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悪役令嬢が悪くてなにか悪いかしら?

ジャンル: 異世界(恋愛) 作者: 藤原遊人
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選り取り見取りだよ!5人の王子たち

さて、ヒロインはおそらく私の双子の兄狙い。この時点で誰の好感度も上がってないってことはそういうことだ。

ふぅとため息をついて、その狙われてる麗しのジルをソファから見上げる。会場からお部屋まで連れて帰ってきてくれて、お茶を入れたり、お菓子を用意させたり、甲斐甲斐しく働いてくれている。

「ねえ、ハビー。そんなに人の子に動揺して、僕が目の前にいるのにもしかして浮気?」

ちょっと!!
しがない会社員にバックハグからの囁きなんて上級テク使われたら、オーバーキル過ぎる。

「心音が早くなった、ちょっと焦ってる?ねえ、どうして焦る必要があるの?僕に図星をさされたから?」
「ジル、随分と必死ね。私たち唯一の双子でしょう?」
「そうだよ、でも、双子でも婚約者なんだから僕が怒って当然なのもわかるよね?」

あれ……。
いや、確かにこの子、ヤンデレ属性でもあったかも。

「ねえ、ハビー?このまま血を貰って良いでしょう?血に聞いたら嘘はつけないもんね?」

ジルのルートでR18指定はなかったはず。
せいぜい15だった、しかも、乙女ゲーム的な18じゃなくて、流血するという意味での15。吸血鬼設定を存分に生かして、ヒロインの血に狂う彼のスチルがあった気がする。

首筋に触れていた指に、血管を探るようにそおっとなぞられる。

「返事がないなら良いとするよ。僕のもあげるから、安心してね」

その言葉に私がようやく正気に戻る。

ヤンデレさんを無視して良いことない。めっちゃ拗らせると相場が決まってる。どこの相場かって?どこの乙女ゲームでもヤンデレは無視したらメリーバッドエンドルートが開拓されるのはテンプレだ。

「周り、汚さないでちょうだいね。今日のドレス気に入っているの」
「ふふっ、そんな子どもみたいな失敗しないよ。さあ、ハビーもどうぞ?」

ソファの背もたれに凭れてジルを見上げたら、瞳が煌々と銀色に輝いている。
うわ、この美麗な兄妹で求めあってるスチルとか、第三者目線で見たかった……。

「僕は、いっそのこと粗相をしてこのドレスを2人だけのものにしたいな」

そう囁くとジルが首元に牙を穿つ。
ぐぅっと身体が熱くなって、感覚が鋭敏になる。ジルが血を飲み下していく音をじっくり聞いてしまうほどには興奮している。気持ち悪いほど甘い血の香りが広がる。というか、食事がR15なこの子たち本当にやばいな。

急に美味しそうに見えだしたジルの手首を掴むと、本能なのか、知らず知らずのうちに牙を当てている。

あ、そっか、ハビラントだから感化されやすいのか。

ヒロインならどの王子も選び放題なんだから、わざわざ双子の間に入ってこないでよ。「唯一の双子がほしい」と教えてくれるジルの血を飲みながら、私の意識が落ちるまでお互いの血を抜いていた。
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