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　宇宙世紀は戦いの歴史だった。宇宙世紀初年……U.C.０００１年から血なまぐさいものである。

　地球連邦初代首相リカルド・マーセナスに対する暗殺テロからスタートした。低軌道上に存在していた首相官邸ごと爆破テロが起こり、宇宙世紀は開始されたのである。

　なんとも血なまぐさいスタートではあったが、呪われた世紀はさらに多くの血を流すこととなった。

　そもそも、そのテロは反連邦政府組織によるものだとされたが、真実はそうではない。リカルド・マーセナスという左派勢力の首相の存在を煙たがっていた、地球連邦政府保守派による暗殺工作であった。

　マーセナスは身内に殺されることになったのだ。

　反連邦勢力にマーセナスを殺されたと喧伝することにより、当時の連邦政府とその軍は、地球各地の残っていた反連邦政府に対する掃討作戦への大義を得た。

　保守派勢力は、自作自演のテロの責任を、自らの敵へとなすりつけることにより、その基盤に絶対的な安定をもたらすこととなる。

　反連邦勢力に対する攻撃は２０年ほど続き、地球上にいた、およそ全ての反連邦勢力を根絶やしにすることで連邦政府の勝利で終わった。なんとも血なまぐさい世紀のスタートだった。

　スペース・コロニーの建設と宇宙への入植が本格化されていき、宇宙にも人類の生活兼が広がってはいったが、地球連邦政府の強権的な支配は宇宙にも及び、宇宙で世代を重ねつつあったスペースノイドたちの間には、地球連邦政府に対する怒りと、反抗心が募っていった。

　やがて、月の裏側サイド３というコロニーに、ジオン・ダイクンという思想家が誕生する。

　人類の変革を信じ、スペースノイドこそが人類をリードして行くべき存在になるのだと語る思想家であった。

　スペースノイドたちは、彼の言葉に勇気づけられ、彼の言葉を信じるようになっていき……地球連邦政府は、ジオン・ダイクンを危険視するようになった。

　だが、そのジオン・ダイクンも身内に暗殺されることとなる。同じスペースノイドであり、同志と呼ぶべき存在であったザビ家により、ジオン・ダイクンは暗殺されてしまった。

　ザビ家は彼の暗殺後、サイド３の支配を強め、自ら暗殺した偉大なる思想家の名を冠した、ジオン公国という国家を作り上げ、支配し……地球連邦政府へ反旗をひるがえすことになる。

　画期的な新型機動兵器である、モビルスーツを用いた、初めての戦争がスタートすることになったのだ。ジオンのその新兵器の力は圧倒的であり、当初は連邦軍を圧倒してみせた。

　次いで行われたジオンによるコロニー落としにより、地球は重大な破壊を受けることになる。

　その大混乱の最中に降下して来たジオン軍に、地球各都市は攻撃された。躍進するジオン公国軍の英雄には、ジオン・ダイクンの遺児でありながら、その出自を隠し、ザビ家への復讐を企てるシャア・アズナブルこと、キャスバル・ダイクンもいた。

　彼は、父親を殺したザビ家への復讐を果たすという目的を貫徹した。彼らへと近づく機会を伺うために、ジオンの英雄であり続け、最終的にはザビ家は、ミネバ・ザビを除き、大半の人物が死亡することとなる。

　……連邦側の英雄として、アムロ・レイも参加していた一年戦争は、人類の半分を死に至らしめた果てに、地球連邦の勝利で終わることになった。

　……しかし、その後は戦いは続く。増長した地球連邦軍の傲慢さは、地球連邦至上主義を掲げた、ティターンズを生み出していくことになった。

　そして、このティターンズに反する地球連邦軍の組織エゥーゴの台頭により、地球連邦軍内部で大きな騒乱が起きた。グリプス戦役と呼ばれる、連邦軍同士の殺し合いである……。

　戦力を失いつつあった連邦軍に対して、ジオン公国軍の残党は、女傑ハマーン・カーンに率いられた彼らは『ネオ・ジオン』と名乗り、身内争いで疲弊した地球連邦軍に対しての攻撃を開始する。

　第一次ネオ・ジオン抗争の勃発だ。

　そのハマーン・カーンも死亡し、宇宙世紀に平和が訪れたかに見えたが……地球連邦政府とその軍の腐敗に絶望したシャア・アズナブルにより、第二次ネオ・ジオン抗争が発生する。

　アクシズを地球に落とすことで、怠惰な地球人類に対しての粛正と、人類全てが宇宙に上がることで、歴史を進めようとシャア・アズナブルは考えていたが……一年戦争からのライバル、アムロ・レイに阻止されることになった。

　地球へと落ち行くアクシズを、νガンダムを中心に発生させた謎の光で、弾き返すことによって―――。

　シャア・アズナブルとアムロ・レイの、一年戦争から続くライバル関係もそうして終わりを告げることになる。

　ジオンと地球連邦の英雄は共にこの世界から消失し、世界からは多くの軍事力が失われていた。それでも、残されたわずかな軍事力により、戦いは起こる。

　……ネオ・ジオンの残党の急先鋒、『袖付き』とミネバ・ザビ一派、そして地球連邦政府とマーサ・ビスト・カーバインらにより起きた、ラプラス事変―――その闘争の果てに、『袖付き』の大半は滅び、地球連邦政府もアナハイム・エレクトロニクスも衰退を始めることになるのだ……。