完結編
暗闇の中、怪しく動く影。雪男はそれを認めるとすぐに立ち上がった。
「おっ、酒呑童子。戻ったか」
雪男と見上げ入道は酒呑童子の前に立った。
「酒呑童子、由布由は始末したか?」
見上げ入道がそう言った途端に、酒呑童子は金棒をふりあげておもいっきり見上げ入道に殴りつけた。
「ぐっ、何を・・・」
「見上げ入道見越した」
酒呑童子がそう口にすると、見上げ入道は苦悶の表情をした。
「しゅ、酒呑童子・・・なぜだ!」
見上げ入道はそう言うと、体が薄くなり、そして霧のように消えてしまった。「見上げ入道見越した」というのは、見上げ入道の退散の呪文なのだ。雪男はそれを見てちょっと顔色を変えた。
「な、何だ酒呑童子いきなり・・・」
「悪いが、おゆきは由布由と結婚してもらう」
そういうと雪男は泣きそうな顔になった。
「じょ、冗談だろ・・・?」
「冗談じゃない、お前にも忠告しておくぞ」
酒呑童子は金棒をどんっと地面についた。雪男は腰を抜かす。
「金輪際由布由に手を出すんじゃねぇ!そ、そうだ。美香さんにもだ!わかったか!」
雪男はそれを聞くと一目散に山へと逃げていった。すると、壁から美香が出てきた。
「うわぁっ!酒呑童子さんかっこいい!」
美香はそういって酒呑童子の腕に抱きついた。
確かに酒呑童子のあの迫力はちょっとすごかった。やっぱ鬼なんだなぁと由布由も思った。
「酒呑童子さんがあそこまでしてくれたんだから、私たちも早く結婚をしないといけないですね。由布由様」
「断じて嫌だな」
「なんだと?」
由布由が断った途端酒呑童子が詰め寄ってきた。
「てめえ、俺が何のためにあいつら追い払ってやったと思ってんだぁ?あ゛ぁ?」
ヤクザより怖い脅しだ。
「でも、よかったのかなぁ」
由布由は話を変えた。
「あの雪男って・・・おゆきの婚約者だったんだよね。追い払ったりして大丈夫だったのかな」
「気にすることはないさ」
そういって由布由の肩に手をかけたのはつららお姉さんだった。
「お互いが0歳の時に決まったような理不尽な許婚だ。 そんなものに本人が振り回される必要はない」
「そうそう、問題ってまだまだこれからじゃない?」
ろくろ首が言った。
「問題って・・・俺らの結婚はもう決定事項かよ」
由布由は頭をかかえる。
「くれぐれも妹を頼んだよ」
つららお姉さんまでそういう始末だ。
「仕方ない。帰るか」
とりあえず雪女の手をとってボロアパートへ向かった俺達。
だが、妖怪の知り合いっていうのもなかなか楽しいと感じてしまってもいたのだった。
-完-
「おっ、酒呑童子。戻ったか」
雪男と見上げ入道は酒呑童子の前に立った。
「酒呑童子、由布由は始末したか?」
見上げ入道がそう言った途端に、酒呑童子は金棒をふりあげておもいっきり見上げ入道に殴りつけた。
「ぐっ、何を・・・」
「見上げ入道見越した」
酒呑童子がそう口にすると、見上げ入道は苦悶の表情をした。
「しゅ、酒呑童子・・・なぜだ!」
見上げ入道はそう言うと、体が薄くなり、そして霧のように消えてしまった。「見上げ入道見越した」というのは、見上げ入道の退散の呪文なのだ。雪男はそれを見てちょっと顔色を変えた。
「な、何だ酒呑童子いきなり・・・」
「悪いが、おゆきは由布由と結婚してもらう」
そういうと雪男は泣きそうな顔になった。
「じょ、冗談だろ・・・?」
「冗談じゃない、お前にも忠告しておくぞ」
酒呑童子は金棒をどんっと地面についた。雪男は腰を抜かす。
「金輪際由布由に手を出すんじゃねぇ!そ、そうだ。美香さんにもだ!わかったか!」
雪男はそれを聞くと一目散に山へと逃げていった。すると、壁から美香が出てきた。
「うわぁっ!酒呑童子さんかっこいい!」
美香はそういって酒呑童子の腕に抱きついた。
確かに酒呑童子のあの迫力はちょっとすごかった。やっぱ鬼なんだなぁと由布由も思った。
「酒呑童子さんがあそこまでしてくれたんだから、私たちも早く結婚をしないといけないですね。由布由様」
「断じて嫌だな」
「なんだと?」
由布由が断った途端酒呑童子が詰め寄ってきた。
「てめえ、俺が何のためにあいつら追い払ってやったと思ってんだぁ?あ゛ぁ?」
ヤクザより怖い脅しだ。
「でも、よかったのかなぁ」
由布由は話を変えた。
「あの雪男って・・・おゆきの婚約者だったんだよね。追い払ったりして大丈夫だったのかな」
「気にすることはないさ」
そういって由布由の肩に手をかけたのはつららお姉さんだった。
「お互いが0歳の時に決まったような理不尽な許婚だ。 そんなものに本人が振り回される必要はない」
「そうそう、問題ってまだまだこれからじゃない?」
ろくろ首が言った。
「問題って・・・俺らの結婚はもう決定事項かよ」
由布由は頭をかかえる。
「くれぐれも妹を頼んだよ」
つららお姉さんまでそういう始末だ。
「仕方ない。帰るか」
とりあえず雪女の手をとってボロアパートへ向かった俺達。
だが、妖怪の知り合いっていうのもなかなか楽しいと感じてしまってもいたのだった。
-完-
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