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私達は忍術学園を守るんだ…!

原作: NARUTO 作者: コアラ
目次

参話 “生徒兼教師”

「ここが学園長の庵だ」


山田に続き先生方、六年生、五年生、最後に黒狐が中に入る。

座りなさいと言われ、黒狐は右片膝立ちする。


「座ってしまわないのか?」


「いつでも動ける姿勢で待機するのが暗部の常識だから、つい癖で…正座には少し抵抗が…」


気にしないでくれと黒狐は苦笑する。

その姿勢、纏う空気は只者じゃないなと学園長は悟った。


「本題に入るかの…して、お主が助けてくれた繊月とやらかの?」


「如何にも…私は暗部……暗殺戦術特殊部隊総隊長、"十字の黒狐"の繊月だ」


黒狐は一礼する。


「ワシはここ、忍術学園で学園長をしている大川平次渦正じゃ。まずは我が生徒を助けてくれた事に礼を言うぞ」


「大した事はしていない…ただ敵を滅しただけ…礼を言われる程では無い」


「毒の治療、傷の手当までしたようじゃな…」


「そちらでは対処出来ないものだったから治したまで…それにどうも私は同い年には弱いみたいでな…」



――――ん?同い年?



空気が一瞬凍る。

黒狐が治療してたのは尾浜だ。

尾浜は十四歳…彼と同い年となると…


「えー!?十四歳ー!!??十四歳で暗部とかって所の総隊長やってんの!?」


七松が叫ぶ。


「俺らと同い年でそこまでのぼりつめたのかよ…化け物か」


鉢屋は苦笑する。

驚愕の事実を知り、一同動揺が隠せないようだ。



「化け物…そうかもしれんな..,私は九歳でアカデミー…忍術学園のような所に入学し、十歳で卒業した…同じ年に暗部に入り十一歳で総隊長になったんだ」


「一年で卒業するとなると…それなりの強者ということじゃな…お主は何故そんなにも力がある?」


「自分自身の実力もだが…血継限界のお陰だろうな…」


その事はいつか話すと黒狐は呟く。


「何故私がこの世界にいるのかを説明したいが、私は口下手だ…見せた方が早いだろう…」


その前に、と黒狐は土井の方を向いた。


「……土井半助先生、庵の外にいる貴方の担任の生徒達を追い払ってはくれないか?十歳の子達に見せるのは抵抗がある…そして天井裏に潜んでいる…四年生だな…下りてこい」


土井が障子を開けると一年は組の生徒達がなだれ込んできた。

土井が叱って追い払った後、天井裏から四年生の平滝夜叉丸、綾部喜八郎、田村三木エ門、浜守一郎、斉藤タカ丸が下りてきた。


「…皆に私の記憶を見せる…今から見るものは全て…事実だ!!」


黒狐は写輪眼の幻術を使い、己を記憶を皆に見せた。

この世界で初めて使用した所為か、両目から血が流れてきた。


((やはり写輪眼の技をこの世界で初回で使うと反動が大きいな…気を付けよう…))




――――四半刻後


見せ終わったようだ、黒狐は幻術を解く。


「今のは…?」


「幻術を使用して記憶を見せたんだ」


ズボンのポケットからハンカチを取り出し、仮面を少し浮かせて目元を拭く。


「泣いてんのか?」


「まさかっ、反動だ…目から血が出たんだ」


血に反応した善法寺が立ち上がるが黒狐に制止され、渋々座る。


「よし決めた!!!」


学園長が何かを思い付いたようだ、勢いよく立ち上がる。


「お主を五年い組に編入、そして実技の教師をして貰おう!!」




「はぁーーーー!!??」



同時に叫ぶ。

学園長の突然の思い付きにはいつも迷惑しているが今回もなかなかのものだった。


「な、なぜ私が生徒兼教師を…?」


流石の黒狐も動揺しているようだ。


「一年で卒業してるとなると同年代の子達との関わりはあまりしてないじゃろ?だが、実力は申し分ない…だから交流の為に生徒として編入し、技術向上の為に教師をして貰いたいんじゃ!」


流石学園長だ…この短時間で同年代と交流してない事に気付くとは…黒狐は一息ついた。


「分かりました…学園長、貴方の要望に答えましょう」


「そうと決まったら早速……仮面を外してくれんかの?」


黒狐の動きが一瞬固まる。


「仮面を…外す…?」

「如何にも!素顔が気になるんじゃーっ♪」

「絶対に外さないといけないのか…?」

「そうじゃ!ぜーったいにじゃ!」


二人は無言で見つめ合う。


「……後悔しても知りませんよ…」


折れたのは黒狐だった。

あまりにも駄々をこねてくるので仕方なく仮面を取ることにした。



「……」


皆が絶句する。

両目元に大きな十字傷、左目は複雑な模様の青緑色、右目は瞳孔も無い薄紫がかった白色。

この世界ではあり得ない顔立ちの黒狐に皆は言葉を失っていた。


「……だから言っただろう…後悔しても知りませんよ、と」


予想通りの反応に黒狐は溜息をつく。


「…かっこいい…」


「は?」


「こんなに顔の傷が引き立っているのは初めて見たぞ!!!かっこいいのう!!!」


学園長がキラキラした眼差しで見てくる。


「左右で違う目とか凄い!!!良く見せてーっ」


尾浜も参加してくる。

二人をなんとか落ちつかせ、黒狐は一息つく。


「……一つ言い忘れていた…繊月は暗部名だ、本名は九重寐玲(みれい)…好きに呼んでくれて構わない」


「では寐玲君、早速お主が寝泊まりする部屋に案内しよう!場所は五年生長屋の一番奥の部屋じゃ!尾浜勘右衛門、案内しなさい」


尾浜は短い返事と共に「寐玲、行こうっ」と手を引いて行く。


「面白くなりそうじゃっ♪」


先生方が溜息をつくのをよそに、学園長はウキウキしていた。
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