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ガンダムNT:S007

原作: 機動戦士ガンダム 作者: よしふみ
目次

ACT086    『ジェガン対ジェスタ』



「―――空中で攻撃されることはなかったが……アイツらは、何だ……?オーストラアの部隊なのか……?」

 イアゴ・ハーカナ少佐は作戦上の合流地点にいる、3機のジェガンを見つけている。もちろ、スワンソン大尉もであった。

『……何でしょうね。アイツら……こちらの作戦を邪魔しようとしているんでしょうか?……電波塔のマネをしていましたよ。レーダーの上では、偽装している……もっと真剣に隠れられていたら、気づくのが遅れていた……』

「……不用意に近づけんな。オレたちの任務は、極秘扱いのハズだが……護衛対象と合流する地点に、何故、オーストラリアの連邦軍が、『変装』して突っ立っているんだ?」

『……アイツらは、ルオ商会の手の者なんでしょうか?』

「……訊いてみれば早いが―――特殊部隊の悲しいところだ」

『……合流時間より、30分も早く着いてしまったことが、良いのか悪いのか……アイツらは、敵か味方のどちらかだ』

「……30分後には、ルオ商会の連中がいてくれたんだが。クソ!……迂闊だったな。電波塔に偽装していやがったとはいえ、気づかないとは……ッ」

『悪くない偽装だ。手練れが混じっている。とくに……』

「そうだな。前に出て来たモビルスーツ。分かる。強そうには見えないが……違う。見せてないだけだ。アイツは、エース級だ。オレとも……互角かもな」

『でしょうね。オレじゃあ、勝てないかもしれない。ヤツがジェガンで良かった。性能はオレたちの方がかなり上……数では、一機負けている』

「……互角と見積もるべきだな。シェザール2、地上に降りるぞ。飛びすぎた」

『了解、シェザール1……燃料は、大事にしておきたいですもんね』

 二機のジェスタが地上に降りる。移動時間を短縮するために、飛び過ぎてしまっている。燃料の消費も大きい。

 3機のジェガンたちと、10キロの距離を置いて対峙する……。

「……あちらの正体を知りたいところだ。敵か味方か……」

『このまま睨み合いで、ルオ商会を待つのも悪くないかもしれませんが……』

「あちらがそれを望んでくれるならな。だが、オレたちは怪しすぎるだろうからな……っと。通信して来やがった。返事はするなよ」

『もちろん。オレたちは、極秘任務の最中にあるんですから』

『―――こちら、地球連邦軍オーストラリア警備隊。部隊番号は59205114だ。そこのジェスタ。どうして、ここにいやがる?……しかも、重装備だな?』

「……ふむ。スワンソン」

『……照会しています59205114……実在している部隊ですね。オーストラリアの警備隊。友軍です、データの上では』

「偽りの可能性もあるか」

『ええ。連中、偽装が上手すぎますかららね―――』

『―――おいおい、だんまりかよ?……お前ら、所属を答えろ?……そんな高性能機がうろついていていい田舎じゃねえんだぞ?』

 ……『強そうに見えるヤツ』が、そう言いながら近づいて来る。

 イアゴ・ハーカナ少佐は、緊張を解けない。あのジェガンは、ビームライフルを装備しているのだ……しかも、カスタマイズされているように見える。

 制式装備品を、勝手に改造する……?たまにはいるのかもしれないが……きな臭い。

 30分後を待つのが良策だな。コイツと交戦するのは、面倒そうだ。他の二機はともかく、このジェガンは……イヤな予感がしてならない。

 爪を隠すことに、異常なほど長けているパイロットはいるもんだ。照準レーダーを当てられてはいないが……それがまた、イヤな予感がする。

 あいつは、この距離での戦闘に、照準補正なんて必要としない練度を持っているんじゃないかという臭いが漂ってくる。

『おい。何か機密性の高い作戦だっていうのなら、せめてそう言ってくれないか?オレたちは、そうやる気のないチームなんだ。ノンビリと、通信施設のフリして、軍の衛星にサボっていないように見せかけたりして、過ごしたいだけの、クズどもなんだよ』

「…………どうなのかね。お前は……イヤな気配しかしないんだ……」

『……シェザール1……コイツらは一体……っ!?』

 スワンソン大尉のシェザール2が動いた瞬間だった。あのイヤな気配のするジェガンがいきなりビームライフルをぶっ放していた!!

 シェザール2にその一撃は命中する。コクピットに直撃していた。スワンソンが殺された!?

 ……イアゴ・ハーカナ少佐は感情的になり、あのジェガンに向けて跳びかかっていく。

 格闘戦で、そのジェガンを潰すつもりだった。もみあいになれば、機体の持つ出力差がモロに反映される。瞬殺することが出来るのだ、例え、1対3になろうとも!!

 ビームサーベルで斬りつけにかかるが、ジェガンもまた突撃していた。砲身が冷めきれないライフルで、突撃して来る―――バカめ。連射は出来ないだろうが。

 一瞬だけそう考えたが、イアゴ・ハーカナ少佐は愛機に回避運動を取らせていた。理性とは異なり、本能が警戒を選んでいた。

 それは正解だった。

 違法に改造されていたビームライフルの底には、ショットガン・ユニットが装着されている。

 突撃してきたモビルスーツに、カウンターの要領でそれを浴びせることが出来たら?……強力なストッピング・パワーで、動きを殺されていたところだった。

 そして……殺されることになったのは、動きだけではなかっただろう。


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