相談
「よかったの?のっぺらぼう」
猫又が雪男の逃げたほうを見ながらのっぺらぼうに聞いた。
「雪男のことだから絶対仕返しに来ると思うんだけど」
「構わんさ」
のっぺらぼうはあまり気に留めていないようだった。ていうかさっきの毛はすごかった。
「おゆき、そこの人間は?君の恋人?」
不意にのっぺらぼうがこちらを向いて冷やかしてきた。
「え?いや、その、由布由様は・・・!」
「由布由っていうの?その子は」
猫又が俺のほうを見てきた。じーっと見ているとすっごくきれいな人だ。何か頭がボーっとなってきた。
「あまり猫又と目を合わせないほうが良いですぞ。そのうち精気を吸われするからな」
「えっ・・・!」
俺はちょっとびっくりして目をそらした。
「あーっはっは、目をそらしちゃったぁ。可愛いんだからぁ」
「猫又さん!由布由様をからかわないでください!」
雪女が両手をぶんぶん振りながら怒った。
「あはは、まぁ時々、ね。最近はめっきりよ」
「まったく、猫又殿はいたずらが過ぎまするぞ」
さっきから変なしゃべり方をしているのは、羽織を上から羽織っている少年だった。
「申し遅れました。それがしの名はカラス天狗といいまして、もともとゆき姫の護衛をしておりましたもの」
「あ、あの、ちょっと聞いてもいいですか?」
俺はちょっとちょっとそのカラス天狗とかいうやつなら聞きやすそうなのでこの際疑問をぶつけてみることにした。
「何かさっきから祝言だの姫だのって・・・何か俺にはさっぱりよくわからないんですが・・・」
「ふむ、それももっともでござりますな」
カラス天狗はあごを触りながら考えた。
「そう、由布由殿のお察しのとおりおゆき殿は実は雪女の姫なのでございます。おゆき殿の生家は名門。おゆき殿もそろそろちょうどいい婿を取らねばならぬ年頃です」
「そう、おゆきのお母さんはそれでちょうどいい男を連れてきたわけ。それがさっきの乱暴な男。雪男」
猫又がそこで口を挟んだ。
「祝言の準備も整ってあとは婿を迎えるだけっていうことになったはずなんだけど・・・」
「そこで姫様が逃げ出してしまわれたのでござります」
カラス天狗と猫又は責めるような眼差しでおゆきを見た。
「うー・・・、だって嫌なんだもんあんな乱暴な人」
おゆきはちょっと開き直ってそっぽを向いた。
「ですが・・・」
「そうだよぉ?おゆき、つららお姉さんが聞いたら何て言うかねぇ?」
猫又が腰に手を当ててそういうと、おゆきの顔が見る見る青くなった。
「つららお姉さんって誰ですか?」
俺が尋ねると、
「俗にツララ女とも呼ばれるおゆき殿のお姉さまなのですが・・・これがすっごく気が強くって怖いお姉さまでして・・・」
カラス天狗が俺に耳打ちをしてきた。
「つ、つららお姉ちゃんなんか怖くないもん!嫌だといったら嫌なんだもん!」
「へぇ、そうかぁ。って、あ!あんなところにつららさんが!」
猫又があらぬほうを指差すと、おゆきは変な叫び声をあげて俺の陰に隠れた。
「どこ?どこ?つららお姉様は!?」
「嘘だよ」
猫又がため息をついた。
「だ、だましたんですね猫又さん!ひどいです!」
「そ、そんなに怖いのか?つらら・・・お姉さんって言うのは」
俺が尋ねるとカラス天狗が首を振った。
「もう怖いというものではありません、もう恐ろしいというかなんというか・・・」
「へぇ・・・」
「つ、つららお姉さまなんかぜんぜん怖くないです!
