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桃色パンプキン

原作: その他 (原作:デスノート) 作者: 澪音(れいん)
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にじゅうさんこめ

「この雰囲気で察しましたが敢えて聞きます、何がしたいのです?」

「第一回があれば第二回もあるものです。ということで第二回怪談話盛り上がっていきましょう」

「悪いが盛り上がっているのはL、お前だけだと思うぞ」

蝋燭が立つ暗い部屋で、一室でL、ニア、メロ、マット、月、Sが床に座っている。
前回と違うのはLの後ろにいたアシスタントのワタリの居ないことだけ。
ニア、メロ、マットはSの後ろに隠れながら蝋燭で下から照らされて怪しい雰囲気を醸し出すLに怯えきっており、そんな3人を嬉しそうに見て更に怯えさせようと思考を巡らせているLを、Sと月は冷たい目で見つめていた。

「メロ、怖いのでしたら自室に戻っていいのでは?そんなに詰められると窮屈です」

「ニア、お前がもっとそっちに詰めればいいんだ。チビのくせに幅取りすぎだろ」

「…今のこの状況に身長は関係ないと思いますが。君が私の腕を引きちぎらんばかりに詰めてこなければよい話です」

「場所が限られてんだからしょうがねぇだろうが!」

「ではメロは向こうの空いているスペースに行ってください、私はここが居心地のいい場所だと判断したので譲っていただきます」

「では私が向こうに行きますからどうぞ3人で仲良くどうぞ」

「アリーさん待ってェ!行かないでェ!」

離れた場所に行こうとしたSの肩を掴み引き戻したマットにSは若干疲れた顔で腰を下ろした。
元々は円を描くように座ろうとLの提案で座っていたはずだったが、Lが3人を怯えさせようとした要らぬサプライズから今の状態に落ち着いてしまった。

「怪談話は1年に1回あればお腹いっぱいかと思いますよ、来年に回したらどうですL」

「日本人は百話怪談話を語り終えるまでは終わらないようですよ。あと九十九話あります」

「百話語るにしても怪談を語れる者が居ないじゃないですか。Lと言えど怪談話をそんなに知っているとは思えませんが」

「その辺は安心してください、怪異について詳しく乗った本を読み漁り厳選したものを用意しました。ワタリが一晩でやってくれましたよ」

「ただでさえ多忙なワタリをそのような事に使わないでください。ワタリの無駄遣いです」

「ワタリの無駄遣いって。」

最早怪談話というよりLとSの言い合いになったその場の空気に月は呆れた顔をした。

「さあ部屋に帰りましょう、明日も捜査がありますし未成年をこんな時間まで連れまわす訳にはいきません。マット君、メロ君、ニア君寝る時間ですよ」

「アリーさん俺部屋戻るの怖いんだけど?!」

「部屋の前までならみんな一緒ですよ、怖いなら絵本でも呼んで差し上げます」

「アリーさん俺の事何歳だと思ってる?」

一刻も早くここを後にしたいらしいSはマットの返答にも曖昧に答えるだけでグイグイと背中を押す力が少しだけ強まるだけだった。そんな様子を指をくわえて見守っていたLは何かを思いついたのかSを

「それは残念ですね、ワタリに帰りがけにアイスを買ってくるように頼んでしまったのですが」

3人の背中を押して早々と部屋から退室しようとしていたSの足がぴたりと止まった。
そんなSにLは少しだけ口元を緩ませながら「皆さんが好む味を用意するようにとお願いしたのですが、お部屋に戻られるのでしたら仕方ありませんね。月君、私たちで頂きましょう」と少しだけ残念そうに隣にいる月に向かって言った。

「今回で最後ですか?」

「ええ、今回で最後です。」

「仕方ありませんね、ワタリが帰ってくるまででしたらお付き合いします」

「アリーさんん!?」

ワタリが用意するものとなればきっとおいしいものが出て来るに違いない。
それも糖分がきっちり摂取できるものを。席に戻ったSにマットは急いでその背中に駆け寄った。

「アリーさん本当に怪談話聞くの!?俺もうこの前のでコリゴリなんだけど!」

「探偵として事件解決している者が幽霊を怖がるのもおかしな話だと思いませんか?居ても恨まれる覚えはありません」

「死神はいたんだろ!?」

「いましたね。次に会ったら絶対に許しません」

「(アリーさんの方から何かの念が漂ってくる…!何したんだよ死神…!?)」

死神がSに対して何をしたかは後日語ることにして、扉の前に取り残されたメロとニアはいつの間にかまた定位置に戻ってきていた。今度はマットが間に挟まれているが、ニアとは違ってSから漂う言い知れぬ雰囲気に気が行っていてそれに関して何も言わなかった。

「では第二回怪談話をはじめますよ。」

「何でそんなにノリノリなんだ?」

「最近じめじめしててどうしようもない気候ですよね」

「もう10月だからそんなに暑くないぞ」

「この間まで花火がやっていたのにいつの間に夏は終わったんです?」

Lの手から滑り落ちそうになった蝋燭を寸前のところでキャッチした月は蝋燭をテーブルの上に起きながら、余程夏が終わったことがショックだったらしいLに呆れた瞳を向けた。

「もう10月だから夏ってよりもう秋だぞ。もう怪談をする時期ではないな」

「なぜ私に怪談とやらを真夏に教えてくれなかったんです月君」

「お前がきっとこうなるだろうと踏んで真夏には教えなかったんだ」

「君でしたか月君、Lにこのような話を吹き込んだのは」

「日本人は夏に何をするんだ?なんて聞かれたからつい流れで」

「まぁいいです、秋でも怪談話はきっと人気でしょう。月君、暖房をつけてください。」

「意地でも室温を真夏にして怪談を体験させる気ですか」

「そうですね、ワタリに言って気候を夏に戻してもらってください」

「すみません月君、この人を今すぐに赤道直下に置いてきてください」

「やめろ2人共。ケンカなんて醜いぞ」

「ケンカじゃありません、提案です」

つづく


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