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勘違いパワハラ

ジャンル: その他 作者: rodann
目次

薫の真意 その2


祐ちゃんを叱った後…私は後悔した。

仕事の事やプライベートの出来事の…イライラを含めて祐ちゃんにぶつけてしまった…。

その結果…彼はかなり落ち込んでしまっていた…。
理由がどうであれ、彼に八つ当たりをしたのは事実。

後で祐ちゃんに謝らないと…と思った…。

そして…次の日、
私は昨日の叱った事を謝ろうと…昼休みに彼を探していたが…結局最後まで見つからなかった…。

薫「まずいな…どうしよう…。 昨日の事で、彼…思い詰めて無きゃ良いな…。」

そして、仕事が再開すると彼の姿は見えて、早速謝ろうと思い近づこうとしたが…。

社員A「課長、こちらの書類…。」

薫「あ…あぁ…はい。」

社員B「課長、こちらの案件ですが…。」

薫「あ、うん…。 そうね…。」

仕事の案件や確認等で、彼に近づくことすら出来なかった…。
そうこうしている間にも…終業の時刻が近づいてきた…。
私は、強行手段として…彼を無理に呼び出した…。

薫「浅川君、ちょっと来てくれない?」

祐介「…はい…。」

彼は若干怯えた感じで返事をして、私の元へと向かってきた。
良し謝ろうとした…次の瞬間…。

薫「何で、呼ばれたか…。」

祐介「承知してます。」

薫「え…?」

祐介「昨日のミスですね…。 あれは間違いなく…僕の責任です…。 社会人として正しい事も何も出来なかった僕の酷い過ちです。 本当に申し訳有りませんでした!!」

と、何と彼が謝る展開になってしまった。
こんな展開に…私はどうすれば良いのか…分からなくなってしまった…だが、何としてでも彼に昨日の事を謝ろうとしたものの…。

祐介「では…課長…。 僕…責任…取りますから…。」

と意味深な言葉を言ってそのまま…席へと戻ってしまった…。
私はこの展開に…酷く後悔した…。

薫「(やっぱり…言い過ぎたわ…。 昨日のヤツは…やはりダメよね…。 せめて、朝の時に褒めておくべきだったか…。)」

その上、今日の朝…一生懸命になって直した書類を見せに来たのに、それに対して、私は労いの一言も言わなかった…。
そんな事になれば…精神的に追い詰められるのも無理は無いか…。

そしてそのまま…謝罪する事もできず、終業時刻を迎えてしまい、私も家へと帰ることにした…。

その帰り道…

プルルルルル、プルルルルル!!

私のスマホが鳴り出す。
相手を見ると、私の親友だった。
愚痴ついでに聞いて貰おうと思い私は出ることにした。

ピッ!!

薫「もしもし?」

女の人「もしもし、薫? 久しぶりー!!」

電話の相手は、私の友人[柏原 夏美(かしわばら なつみ)]だ。
彼女とは高校時代からの付き合いで、今でもこうして連絡を取っては、たまに会ったり話したりもしている。

夏美「薫、どう? 最近は?」

薫「うん、まあ…良いかな…?」

夏美「あれ? どうしたの? 何か逢ったの?」

流石にバレバレだったか…私が動揺しながら返答したのを聞いて彼女は心配してしまった。

夏美「ねぇ…まさかだけど…八つ当たりとか…? してないよね?」

やはり、私の親友なだけ有って、
察しの能力は高いようだ、私の行った行動を見抜いていた…。
こんな状況に私は…もう、認めるしか無かった…。

薫「実は…私、仕事のイライラを…後輩にぶつけちゃったの…。 それで後悔してさ…。」

こんな言葉を聞いたら誰だって、最低な女だと思うだろう…しかも下らない理由だ…しかし…。

夏美「それだけじゃ…無いよね?」

薫「えっ?」

何と親友から返ってきた言葉は意外な物だった。

夏美「あのさ…私だって、薫の事をよく知ってるんだよ? 薫がさ、他人に八つ当たりしてしまった事は確かに悪いことだけども、そうなったのって仕事でのイライラだけじゃないでしょ? 他に何かあったんでしょ?」

やはり見抜かれていた。
そう…私が本当にイライラしていた原因は…

薫「う…うん…。 実はね…あの元カレからしつこく電話が…。」

そう元カレとの電話だった。
昨日、夜中にしつこく何度も電話を掛けてきた元カレ、こいつがとんでもなくしつこい奴で…別れた後も執拗に電話をしてくるのだ…。
着信拒否をしても…自分の電話番号を変えても…どこから情報を手繰り寄せているのか、執拗に電話をしてくるのだ。
そんなイライラが溜まりに溜まって…それがあの悲劇を起こしてしまった…。

夏美「そうか…アイツ…本当にしつこいよね…。 今度さ、警察に被害届出しなよ? じゃないとさ、薫、このままだと何もかも"壊しちゃうよ"?」

薫「うん…。」

夏美「実際さ、薫…そのイライラでさ…関係の無い"後輩"君に八つ当たりしたんでしょ? それはさ、やっぱり流石に親友の私でもダメだと思うよ? 私にぶつけるなら未だしもさ? 関係の無い人にぶつけるのは人としてどうかと思うよ?」

薫「そう…だね…。」

夏美「ただ、我慢しろとは言ってないよ? 我慢して我慢して…その結果がこうなってるんだからね? 壊しちゃうよって意味は、周りの人だけじゃなくて薫自身も含めてだからさ。 薫、もし次、アイツが電話してきたら被害届だしな?」

薫「うん、分かった。」

夏美「後、それから。 その"後輩"君には、ちゃんと謝ること、何で怒ってしまったか? その原因も含めて包み隠さず話すこと、分かった?」

薫「うん、分かったわ。 ありがとう、夏美…本当に…。」

夏美「良いのよ、親友ならこのくらいは当然でしょ? じゃ、また後でね~♪」

ブツッ…。

親友からのアドバイスや話を聞いて…私は心の中が楽になった。
こうして…アドバイスもしてくれる親友は…大切だ…。
私は、やるべき事が二つ出来た…。
一つは警察に被害届…
もう一つは…祐ちゃんへの謝罪…。
何としてでも早めにやらないと…。
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