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私達は忍術学園を守るんだ…!

原作: NARUTO 作者: コアラ
目次

拾壱話 嵐の前に…

「……早く起きすぎた……」


寅の刻…(午前4時位)に目が覚めた寐玲は布団をたたみ、伸びをした。


「こういう時に二度寝すると絶対に寝坊する…眠気覚ましに井戸で顔を洗うか…」


欠伸をしながら井戸へ向かう。

途中、「いけいけどんどーん」という鳴き声を聞いた気がするがスルーしよう。


((小平太…お前は何て早起きなんだ…))


早朝から元気な七松に溜息つきながら歩いていく。


「何て静かな朝だ…忍の国とは思えない程…平和だな」


こんなに気持ちが穏やかになる朝を迎えたのはいつぶりだろうか…

常に任務に追われ、常に殺戮と関わっていた時では考えられない。


「何か、感覚が鈍りそうだな…」


この学園にいる限り、殺気を感知する必要性が無い為感覚が鈍りそうだと寐玲は笑う。


「ダッシュ!」


「?」


寐玲は声のした方を見ると、眼鏡の少年が走っていた。

線を引いた間を何回も往復している。


((……下級生…一年生かな))


一生懸命に練習している姿を見て微笑ましくなった。


((こんなに真剣に練習しているという事は、負けたく無い相手が居るのか…))


「練習熱心だな」


「!!あ!あの!」


声を掛けられたことに驚くが、少年は側に走ってくる。


「寐玲と呼んでも構わないぞ、猪名寺乱太郎君」


「私も乱太郎で呼んでくださいっ!」


「分かった…乱太郎、お前はいつもこの時間から練習しているのか?」


乱太郎は首を振る。


「いつもは夕方にやってるんですけど、たまたま早く起きちゃったのでっ」


「そうか…お前には良い競い相手がいるんだな」


寐玲は微笑む。


「寐玲さんにはいなかったんですか?ライバル…」


「私か?私にはいない…同年代の子と触れ合う機会がなかったからな……」


ちょっと座ろうか、と近くの岩に二人は腰掛けた。


「私は一応、アカデミー…忍術学園みたいな所に入って学んでいたが一年で実力を認められ卒業したんだ」


「え!凄い!!成績良かったんですか!?」


「一番だ」


凄い!と猪名寺は目を輝かせる。


「卒業した後直ぐに暗部に入り、翌年に総隊長に登りつめたんだ…一人で任務をこなすばかりだったから人と関わる事もろくにしてなかったんだ」


「ずっと一人だったんですか?」


「ああ…総隊長になるまではな…なってからは部下が出来た…だけど実力が並ぶ者はいなかった…」


だから羨ましい、と寐玲は乱太郎の頭を撫でる。


「じ、じゃあ!私がライバルになります!競い合いましょう!!」


寐玲は驚く。


「何を競うんだ?悪いが足の速さは自信あるぞ?」


「スケッチですっ」


私、スケッチなら誰にも負けません!と乱太郎はニカッと笑う。


「スケッチか…良いだろう、受けて立つ!」


寐玲は微笑み、猪名寺と共に紙と筆を取りに行った。


「寐玲さんはスケッチした事あるんですか?」


「いや、こんなにゆっくりとはした事はないな…仕事ばかりだったからな」


合間に少しはしていたがと寐玲は微笑む。


「そうなんですか!好きなんですね!忙しい合間を縫ってでもスケッチしてるなんて」


「あぁ…気持ちが穏やかになるからな…好きだぞ」


そして二人は、始業間際まで絵を描いていた……


「わぁ!もうこんな時間だ!急いで教室に行かないと!」


「そうだな…ありがとう、乱太郎…楽しかった」


「こちらこそ、ありがとうございます!絵もいただけるなんて!」


ぺこりとお辞儀をして乱太郎は走って行った。


「…さて、私も戻るとするか…午前はフリーだったな…分身が戻って来るまでは特にする事は無いし技の確認でもするか」


瞬身の術で自室に戻り、服を着替えて部屋の前の土手に出た。


「おはよう、寐玲君」


「あぁ……山田伝蔵先生か…」


声がした方を向く。


「午前は何も授業は無いね?」


「そうだが」


「ちょっと確かめたい事があるんだ…私の部屋に来てくれるかね?」


構わないと寐玲は山田と共に職員室へと歩いて行った。

部屋に着き、中に入って既に敷かれていた座布団の上に座る。


「それで…確かめたい事とは何だ?」


「単刀直入に言わせてもらうが…本当に学園が狙われているんだね?」


当然の事を改めて訊かれ、寐玲は目を見開く。


「何故今更そんな事を問う?」


「…君は学園が狙われていると言った…だが、数日経ったが何も学園に変化が無い…疑いが出るとは思わないか?」


…あぁ、そういう事か…


「確かに直ぐにでも影響が出る筈と思うな…だが、もう、影響は出ている」


「!?」


「夜中に先生方が交代で見回りに出ているみたいだが、その時に出る僅かな隙を突いて奴等の調査役が様子を見に来ている」


見回りしている事も気付かれていたのかと山田は溜息をつく。


「本当に様子を見ているだけだ…侵入方法を考えているんだろう」


「小松田君も気付いてないし、我々も知らなかった…」


「暗部は気配を完全に消して音を立てずに行動するのが常識だからな…影の存在故にだ…」


寐玲は立ち上がる。


「そろそろ奴等が動き出すだろうな…前準備は何日かけてでも念入りにする奴等だが、もう整う頃だと思う…」


寐玲は山田に一礼し、部屋を出た。




時は過ぎ、午後の授業…

寐玲は次の実技の授業が行われる運動場に移動していた。


「今日は一年は組か…あ、乱太郎のクラスか…」


ふふ、楽しい事になりそうだと寐玲は微笑んだ。





後に胃痛に悩まされる事になるのを知らずに……
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