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幻太郎とチョコレート

原作: その他 (原作:ヒプノシスマイク ) 作者: Q_ra123
目次

幻太郎とチョコレート

今日の帝統は運が悪い。

「あ~~~大負けしちまったぜ…。あともうちっとだったんだけどなぁ…。」

帝統は大きなため息をつきながら、渋谷の街を歩いていた。

―――ギュルルル

「あ~~~腹減ったぁぁぁ!昨日から何も食ってねぇ…。理鶯さんとこ行こうかな…。」

―――グギュルルルルル

「いや、ハマまでもつ気がしねぇ…あ、そだ!」

(ピッ…

「んぁ~げんたろー?今からお前んち行っていい?・・・・・うるせぇよ!!!たまたま運が悪かっただけだ!」

・・・

「おう!んじゃあ、もう着くから切るわ!」

(ピッ


んったくよぉ~、げんたろーのやつ…馬鹿にしすぎだろ…!!!今日はたまたまツイてなかっただけだって言ってんのによ。「あなたが勝てる日は来るんですかねぇ
~~~。わらわは待ちくたびれたでおじゃるよぉ~~~」…なんてわけわかんねぇこと言ってやがるし。……あぁ…思い出すだけでムカついてきた!!!



ブツブツと帝統が言っているうちに、幻太郎の家がすぐそこに見えた。

(ドンドン
「げんたろ~いるかぁ~?」

(ガラガラ

「いらっしゃい。帝統。相変わらず大きい声ですね。」

幻太郎はふふっと笑いながら言った。

「おう。サンキューな。」

「いや、褒めてないです。」

帝統はムッとした顔で幻太郎を見つめた。

「そこは褒めろよ!!!!!!!!!」

「あははっ!相変わらず帝統は面白いですねぇ・・・ほら、立ち話もアレですから。早く入りなさい。」

「おう。」

帝統は幻太郎のあとを追って居間に向かった。

「小生は、仕事するので。そこらへんで適当に過ごしていてください。」

「おう。がんばれよ。」

帝統は無垢な笑顔で幻太郎を励ました。

「はい。ありがとうございます。」

そのまま幻太郎は帝統に背を向け、作業部屋に向かっていった。
幻太郎の耳が少し赤くなっていたことに帝統は気づいたが、気づいていないふりをした。

「(あいつ、ぜってー俺のこと好きだよな。もっと素直になればいいのに。)」
「(ま、あいつには言わねぇけど。)」

帝統は幻太郎の背中に目をやりながら、手に持っていた競馬新聞に目を移した。

・・・・・・・・・・

「ふぅ…。もう夕ご飯の時間ですね。今日は帝統がいるから、2人分用意しないと…。」

「うーん…たぶん食材はもう無いですね…。買いに行かないと。」

幻太郎は作業場から帝統のいる居間へとふらふら歩きだした。

「(最近、締め切りが続いてゆっくり眠れていなかったから…少し立ち眩みが…。まぁ、いつものことですけど…。)」


「帝統。今から夕ご飯を買ってきます。小生、少し疲れているのでコンビニで良いですか?」

「おう。…ってげんたろー、顔が白いぞ!そんなふらふらで大丈夫か!?」

帝統は心配そうに幻太郎に駆け寄った。

「ちょっと!近いですよ!そんな心配しなくても大丈夫ですよ。すぐそこなので。どうせあなた、お金持ってないでしょう?」

「まぁ、そうだけどよ…。
・・・よし!わかった。俺も行く!金を払うのはお前だけどな!荷物持ちくらいやるぜ!!!」

「はぁ…。わかりました。それでは行きますか。」

2人はそのままコンビニへと向かった。

・・・・・・・・・・

(いらっしゃいませ~

「ほら帝統、欲しいものあったら入れてください。」

「おう!」

帝統は適当に弁当を幻太郎の持つカゴに入れた。

「もう良いですか?では、<小生が>お会計してくるので。」
幻太郎はそのままレジに向かった。

そして、無意識のうちにまたレジ近くにあるチョコレートをかごに入れ、なにも気にするそぶりも見せず、会計を済ませた。

帝統はその様子を不思議そうに見ていた。

「(あいつ、チョコレートなんて食うタイプだったか?甘いもん食うイメージねぇんだけど…。相当やべぇんじゃねぇか…。)」

帝統は幻太郎のことが気になりはしたが、何も言わずにそのまま幻太郎の家に帰った。

・・・・・・・・・・

「なぁ、げんたろー?」

「なんです?タバコなら外で・・・」

「お前そんなに甘いもん好きだったけ?」

「は?」

「いや、さっきチョコレート買ってただろ。お前、普段甘いもんなんか食わねぇじゃん。」

その瞬間、幻太郎の顔はみるみるうちに赤く染まっていった。

「あ…いや…あの…。」

「は?なんで赤くなん…。」

「なんでもないです!!!小生、もう寝るので!!!おやすみなさい!」

幻太郎は、はやばやと寝室に逃げ込んだ。

「は…?なんでチョコレートで逃げんだよ…。」

帝統はチョコレートを見ながらしばらく考えた。そして、ハッとあることに気づいた。

「ん?このチョコ…どっかで見たことあんぞ…。」

帝統はニヤリと笑った。帝統は幻太郎が買っていたチョコレートが、以前に帝統が渡したものだと気づいたのだ。

「げんたろーのやつ、かわいいとこあんじゃん…。」

帝統はニヤついた顔を抑えきれないまま、幻太郎のいる寝室へと向かった。

「俺もそろそろ我慢の限界だしなぁ…そろそろ仕掛けても良いだろ。」

・・・・・・・・・・

帝統は寝室の扉をガチャっと開けた。幻太郎はこちらに背を向けて寝ている。いや、寝たふりをしている。そんなところも帝統にとって愛らしくてたまらない。

「おい。げんたろー。起きてんだろ。」

「………」

「チッ無視かよ。」

「なぁ、げんたろー?さっきのチョコって俺が前にあげたやつと同じやつだろ?」

幻太郎は身体をビクッと震わせ、反論した。

「なっっっ!!!そんなわけ…。」

「ははっ!やっぱ起きてんじゃん。お得意の嘘はどうしたんだよ。」

幻太郎はみるみるうちに赤くなっている。

帝統は幻太郎に近づいた。
幻太郎は帝統が近づく気配に気づき、帝統のほうをへゆっくりと身体を向け、上半身を起こした。

「お前、さっきのチョコ。あれ、俺が前に渡した奴だろ。」

「いや…その…」
幻太郎は俯いたまま言葉を濁した。お得意の嘘も返せていない。相当同様しているのだろう。

そんな幻太郎の様子を見て、帝統は確信した。

「お前、俺のこと好きだろ?」

「えっ…。」

幻太郎は驚いた。そして青ざめた。帝統に気持ちがばれてしまったのだ。帝統はノンケだ。俺は男だ。気持ち悪がられるに決まってる。せっかくマブダチと言ってくれたのに…。本当に刹那の友だったな…。これからどうしようか…。

「あの、だ…」

「あー…お前、なんか勘違いしてっけど…。」

帝統は幻太郎の頬を優しく撫でた。

チョコレートのような、甘い声で帝統は幻太郎に言った。

「俺もお前のこと・・・・・


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