幻太郎とチョコレート
今日の帝統は運が悪い。
「あ~~~大負けしちまったぜ…。あともうちっとだったんだけどなぁ…。」
帝統は大きなため息をつきながら、渋谷の街を歩いていた。
―――ギュルルル
「あ~~~腹減ったぁぁぁ!昨日から何も食ってねぇ…。理鶯さんとこ行こうかな…。」
―――グギュルルルルル
「いや、ハマまでもつ気がしねぇ…あ、そだ!」
(ピッ…
「んぁ~げんたろー?今からお前んち行っていい?・・・・・うるせぇよ!!!たまたま運が悪かっただけだ!」
・・・
「おう!んじゃあ、もう着くから切るわ!」
(ピッ
んったくよぉ~、げんたろーのやつ…馬鹿にしすぎだろ…!!!今日はたまたまツイてなかっただけだって言ってんのによ。「あなたが勝てる日は来るんですかねぇ
~~~。わらわは待ちくたびれたでおじゃるよぉ~~~」…なんてわけわかんねぇこと言ってやがるし。……あぁ…思い出すだけでムカついてきた!!!
ブツブツと帝統が言っているうちに、幻太郎の家がすぐそこに見えた。
(ドンドン
「げんたろ~いるかぁ~?」
(ガラガラ
「いらっしゃい。帝統。相変わらず大きい声ですね。」
幻太郎はふふっと笑いながら言った。
「おう。サンキューな。」
「いや、褒めてないです。」
帝統はムッとした顔で幻太郎を見つめた。
「そこは褒めろよ!!!!!!!!!」
「あははっ!相変わらず帝統は面白いですねぇ・・・ほら、立ち話もアレですから。早く入りなさい。」
「おう。」
帝統は幻太郎のあとを追って居間に向かった。
「小生は、仕事するので。そこらへんで適当に過ごしていてください。」
「おう。がんばれよ。」
帝統は無垢な笑顔で幻太郎を励ました。
「はい。ありがとうございます。」
そのまま幻太郎は帝統に背を向け、作業部屋に向かっていった。
幻太郎の耳が少し赤くなっていたことに帝統は気づいたが、気づいていないふりをした。
「(あいつ、ぜってー俺のこと好きだよな。もっと素直になればいいのに。)」
「(ま、あいつには言わねぇけど。)」
帝統は幻太郎の背中に目をやりながら、手に持っていた競馬新聞に目を移した。
・・・・・・・・・・
「ふぅ…。もう夕ご飯の時間ですね。今日は帝統がいるから、2人分用意しないと…。」
「うーん…たぶん食材はもう無いですね…。買いに行かないと。」
幻太郎は作業場から帝統のいる居間へとふらふら歩きだした。
「(最近、締め切りが続いてゆっくり眠れていなかったから…少し立ち眩みが…。まぁ、いつものことですけど…。)」
「帝統。今から夕ご飯を買ってきます。小生、少し疲れているのでコンビニで良いですか?」
「おう。…ってげんたろー、顔が白いぞ!そんなふらふらで大丈夫か!?」
帝統は心配そうに幻太郎に駆け寄った。
「ちょっと!近いですよ!そんな心配しなくても大丈夫ですよ。すぐそこなので。どうせあなた、お金持ってないでしょう?」
「まぁ、そうだけどよ…。
・・・よし!わかった。俺も行く!金を払うのはお前だけどな!荷物持ちくらいやるぜ!!!」
「はぁ…。わかりました。それでは行きますか。」
2人はそのままコンビニへと向かった。
・・・・・・・・・・
(いらっしゃいませ~
「ほら帝統、欲しいものあったら入れてください。」
「おう!」
帝統は適当に弁当を幻太郎の持つカゴに入れた。
「もう良いですか?では、<小生が>お会計してくるので。」
幻太郎はそのままレジに向かった。
そして、無意識のうちにまたレジ近くにあるチョコレートをかごに入れ、なにも気にするそぶりも見せず、会計を済ませた。
帝統はその様子を不思議そうに見ていた。
