

あやすように土方君の後ろに手を回し軽く抱きつくと、こいつも俺に抱きつくような形をとってくれた。

「うっ、うっ……」

しかし、相変わらず泣き止んではくれないようだ。

「参ったな……どうしたら泣き止んでくれる?」


俺は土方君の顔を持ち上げ、両頬を優しく包んだ。

「ほれ、いつまでも、んな顔してっとエッチな事すんぞっ」

いつものように、照れながら怒る顔が見たかった。涙が止まってくれたらいい、と思っての発言だった。それなのに

「……いいぜ」

「へ?」

ゴソ

「や、悪ィ。嘘だって……ちょ、土方君?おいっ……」

チゥッ

土方君が俺のを……

「……っ、おいマジで。よせってバカ……くすぐってーよ」

俺はこいつの顔を持ち上げ、片手で頬をムニッと掴んでやった。

「土方君」

きょとんとした顔で俺のことを見るこいつの表情は、……正直可愛すぎた。


「てめぇが俺にエッチぃ事してどーすんだよ。つーかよぉ……冗談だってーのに、もう知らねーからな!ヒィヒィ言わせてやるよっ」

「ふっ」

目の前の愛しいこの人は、くすくすと笑い始めた。

「言葉選びが古ィんだよ、てめぇは」

「……良かった」

「あ?何がだよ」

いつもの土方君だ。

「やっと笑った」

俺が微笑むと

「ばかやろぉ……」

頬を染めながら照れたように俯いてしまった。

さて、土方君もいつもの調子に戻ったことだし、これから第一戦でも始めるとすっかね。

……覚悟しとけよ、十四郎。

end
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