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【FGO】特異点Ω -私の故郷と記憶-

原作: Fate 作者: えせ
目次

第二節 運命の悪戯

「・・・ター! マスター!起きてください・・!」
「・・・・」
目が覚めると、木漏れ日さす森の中にいた。
道が綺麗に舗装されているところを見ると、公園のようなところか。

「レイシフト完了です。ここが夏山市、先輩の故郷なんですね!」

「うん、そう!ここは、もしかして夏山記念公園かな・・
何年ぶりだろう・・・こんな形で帰省するとはなあ・・
特異点ということは、何かがおかしいんだよね」

「はい、少し心苦しいと思われますが・・・」
「ううん、早速調査してみるか!早く修復して、ちょっと散歩したいところがあるんだ!」

手分けして、聞き込みをしてみることに。

―――――――――
「ふむ、分かったのはこんな感じだな」

「夏山市では、不可解な事件が起きている」
「それは、夜な夜な人が消えているということ・・・」
「そして、郊外にある結界・・・」

南の方を見上げると、青空に異様な漆黒のラインが空へと伸びており、
空に空いたブラックホールのような穴に繋がっていた。

「何者かが聖杯の力を使っているんだろう。まったく、何を企んでいるんだか」
「とりあえず、あの結界のあたりまで行ってみる?」

―――――――――
公園の横を通って、2番目の角を右に曲がる。
黒いフェンスの上で寝ているのはどこかで見たことがあるような気がする黒猫。

嫌な予感はしていた。
私の実家の方向。というか、同じ道を進んでいる。

「ここまでくると、閑静な住宅街ですね。」
「・・・・そうだね。」
「先輩?」

もしかして、この特異点は・・・
心に鉛が注がれるような、そんな気持ちで歩いていると、
「ここが諸悪の根源か。普通の家だな。」

着いたのは、想像通り、「私の家」。

「ですが、凄い魔力を感じます。お家から半径100メートルの中にはこのままでは近づけないかと。」

え、そんな結界張られてるの、私の実家(笑

「特異点ということは、このお家に住んでいる方が、この世界のキーマンなのでしょうか。」
「きっと、そうなんだろうね・・・」

「とにかく、結界を弱めない限りは進めんぞ、どうする?」
「とりあえず・・・
    いつものように、仲間をさがす??」

仲間を探さなければいけないのももちろんだが、
この家から離れたい、もっと言えば、この家の話題から逃れたい、と思った。
この世界のキーマンとは、私なのである。恐らく。

何も手がかりが見つからないまま、歩いていると。

「あれ、あの人・・・」

たくさんのおじさ、お兄さんのカメラマンに囲まれ、真ん中でポーズをとっている女性が一人。
カルデアでお馴染みの顔だった。

「ダヴィンチちゃん・・・?」
「あれはカルデアのダヴィンチちゃんでしょうか・・・それとも別人でしょうか。」
じっと見ていると、ダヴィンチちゃんらしき人と目が合った。
カメラマンをかき分け、こちらに向かってくる。

「やあ、カルデアから来たんだよね、君たち。
私はご存知の通り、レオナルド・ダ・ヴィンチだ。

あ、私は君たちがいるカルデアの私とは、少し違うよ。
でもね、君のことは知っている。リツカちゃん。」

優しい笑顔で私を見つめるダヴィンチちゃん。

「そうだったのですね。よろしくお願いします。ダヴィンチちゃん、この世界のことを教えてくれませんか。」

「あぁ。この世界は、とある家族のifから生まれた特異点だ。」
ダヴィンチちゃんは神妙な顔で言った。

「・・・・。」

「ここからは私も一緒に行くよ。」

「ありがとうございます。ダヴィンチちゃん。」

「もちろんさ。さて、暗くなってきたね。北に進むと河原があるから、そのあたりで休憩しよう」

ーーーーーーー
夕食を済ませ、ひと段落した午後21時。

「ダヴィンチちゃん。ちょっといいかな。」
「どうしたんだい?リツカちゃん」

「とある家族って、私の家族のことだよね。」

「そうだよ」

「・・・。ダヴィンチちゃんは、どこまで知ってるの」
「まぁ、だいたいかな」
「カルデアのダヴィンチちゃんも、知ってるのかな」
「どうだろうね。
それより、どうするんだい?君はこのこと、誰にも言ってないんだろう?」
「うん、言う必要ないかなって。“母親がサーヴァントに殺された“、なんて
みんな気を使いそうだし、サーヴァントの皆の前では、”暗い過去を持った私”では在りたくない」
「そうか、センシティブなことではあるからね。でもきっと今回は、少なからず
あの3人、マシュ、アルジュナ、アンデルセンには知られることになる」
「・・・。どんな反応をするかな、ちょっとこわいよ」

きっとありのままの君を受け止めてくれるさ。



ーーーーーーーー
「マスター、少し歩きませんか。」
「お、アルジュナ。いいよ、涼しくなってきたし。」


「・・・。」
「・・・・・・・。」

「マスター、この特異点に来てから、元気がないようにお見受けしました
どうされたのですか」
「そう見えるか・・・」
「何かわけがあるのですね。詳しくは今は聞きませんが、いつでも、受け止める準備はできていますから。」
「そっか、ありがとう。きっと話すね」


母がサーヴァントに殺された。この文脈だけなら打ち明けるのはそこまで苦ではない。
問題は、その殺され方、というか、そのサーヴァントと母の関係性なのである。



母は



自らのサーヴァントに凌辱され続けていた。
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