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私達は忍術学園を守るんだ…!

原作: NARUTO 作者: コアラ
目次

拾話 嫌な予感

小手調べが終わり、寐玲は影分身を使い負傷し動けない六年生三人を抱え、動ける残り三人と共に保健室へと向かった。


「五年生は無傷だったのに僕達には厳しすぎない?全員負傷ってさぁ」


「済まない…最上級生であり、卒業したらプロとして生きていかなければならないだろ?だからお遊びは出来ないと思ってな…」


これでも優しい方だぞと言う寐玲に嘘だとツッコミを入れる善法寺。


「お前はいつになったら“本気”を出すんだ?」


潮江が問う。


「何だ急に」


「お前は最初に元部下と戦った時から本気を出していないじゃないか…どこか嘲笑う様な、遊んでいる様にしか思えん」


「ちょっと!文次郎!」


善法寺が言い過ぎだと止めに入るが止める事なく続ける。


「今の小手調べの時だってそうだ…俺達や五年生に“運動してる内に入らん”ような相手をして…こっちは本気で向かったのに何故それに応えん?…そんなお前に“学園を守りたい”と言われても信じ難いぞ」


「文次郎!」


「別に、遊んでなどいない…」


寐玲は目を閉じる。


「俺が“本気”を出したら…」


開けると万華鏡写輪眼に変わっていた。


「皆“秒”で死ぬぞ」


寐玲の脳裏にとある国の風景が浮かぶ。


「過去に怒りに任せて本気で滅した国があった…一国を潰すのに一瞬だった」


「一瞬!?」


「あぁ…ここだけの話だが、俺は九重一族の秘術を使える」


元の眼に戻った。


「“命を奪う”秘術…いや、禁術だ」


寐玲の言葉に二人は驚く。


「この術を使えば奪った者の力も手に入れることが出来る…俺は吸収した事はないしこの術の事は火影様にも言っていなかったが、兎に角俺は本気は出せないんだ…決して遊んでいるわけではないんだ…許せ」


「そういう事だったんだね…」


「し、信じられるか!命を奪うって!」


「信じろとは言わん…だが、俺は嘘は付かん…この事は三人の秘密として胸の内にしまっておいてくれないか?」


善法寺はすんなりと、潮江は渋りながらも承諾した。


「ありがとう…さ、治療をするか」


保健室に着き、寐玲は六人の治療を始めた。





時は過ぎて午後の授業…

寐玲は六年生の実技の授業を見る事になった。


「小平太、体調はもう大丈夫か?」


「ああ!寐玲の処置のお陰で有り余る位元気だ!」


腕をブンブンと振り回し、小平太は言う。

小手調べの後、処置し終わった六年生達に"名前で呼んで欲しい"と半ば強引に言われたので寐玲は名前で呼んでいる。


「先程のアレは何だったんだ?…目が赤くなったやつ…」


「アレは写輪眼という…血継限界の一つだ」


「それは幻術を得意とするのか?…というより、時間の感じ方が違ったんだが…」


幻術にかかった食満と立花はあの一瞬で丸三日の体験をしたのだそう。


「あぁ、写輪眼は幻術を得意としている…それは私が創り出した世界に捕らわれてたからな、幾らでも時間操作はできる…」


さて、話はここまでだと寐玲は手を叩く。


「さぁ、午後の授業を始めるぞ…今回はいつもと違う武器を用いて戦ってもらおう」


「何故得意武器ではダメなんだ?」


「仙蔵…お前は焙烙火矢をはじめとする火器全般が得意なんだよな…もし、戦闘中に雨が降り出したらどうする?」


ぐっ、と仙蔵は唸る。


「勿論使えないな…そうなると他の武器でもそれなりに使えてないと完全に不利となる…だから今回、その練習をするんだ」


「そういえば、寐玲は得意武器の大扇子を使ってない時は何を使ってたの?」


ふと、伊作が疑問に思った。


武器を出す時に久々に使うと言っていたのを思い出したのだ。


「何を使ってたか…主に忍刀を二つ使ってた…後はクナイと…起爆札か」


起爆札?と聞いた事のない言葉に反応する。


「起爆札はこの紙に時差式で爆発する印が書かれているんだ…これをクナイに括り付けて…」


寐玲はクナイを投げる。

地面に刺さって数秒後、爆発した。


「ま、焙烙火矢みたいなものだ」


「あんな紙切れが……凄い」


仙蔵は驚いていた。


「寐玲、一枚使ってもいいか?」


構わないぞと起爆札を巻いたクナイを渡した。

仙蔵はそれを文次郎に向かって投げたが、文次郎はまるでそれが分かってたかのように避ける。

遠くの地面に刺さり、数秒後に爆発した。


「ほう、焙烙火矢より投げやすいな…」


「って、話を脱線させるんじゃない!時間が無いだろう…よし!早くやるぞ!!」


パンパンと手を叩き、急かせる。

半ば笑いながら六年生達は武器を選び、相手を選んで戦闘をした。


「寐玲!」


小平太が誤って寐玲の方に火車剣を投げてしまった。

寐玲は中心の穴に指を入れて止め、爆発する寸前で上空に投げ、爆発した後、火薬が無くなった手裏剣が寐玲の横の地面に刺さった。


「小平太…今のはわざとじゃないよな?」


「済まん、わざとでは無かった!」


「……」


途中、何かに気付いたのか寐玲はふと裏山を見た。

眼前で印を結び、


((白眼!))


開眼した。


「……!アイツは!」


誰かを見つけたようだ。

影分身を出し、


「追え」


追跡をさせる。


((嫌な予感がする…外れると良いんだが…))


そう思い、寐玲は歯軋りをした。


「どうしたんだ?そんな深刻そうな顔をして」


「いや、そう大した事じゃない…さ、授業の続きをするぞ!」


影分身に任せ、寐玲は授業に集中することにした。
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