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悪役令嬢が悪くてなにか悪いかしら?

ジャンル: 異世界(恋愛) 作者: 藤原遊人
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ヒロインの王子は誰?

ヒロインが現在たどっているルートを知らなければ、私の対策も立てようがない。
そしてもう一つ確認しなければ。
ヒロインが私と同じ転生でないこと確認しないと危なくて仕方ない。

ヒロインが私と同じだった場合は、この世界は荒れに荒れる。

性格や癖を熟知して、スチルを出すためのツボを抑えているのが2人もいたらフラグ管理して大円団ルートを模索しないといけない。
考えごとをしているうちに、会場に着いたらしく、私たちの入場を告げる声が高らかに響く。

緊張している感をだすのに、少しジルの腕を強めに握ると、ジルが少しだけ口元を綻ばせて、私を見てくれた。

スチルか!!神々しいわ!

「ジュリアン・バンパイアさま、ハビラント・バンパイアさまのご到着」

各種族の王族以外が一斉にそれぞれの最敬礼をする。
うんうん、攻略王子たちが見やすくていいわ。

ザ、王道の王子は赤髪に猫耳のついた獣人族の王子、レオナルド・ライオン。
オレオレ系のヒロインと同級生の王子だ。こちらを挑戦的に睨んでいることからも、バンパイアとの国交状態はお察しだ。

優しいサポート役を兼ねる先輩は、エルフの王子、クリストフ・エルヴィッシュ。
攻略しなくても、困ったときは助けてくれるためにルートに入れてないことに気がつくのが遅れたことが何度もある。バンパイア一族とはそこそこ仲が良い。

お色気担当のインキュバスの王子、リリトス・ナイトメア。ヒロインと同級生だが、攻略難度が若干高い。
R18の表現があってもバッドエンドが有り得る困った王子だ。バンパイア一族とは同盟関係で、ハビーとジルとは幼なじみだ。

ドM担当の人族の王子、茶髪のアレウス・ヒューマン。こちらもヒロインと同級生で、いじめがいのないドMである。
アレウスルートは戦闘で負けまくるから、ヒロインの愛と回復道具が必須になる。
バンパイア一族とは、まああまり仲良くないが、個人的にジルとアレウスは仲良しだ。


中盤で貰えるこの王子5人が揃ったスキルが圧巻だったのを覚えている。
まあ、スチルはこのシーンのものではないが、やはり初見のインパクトは大きい。

なお、ヒロインは先生のお使いでこの会場に遅れてくるために、誰が王族かわからず、王族6人で会話しているとこに突撃をかますという粗相をしてしまうことになる。
だからまだ会場にヒロインはいない、万人受けするふわふわの栗毛、思わず守りたくなるけど、メンタルが強靭すぎて聖人君子様も真っ青なヒロインを早く見てみたい。

ジルのエスコートで、ゆったりと他の王族たちに近づいていく。
挨拶の順で、国交の度合いがはかられる。
今日はバンパイアの王族がメインで、開催はインキュバスのリリトスだ。

蠱惑的な笑みを浮かべて待つリリトスの元に向かう。
待ちきれないといった様子でリリトスから話しかけてきた。潤んだ瞳が斜めに私を見て、中身が年相応じゃないからゾクゾクする。

ハビラントでリリトス攻略をしたら、幼なじみ×色気という私好みの掛け算ができそうだ。

「ハビー、今晩は一段と美しいよ。インキュバスの私が誘惑されそうだ」
「リリトス、息を吸うように堂々と僕の婚約者を誘惑しないでください」
「おや、ハビーが美しいとご挨拶をしただけですよ。もちろん、ジル。あなたも美しい」

ほっと吐く吐息すら色っぽいリリトスは、うん、通常営業のようだ。
私の記憶にあるリリトスと相違ない。

まあ、確かにハビラント・バンパイアは美しいけどね!
当然のように婚約者のジルの前で誘惑とか言い始めるあたりがインキュバスでない私たちからしたらアウト。インキュバス的には今日もドレス綺麗だねぐらいの挨拶なのかもしれない。

「ハビー、ジル、大きくなったね。そしてハビー、今日のドレス、よく似合っているよ」
「ありがとう。クリス」

リリトスのまとう空気を一掃できるほどの清らかなクリスがにこやかに挨拶をしてくれる。
攻略王子たちの笑顔スチルが次々と。平然と受け答えできている二面性を褒めて欲しいぐらいだ。

ジルもハビーも起伏が激しくない、特にパーティ等では王族として恥ずかしくない程度には淡々とこなす。
間違ってもムフフとか、ぐふぉっなどと笑ったりするわけにはいかない。

その後もスチルのような素敵なご尊顔を拝謁して、卒なくパーティが開始になった。

まあ、バンパイア一族と微妙な関係の王子とは上っ面の挨拶をしたが、反応的にマイナスならゼロに持っていくのはそれほど難しくなさそうだ。
ハビラントのスペックが高いことに感謝しておこう。

開幕すぐのダンスを2曲ジルと踊って、原作では踊っていなかったが、これもジルとハビラントが婚約者というのを見せつけるためだ。
リリトスの件があるからか、ジルの方から誘ってきてくれた。

ダンスを2曲以上一緒に踊れるのは婚約者以上の関係でなければいけないのは、暗黙のルールとなっている。

スチルで見覚えのあるソファに腰かけて、ジルと炭酸を楽しんでいると、リリトス、クリス、アレス、レオナルドと王子が全員揃った。

さて、そろそろお出ましかな。

ヒロインが突撃してきたあと、誰がヒロインを引き取るかでヒロインのルートがわかる。
扇で口元を隠しながら、ソファ席に突撃してくる女生徒を見つけて笑った。
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