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アブサン

原作: 名探偵コナン 作者: takasu
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17

降谷「…っ」

安室は苦虫を潰したかのような顔をした後、すぐに彼女に向き合った。

降谷「爆弾の設置場所、解除方法はわかるのか」

「うん。おおよそは検討ついてる。爆弾の解体ならまかせて。」

降谷「付いて来い。ただし勝手な真似は許さない。」

「了解。」

そう返事をすると彼女は安室と一緒に家を出て安室の車に乗り込んだ。

そして彼女は助手席ですかさずパソコンを開きながら口を開いた。

「日本の地形と彼らの手口からするとベルツリータワーだね。」

降谷「ベルツリータワーだと?!」

「そんなに驚くこと?」

降谷「俺たちが判断したのはベルツリーパークだ。」

「いや、彼らはそんな所に仕掛けないよ。だって彼らは日本の警察がそこを予想することを読んでるから。」

降谷「なぜわかる!」

「彼らの手口を見せたでしょ。彼らは比較的世界に影響の与える人物が集まる場所を狙う傾向にある。つまり今日、ベルツリータワーにはベルツリーエレベータの新機種発表があり、そこには東京サミットに出向いたアメリカ大統領をもてなすために内閣総理大臣やアメリカ大統領がいる。そしてそれに付随するSPであったり、その部下たち、他有名企業の社長やVIPがごろごろ。安室が目をつけている小さな探偵さんもいるよね。たしかその小さな探偵さんの居候先の娘の友人が鈴木財閥の令嬢。特別に案内されてそこにいることはわかってるよ。」

降谷「だが…!」

「かけてもいいよ。奴らは必ずそこに来る。過去1ヶ月の監視カメラを遡ったとこらでベルツリーパークにいた不審人物はフェイク。彼らは一般人や従業員のふりをして少なくとも半年前、いや、それ以前から爆弾を設置してるはずだから。ベルツリーパークには新設されたものはないけど、ベルツリータワーには新設されたエレベーターというものがあるからね。作業員になって爆弾を仕掛けるなんてたやすいこと。むしろ自分達がエレベータ新設作業に携わることで、爆弾が見つかったとしても解体しにくい場所に設置することができるからね。」

降谷「それだけのために従業員になっただと…?!」

「まだ納得がいかないのなら部下たちに調べさせてみなよ。ベルツリータワーのエレベータ新設に携わった従業員でかなり最近に採用された人材が数名いるはずだからね。ま、もう調べてる時間なんかないんだろうけど。」

降谷「…っ」

「それに、根拠と言っちゃなんだけど、ベルツリータワーは以前にも騒ぎがあった。そんなところ狙わないだろうと日本の警察は予想することを見立ててあえてセキュリティの高いベルツリータワーを狙ってると思うよ。ま、従業員になりすまされたんじゃセキュリティなんて無意味だろうけど。…あ、あった。やっぱり。…安室を納得させられる根拠見つけたよ。…ベルツリータワーのエレベータ新設に携わった従業員に新入社員が3名。全員中途採用の変な時期に入ってるよ。」

降谷「この短時間で調べたのか?!」

「まあね。さ、わかったなら私だけでもベルツリータワーに下ろして。このままじゃあの小さな名探偵もお陀仏だよ。」

降谷「チッ…。舌を噛むなよ!」

降谷はそういうといきなりドリフトをして車を方向転換させた。

「わぉ。顔に似合わずワイルドなんだね。日本はこういう運転する人いないと思ってたけど、案外そうでもないんだ。」

降谷「文句があるなら降りるか?」

「降りないよ。これでも急いでるつもりだから。」

降谷「随分と余裕に見えるがな。」

「貧乏ゆすり?した方がそれっぽい?あ、こういう時は爪や下唇を噛むんだっけ。」

降谷「馬鹿にするのも大概にしておけよ。」

「馬鹿にしてないよ。ただ人が急いでる時は貧乏ゆすりをしたり爪や下唇を噛んだり、イライラした様子を見せるみたいだけど、わたしにはわからないからそうした方がそう見えるかって聞きたかっただけ。」

降谷「自分がそう思わないのならわざわざする必要はないだろう。」

「あるよ。私は人並みに見えるようにしなきゃいけやいから。それを無意識に出来るようにならなきゃいけない。きっと生きていく上で大切なことなんでしょう?」

降谷「…」

降谷は返事の代わりに彼女をちらと見たあと車を急停車させた。

降谷「無駄口を叩く時間は終わりだ。着いたぞ。目星はついているのか。」

「うん。大体ね。…ま、その予想が当たってた場合かなり厄介なところではあるけど…」

降谷「厄介…?」

「うーん。まぁいいや。あ、そうだ。安室。」

降谷「何だ。」

「風見たちにも伝えて。今からここに来る者は全員一般人に紛れてって。」

降谷「なぜわざわざそんなことをする必要がある。」

「奴らはこちらが気がついたと分かればすぐに爆破を始めると思うからなるべく刺激しないように、ね。」

降谷「なぜそうだと?」

「奴らはそういうやり口だから。バレたらバックレる。でもやる事はやっていく。つまり爆発は起こして自分たちの命もろとも爆破することさえ惜しくはないんだよ。ボスを深く信仰している忠実な人間だからね。」

彼女はそう言い残すとベルツリータワーの中へと歩いて行った。
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