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ペルソナ5:OXYMORON……賢明なる愚者へ。

原作: その他 (原作:ペルソナ5) 作者: よしふみ
目次

第六話    新たな出会い?


「焦っても、仕方がないこともある」

 蓮は遠ざかるバスを見送りながら呟いていた。モルガナは、はふー、とため息を吐いた。この相棒は、いつもながらマイペース過ぎるというか……。

『……そうかもしれないが……まあ、たしかに、次のバスを待つしかないか―――』

 モルガナがそう呟いた瞬間、二人の前に一台の自転車が現れる。もちろん、その乗り手も共にだが。

「……おはーよ!……その制服、うちの学校だよね?ミハエルの?」

 自転車のブレーキをかけて目の目に止まったのは、金色の髪をポニーテールにまとめた少女だった。

『外国人だー!!しかも美人!!』

 モルガナがそうはしゃいでいる。杏に対してもだが、モルガナは金髪の美少女に興味があり過ぎるのかもしれない……。

「ミハエルの子じゃないの?」

 大きな青い瞳をした少女は、ゆっくりと頭を傾げてみた。ミハエル。たしかに自分が今日から通う予定の高校の名前である……蓮はうなずいた。

「そうだ。今日から、ミハエルの子になる」

「ん。新入生……じゃないよね、校章が3年生バージョンだし……?」

「編入したんだ。東京の高校から、こっちにな」

「そっかー。じゃあ、東京のヒト?」

「いや。元々は、こっちが地元なんだ。だが、色々とあって、一年ほど東京に通っていた」

 傷害事件のレッテルを貼られて、東京に『島流し』にされた。その事実については語らなくても良いだろう。誤解を生む可能性があるからな。

「そっか。とにかく、ミハエルの子なんだよね……?バス、遅れちゃったんだ」

「……ああ。走ったが、勝てなかった」

「あはは!そりゃ、勝てないよー。この『シャーちゃん』&通学チャリさんでもムリだもーん」

『シャーちゃん殿かー……』

 通学バッグに身を潜めているモルガナが、しずかにそう呟く。なんだか、一年前を思い出してしまう。金髪少女に弱いらしい、モルガナは……しかし、シャーちゃんか。

「面白い名前だな」

「ん。ああ、違うよ?本名じゃなくて、あだ名ね」

「そうなのか」

「うん。そうなのだ!……本名は城ヶ崎シャーロット。ハーフなんだ」

「そうか。雨宮蓮だ。よろしく」

「うん。よろしくー」

『モルガナです……』

「ん。あれれ?……なんか、猫さんの鳴き声しなかった?」

『……っ』

「何だか、君のバッグ、動いたような……?」

「バッグは動かない。気のせいだろう」

「そう?」

「ああ。もしかしたら、中身の弁当がズレたのかもしれないな」

「なーる。でも……そんなカンジの動きじゃなかったよーな……?」

 城ヶ崎シャーロットは、蓮とその肩に担がれた通学バッグを、じーっと見つめてくる。蓮は少し困る……本当のコトを教えようか?……モルガナは喜ぶ気もするし。

 だが、シャーロットは、ああ!と叫んでいた。

「このままじゃ、遅れちゃうね!!……じゃあ、君……このシャーさんの自転車に、乗りたまえ!!」

「自転車を貸してくれるのか?」

「ちがう!!そーじゃなくて、二ケツするの!!二人で、自転車に乗って、レッツゴーだよ!!そしたら、二人とも遅刻しないで済むし!!」

「……なるほどな」

「ほら。荷台のところに乗るんだ、レンレン!!」

「頼んだ」

『……え?……二ケツは危ないけどって、そもそも、それやるとしたら、男のお前がこいだ方がよくないか?……ていうか、男として、そーあるべきじゃないのか?』

「シャーロットはやる気だ」

『……そ、そーかもしれんが。え?それで、いいのかな……?』

「猫さんの声が、聞こえる気がするなー……私、猫幽霊にでも取り憑かれているのかな」

「安心しろ。幽霊に取り憑かれてはいない」

「え?見えちゃうヒトなの、レンレン?」

「目力には、自信がある」

「ほ、ほー。うーむ……たしかに、鋭いというか、深みがあるというか……」

 シャーロットはその青い瞳で、蓮のダテ眼鏡の下にある黒い瞳を見つめてくる。目力勝負なのかと、連はじーっと見つめて返す。あふれ出る魅力があるせいか、シャーロットは顔を赤らめて、目を反らしたしまう。蓮は、勝利したようだ。

「あ、朝から見つめ合っててどーする!?……ていうか、ちょっと急がないと?さあ、このシャーちゃんの後ろに乗れ、地元民なのに東京帰りのレンレン!!」

「わかった」

 蓮は赤を基調としたシャーロットの通学自転車の荷台に乗った。

「この赤いシャーロット号は、並みの自転車よりも、三倍は速く走れるのだー!!」

『そんなばかなことあるわけねえ……』

「行くぞ、しっかりとつかまっておきたまえ!!」

 シャーロットは自転車をこぎ始めていた。ゆっくりと前に進み始めていた。3倍速い。ふむ、期待してみたいところだが……かなり、ふらついている。

「う、うむ。あれ、パワー不足かな……っ?あ、危ないから、つかまっているよーに」

「どこにだ?」

「え。そ、そだなー。あ、あまり、エッチじゃないところにして……って……っ!?」

「っ!?」

 自転車がフラリと傾いて、シャーロット号は二人を乗せたまま、豪快に地面に倒れてしまう……。


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