「(あいつ、チョコレートなんて食うタイプだったか?甘いもん食うイメージねぇんだけど…。相当やべぇんじゃねぇか…。)」
帝統は幻太郎のことが気になりはしたが、何も言わずにそのまま幻太郎の家に帰った。
・・・・・・・・・・
「なぁ、げんたろー?」
「なんです?タバコなら外で・・・」
「お前そんなに甘いもん好きだったけ?」
「は?」
「いや、さっきチョコレート買ってただろ。お前、普段甘いもんなんか食わねぇじゃん。」
その瞬間、幻太郎の顔はみるみるうちに赤く染まっていった。
「あ…いや…あの…。」
「は?なんで赤くなん…。」
「なんでもないです!!!小生、もう寝るので!!!おやすみなさい!」
幻太郎は、はやばやと寝室に逃げ込んだ。
「は…?なんでチョコレートで逃げんだよ…。」
帝統はチョコレートを見ながらしばらく考えた。そして、ハッとあることに気づいた。
「ん?このチョコ…どっかで見たことあんぞ…。」
帝統はニヤリと笑った。帝統は幻太郎が買っていたチョコレートが、以前に帝統が渡したものだと気づいたのだ。
「げんたろーのやつ、かわいいとこあんじゃん…。」
帝統はニヤついた顔を抑えきれないまま、幻太郎のいる寝室へと向かった。
「俺もそろそろ我慢の限界だしなぁ…そろそろ仕掛けても良いだろ。」
・・・・・・・・・・
帝統は寝室の扉をガチャっと開けた。幻太郎はこちらに背を向けて寝ている。いや、寝たふりをしている。そんなところも帝統にとって愛らしくてたまらない。
「おい。げんたろー。起きてんだろ。」
「………」
「チッ無視かよ。」
「なぁ、げんたろー?さっきのチョコって俺が前にあげたやつと同じやつだろ?」
幻太郎は身体をビクッと震わせ、反論した。
「なっっっ!!!そんなわけ…。」
「ははっ!やっぱ起きてんじゃん。お得意の嘘はどうしたんだよ。」
幻太郎はみるみるうちに赤くなっている。
帝統は幻太郎に近づいた。
幻太郎は帝統が近づく気配に気づき、帝統のほうをへゆっくりと身体を向け、上半身を起こした。
「お前、さっきのチョコ。あれ、俺が前に渡した奴だろ。」
「いや…その…」
幻太郎は俯いたまま言葉を濁した。お得意の嘘も返せていない。相当同様しているのだろう。
そんな幻太郎の様子を見て、帝統は確信した。
「お前、俺のこと好きだろ?」
「えっ…。」
幻太郎は驚いた。そして青ざめた。帝統に気持ちがばれてしまったのだ。帝統はノンケだ。俺は男だ。気持ち悪がられるに決まってる。せっかくマブダチと言ってくれたのに…。本当に刹那の友だったな…。これからどうしようか…。
「あの、だ…」
「あー…お前、なんか勘違いしてっけど…。」
帝統は幻太郎の頬を優しく撫でた。
チョコレートのような、甘い声で帝統は幻太郎に言った。
「俺もお前のこと・・・・・
「あ~~~大負けしちまったぜ…。あともうちっとだったんだけどなぁ…。」
帝統は大きなため息をつきながら、渋谷の街を歩いていた。
―――ギュルルル
「あ~~~腹減ったぁぁぁ!昨日から何も食ってねぇ…。理鶯さんとこ行こうかな…。」
―――グギュルルルルル
「いや、ハマまでもつ気がしねぇ…あ、そだ!」
(ピッ…
「んぁ~げんたろー?今からお前んち行っていい?・・・・・うるせぇよ!!!たまたま運が悪かっただけだ!」
・・・
「おう!んじゃあ、もう着くから切るわ!」
(ピッ
んったくよぉ~、げんたろーのやつ…馬鹿にしすぎだろ…!!!今日はたまたまツイてなかっただけだって言ってんのによ。「あなたが勝てる日は来るんですかねぇ
~~~。わらわは待ちくたびれたでおじゃるよぉ~~~」…なんてわけわかんねぇこと言ってやがるし。……あぁ…思い出すだけでムカついてきた!!!
