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私達は忍術学園を守るんだ…!

原作: NARUTO 作者: コアラ
目次

零話 “転生”

日が落ち、辺りは真っ暗な闇へと変わった。

木ノ葉の里、門の前に一人の者が現れた。

その者は素顔を隠す為に黒狐の仮面を付けている…暗部の者だ。

長いため息をつく。


「ようやく終わった…長かった…」


肩をポキポキと鳴らし、両腕を上に伸ばす。


「今回は流石に疲れたな…綱手様から臨時休暇の許可を取ろう」


任務帰りなのだろう…全身が血で汚れている。

門を開けて入ろうとした時、背後に気配を感じた。


「…何の用だ…」


黒狐は歩いていた足を止め、問いかける。

直後、後ろに男性が現れた。


「流石です、完全に気配を消していたのに気付くとは…」


男性はケタケタと笑う。


「これしきの事に気付かなければ暗部の総隊長の名が泣く……本題に戻ろう…何の用だ…」


黒狐は男性の方を見る事なく話す。

男性はやれやれと溜息をつく。


「本当に貴方は用件しか聞こうとしませんね」

「早く話を終わらせたいだけだ…これ以上は聞かぬぞ…何の用だ」


黒狐はやはり男性の方を向かない。

男性は話を逸らすのは無駄だと感じたのか、一息ついた。


「では、端的に言わせていただきます…貴方に…


 ――――転生してもらいます…」


「何を言っ!!…ガハッ…」


黒狐が振り返ると同時に…


心臓部に痛みが走る…



――――クナイが刺さっていた。



「私は――――――――――」


男性が言った事に驚きはしたものの、遠退く意識には逆らえなかった。


黒狐は闇の中へと堕ちていった……



――――裏裏山、山中



五年い・ろ組の合同実技授業が行われていた。

"実技担当の木下鉄丸から逃げ続ける"という、言葉だけ聞けばとても簡単な内容のものだが、開始十分程で殆どの生徒が捕まった。

残ったのは……


「せ、先生!本気になりすぎだろ!!」


い組、尾浜勘右衛門。


「早く終わって豆腐食べたい…」


い組、久々知兵助。


「全く、兵助はこの時でも豆腐かよ」


ろ組、竹谷八左ヱ門。


「隠れるか、走り続けるか、どっちがいいんだ?…うーん…」


ろ組、不破雷蔵。


「雷蔵!走りながら迷って寝るなー!器用だが!!!」


ろ組、鉢屋三郎。


この五人だ。

彼等は過去に木下の特別授業を受けていたお陰か、何とか逃げ続けている。

見晴らしの良い丘に出て、五人は一息つく。


「ここからは別行動にしよう…後は私達だけみたいだし、見つかったら全員捕まって居残り授業だぞ」


鉢屋の意見に皆は賛成する。


「じゃあ、い組とろ組で別れようか」


尾浜の指示に頷く。

そして、行動に移そうとした時…


「!!!!」




――――――気配を感じた。


五人は岩陰に隠れる。


(嘘だろ、もう見つかったのか!?)

(木下先生なら気配は消すと思う…通りすがりの人とか?)

(罠が沢山ある山に通りすがる奴がいるのか?)

(もしかしたら迷ったのかな…この山って結構迷いやすいみたいだし)


鉢屋と尾浜が矢羽音で話す。

少しの間様子を伺うが、気配が動く事は無い。


(ちょっと見てくる!)

(おい!勘右衛門!!)


久々知の静止を聞く事なく、尾浜は近くにある岩陰に行く。

もちろん、気配を消して。


((...これは...!))



「どういう事だよ!?トラップがいっぱいあるじゃん!」


声を荒げる者に「落ち着け、トラップがあるのは当たり前だろう」ともう一人の者が声を掛ける。


「そうだけどさ、何でこう落とし穴ばかりなのさ?糸引く位にしとけっての!」

「だから落ち着け…そんなに声を荒げると誰かに気付かれるぞ」


丘の下にある川辺で仮面の二人組が揉めているのが見えた。


((見た事が無い格好だな…))


「これは隠密行動なんだぞ…我々は表に出てはいけない存在だあそこのように」

「そうだな…隠密に行動しないといけなかったな…忘れてたよ」


((手にはクナイを持っている…忍者だ!…それに…)


“隠密に”


その言葉が引っかかった。


((誰にも気付かれずに移動しなければならないのか…もしかして…!))


もしかしたら、忍術学園に向かっている途中かもしれない。

尾浜は後ろの四人に

"怪しい忍者が二人いる。忍術学園に向かっている途中かもしれないから、急いで先生方に連絡して"

とサインを送る。


(怪しい忍者…何処かの城の忍者かな?)

(もしかして、学園長先生のお命を狙ってるとか?)

(そうかもしれないね…最近結構侵入者多いみたいだし…殆どは小松田さんに見つかって逃げるみたいだけど)

(それなら私が木下先生を探すから、三人は学園へ頼む)


四人は驚きはしたが、鉢屋は木下を探しに、他三人は忍術学園へと走っていった。

走って行ったのを見届けた尾浜は二人組の方にまた意識を向ける。


「折角忍服を新調したってのにさー、泥まみれになる所だったじゃないか!」

「忍服は汚れるものだろう…兎に角早く行くぞ…あの人が来る前に」

「そうだな…あの人が来る前に行かないとな」


((ここだとちょっと会話が聞き取りにくいな))


耳を澄ましてやっとの思いで聞こえる位だ。

何者か、そして目的は何かを知るには少し難しい。



((もう少し近くに行って情報を得よう))


尾浜は危険だと分かりながらも二人組に近付いていく。








――――――それが命取りになる事を知らずに...
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