おゆきが叫んだ。
「ま、いいんじゃねーの?別に雪女がいやだって言うんならそりゃ本人の自由だし」
のっぺらぼうが二タっと笑っていった。
「ま、まぁそりゃそうかもしれないけど・・・」
「されどのっぺらぼう殿!雪男の一件がつらら様に知れればこの私にまで被害が!」
カラス天狗が泣きそうな顔で言った。
「そのときは覚悟を決めろ。おゆきの護衛なんだから」
「ぐす・・・、命の覚悟ということですな・・・」
「あー怖い怖い、とにかく私は逃げさせてもらうわ。とばっちりは嫌だからねぇ」
そういって猫又がツインテールのゴムを外すと、そこからぴくぴくっと動く猫耳が現れた。なるほど、ツインテールは猫耳を隠すためなのか、と納得をする。
「お先に失礼するよ皆様」
そういって猫又が縮こまったかと思うと、次の瞬間にはちょっと年を取った猫になり、わき道から走って逃げていってしまった。
猫又が雪男の逃げたほうを見ながらのっぺらぼうに聞いた。
「雪男のことだから絶対仕返しに来ると思うんだけど」
「構わんさ」
のっぺらぼうはあまり気に留めていないようだった。ていうかさっきの毛はすごかった。
「おゆき、そこの人間は?君の恋人?」
不意にのっぺらぼうがこちらを向いて冷やかしてきた。
「え?いや、その、由布由様は・・・!」
「由布由っていうの?その子は」
猫又が俺のほうを見てきた。じーっと見ているとすっごくきれいな人だ。何か頭がボーっとなってきた。
「あまり猫又と目を合わせないほうが良いですぞ。そのうち精気を吸われするからな」
「えっ・・・!」
俺はちょっとびっくりして目をそらした。
「あーっはっは、目をそらしちゃったぁ。可愛いんだからぁ」
「猫又さん!由布由様をからかわないでください!」
雪女が両手をぶんぶん振りながら怒った。
「あはは、まぁ時々、ね。最近はめっきりよ」
「まったく、猫又殿はいたずらが過ぎまするぞ」
さっきから変なしゃべり方をしているのは、羽織を上から羽織っている少年だった。
「申し遅れました。それがしの名はカラス天狗といいまして、もともとゆき姫の護衛をしておりましたもの」
「あ、あの、ちょっと聞いてもいいですか?」
俺はちょっとちょっとそのカラス天狗とかいうやつなら聞きやすそうなのでこの際疑問をぶつけてみることにした。
「何かさっきから祝言だの姫だのって・・・何か俺にはさっぱりよくわからないんですが・・・」
「ふむ、それももっともでござりますな」
カラス天狗はあごを触りながら考えた。
「そう、由布由殿のお察しのとおりおゆき殿は実は雪女の姫なのでございます。おゆき殿の生家は名門。おゆき殿もそろそろちょうどいい婿を取らねばならぬ年頃です」
「そう、おゆきのお母さんはそれでちょうどいい男を連れてきたわけ。それがさっきの乱暴な男。雪男」
猫又がそこで口を挟んだ。
「祝言の準備も整ってあとは婿を迎えるだけっていうことになったはずなんだけど・・・」
「そこで姫様が逃げ出してしまわれたのでござります」
カラス天狗と猫又は責めるような眼差しでおゆきを見た。
「うー・・・、だって嫌なんだもんあんな乱暴な人」
おゆきはちょっと開き直ってそっぽを向いた。
「ですが・・・」
「そうだよぉ?おゆき、つららお姉さんが聞いたら何て言うかねぇ?」
猫又が腰に手を当ててそういうと、おゆきの顔が見る見る青くなった。
「つららお姉さんって誰ですか?」
俺が尋ねると、
「俗にツララ女とも呼ばれるおゆき殿のお姉さまなのですが・・・これがすっごく気が強くって怖いお姉さまでして・・・」
カラス天狗が俺に耳打ちをしてきた。
「つ、つららお姉ちゃんなんか怖くないもん!嫌だといったら嫌なんだもん!」
「へぇ、そうかぁ。って、あ!あんなところにつららさんが!」
猫又があらぬほうを指差すと、おゆきは変な叫び声をあげて俺の陰に隠れた。
「どこ?どこ?つららお姉様は!?」
「嘘だよ」
猫又がため息をついた。
「だ、だましたんですね猫又さん!ひどいです!」
「そ、そんなに怖いのか?つらら・・・お姉さんって言うのは」
俺が尋ねるとカラス天狗が首を振った。
「もう怖いというものではありません、もう恐ろしいというかなんというか・・・」
「へぇ・・・」
「つ、つららお姉さまなんかぜんぜん怖くないです!
おゆきが叫んだ。
「ま、いいんじゃねーの?別に雪女がいやだって言うんならそりゃ本人の自由だし」
のっぺらぼうが二タっと笑っていった。
「ま、まぁそりゃそうかもしれないけど・・・」
「されどのっぺらぼう殿!雪男の一件がつらら様に知れればこの私にまで被害が!」
カラス天狗が泣きそうな顔で言った。
「そのときは覚悟を決めろ。おゆきの護衛なんだから」
「ぐす・・・、命の覚悟ということですな・・・」
「あー怖い怖い、とにかく私は逃げさせてもらうわ。とばっちりは嫌だからねぇ」
そういって猫又がツインテールのゴムを外すと、そこからぴくぴくっと動く猫耳が現れた。なるほど、ツインテールは猫耳を隠すためなのか、と納得をする。
「お先に失礼するよ皆様」
そういって猫又が縮こまったかと思うと、次の瞬間にはちょっと年を取った猫になり、わき道から走って逃げていってしまった。
※会員登録するとコメントが書き込める様になります。