ブツブツと帝統が言っているうちに、幻太郎の家がすぐそこに見えた。
(ドンドン
「げんたろ~いるかぁ~?」
(ガラガラ
「いらっしゃい。帝統。相変わらず大きい声ですね。」
幻太郎はふふっと笑いながら言った。
「おう。サンキューな。」
「いや、褒めてないです。」
帝統はムッとした顔で幻太郎を見つめた。
「そこは褒めろよ!!!!!!!!!」
「あははっ!相変わらず帝統は面白いですねぇ・・・ほら、立ち話もアレですから。早く入りなさい。」
「おう。」
帝統は幻太郎のあとを追って居間に向かった。
「小生は、仕事するので。そこらへんで適当に過ごしていてください。」
「おう。がんばれよ。」
帝統は無垢な笑顔で幻太郎を励ました。
「はい。ありがとうございます。」
そのまま幻太郎は帝統に背を向け、作業部屋に向かっていった。
幻太郎の耳が少し赤くなっていたことに帝統は気づいたが、気づいていないふりをした。
「(あいつ、ぜってー俺のこと好きだよな。もっと素直になればいいのに。)」
「(ま、あいつには言わねぇけど。)」
帝統は幻太郎の背中に目をやりながら、手に持っていた競馬新聞に目を移した。
・・・・・・・・・・
「ふぅ…。もう夕ご飯の時間ですね。今日は帝統がいるから、2人分用意しないと…。」
「うーん…たぶん食材はもう無いですね…。買いに行かないと。」
幻太郎は作業場から帝統のいる居間へとふらふら歩きだした。
「(最近、締め切りが続いてゆっくり眠れていなかったから…少し立ち眩みが…。まぁ、いつものことですけど…。)」
「帝統。今から夕ご飯を買ってきます。小生、少し疲れているのでコンビニで良いですか?」
「おう。…ってげんたろー、顔が白いぞ!そんなふらふらで大丈夫か!?」
帝統は心配そうに幻太郎に駆け寄った。
「ちょっと!近いですよ!そんな心配しなくても大丈夫ですよ。すぐそこなので。どうせあなた、お金持ってないでしょう?」
「まぁ、そうだけどよ…。
・・・よし!わかった。俺も行く!金を払うのはお前だけどな!荷物持ちくらいやるぜ!!!」
「はぁ…。わかりました。それでは行きますか。」
2人はそのままコンビニへと向かった。
・・・・・・・・・・
(いらっしゃいませ~
「ほら帝統、欲しいものあったら入れてください。」
「おう!」
帝統は適当に弁当を幻太郎の持つカゴに入れた。
「もう良いですか?では、<小生が>お会計してくるので。」
幻太郎はそのままレジに向かった。
そして、無意識のうちにまたレジ近くにあるチョコレートをかごに入れ、なにも気にするそぶりも見せず、会計を済ませた。
帝統はその様子を不思議そうに見ていた。
「(あいつ、チョコレートなんて食うタイプだったか?甘いもん食うイメージねぇんだけど…。相当やべぇんじゃねぇか…。)」
帝統は幻太郎のことが気になりはしたが、何も言わずにそのまま幻太郎の家に帰った。
・・・・・・・・・・
「なぁ、げんたろー?」
「なんです?タバコなら外で・・・」
「お前そんなに甘いもん好きだったけ?」
「は?」
「いや、さっきチョコレート買ってただろ。お前、普段甘いもんなんか食わねぇじゃん。」
その瞬間、幻太郎の顔はみるみるうちに赤く染まっていった。
「あ…いや…あの…。」
「は?なんで赤くなん…。」
「なんでもないです!!!小生、もう寝るので!!!おやすみなさい!」
幻太郎は、はやばやと寝室に逃げ込んだ。
「は…?なんでチョコレートで逃げんだよ…。」
帝統はチョコレートを見ながらしばらく考えた。そして、ハッとあることに気づいた。
「ん?このチョコ…どっかで見たことあんぞ…。」
帝統はニヤリと笑った。帝統は幻太郎が買っていたチョコレートが、以前に帝統が渡したものだと気づいたのだ。
「げんたろーのやつ、かわいいとこあんじゃん…。」
帝統はニヤついた顔を抑えきれないまま、幻太郎のいる寝室へと向かった。
「俺もそろそろ我慢の限界だしなぁ…そろそろ仕掛けても良いだろ。」
・・・・・・・・・・
帝統は寝室の扉をガチャっと開けた。幻太郎はこちらに背を向けて寝ている。いや、寝たふりをしている。そんなところも帝統にとって愛らしくてたまらない。
「おい。げんたろー。起きてんだろ。」
「………」
「チッ無視かよ。」
「なぁ、げんたろー?さっきのチョコって俺が前にあげたやつと同じやつだろ?」
幻太郎は身体をビクッと震わせ、反論した。
「なっっっ!!!そんなわけ…。」
「ははっ!やっぱ起きてんじゃん。お得意の嘘はどうしたんだよ。」
幻太郎はみるみるうちに赤くなっている。
帝統は幻太郎に近づいた。
幻太郎は帝統が近づく気配に気づき、帝統のほうをへゆっくりと身体を向け、上半身を起こした。
「お前、さっきのチョコ。あれ、俺が前に渡した奴だろ。」
「いや…その…」
幻太郎は俯いたまま言葉を濁した。お得意の嘘も返せていない。相当同様しているのだろう。
そんな幻太郎の様子を見て、帝統は確信した。
「お前、俺のこと好きだろ?」
「えっ…。」
幻太郎は驚いた。そして青ざめた。帝統に気持ちがばれてしまったのだ。帝統はノンケだ。俺は男だ。気持ち悪がられるに決まってる。せっかくマブダチと言ってくれたのに…。本当に刹那の友だったな…。これからどうしようか…。
「あの、だ…」
「あー…お前、なんか勘違いしてっけど…。」
帝統は幻太郎の頬を優しく撫でた。
チョコレートのような、甘い声で帝統は幻太郎に言った。
「俺もお前のこと・・・・・
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