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アブサン

原作: 名探偵コナン 作者: takasu
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16

降谷「何のつもりだ。」

「何のつもり、だろうねぇ。」

風見「こんなに大量の爆弾をこの短時間でとうやって…」

降谷「まさか、俺たちに取り入ろうと爆弾騒ぎを起こしてでっちあげた、なんて事はないだろうな?」

3人の間に不穏な空気が流れた。

「そんな回りくどい事しないよ。安室たちと遊んでた時に怪しい奴らがいたから後つけて爆弾を回収した。それだけ。」

降谷「お前に何のメリットがある?利益を得ない事はしない主義だと思っていたが。」

「利益?そんな事考えた事ないよ。今まで考える暇もなかったし。ただ今自分の置かれている身がどこかを把握してそれにあった行動をする。今までもそうしてきたから。あ、風見、それは一応解除はしてあるけど念のため爆弾処理班に早く渡したほうがいいよ。」

そう言われて風見は降谷をちらと見ると「行け」と言われたのでその場を後にした。

そして二人は風見を横目で見送ると再び向き合った。

「つまり私は今、組織ではなく安室の元に身を置いている。正しくは監視されているんだろうけど。安室の元に身を置く以上は一般市民の安全を守るのが最優先だと考えた。それに合わせて行動したまで。それのなにがいけないの?私からすれば安室が怒る意味の方がわからない。」

降谷「そんな言い分を信じろと?」

「信じろなんて言ってないし言わないよ。」

降谷「どういう意味だ。」

「誰も信じないし信じる方が間違ってる。だからそれを他人にも強要しない。それだけの事だよ。そんなに疑うのなら私を逮捕する?証拠もないし出てくるわけもないけど。私犯人じゃないし。」

降谷「バカにしてるのか!」

「証拠のないことには付き合わないんでしょ。この国は。」

降谷「…っ」

「好きにしたらいいんじゃない?どーでもいいし。…ただし、1ついいこと教えてあげる。」

降谷「は?」

「今回の爆弾騒ぎは組織とは全く関係ない。さっき私が連れてきたのは今回の爆弾騒ぎの犯人達。でも親玉は高みの見物してるみたいだから。早く捕まえた方がいいよ。多分、この建物とは別の所で何か騒ぎを起こすつもりだと思うから。」

降谷「なぜお前がそんな事を知っている」

「何でだろうねぇ。ま、昔同じ手口の事件を経験したからかな。爆弾の形態も全く同じだった。それはドイツで起こった事件だったけど、確かその組織の幹部クラスに日本人が2人ほど居たはずだから。ありえるな、と思って。」

降谷「さほど珍しい爆弾には見えなかったがな。」

「見た目はね。でも使っている部品はその時の事件で使われた物と全く一緒だったから。爆発する順番、爆弾を仕掛けた手口、あまりににすぎていたから一応報告しておくよ。必要なら当時の事件のデータも私のパソコンに入ってるから渡してもいい。」

降谷「ならそのデータを見せてもらってからお前を信用するか決める。すぐに自宅に戻るぞ。」

「はいはい。」

そう言って降谷は彼女を連れて愛車に乗り、自宅へと向かった。

「えーと、確か…」

彼女はパソコンで保存データを降谷に見せながら当時の事件の記事をネットで検索して見せた。

「この事件。で、これがその時の資料。」

降谷「どうやってこのデータを手に入れた。」

「ハッキング?って言うの?データの大元はそれで手に入れたけど追記の部分からは私が実際に爆弾を解体した時のことをそのまま書いてる。」

降谷「ホォ。その時も解体を?なぜ」

「その建物、黒いふわふわがいたから。」

降谷「は?」

「黒いふわふわの…あ、ハロみたいなのが居て。何度その子を連れて行こうとしても動かないから爆弾を処理した方が早いかと思って。」

降谷「それだけの理由で?」

「ダメなの?」

降谷「ダメとかそう言う事じゃない。」

「きっと、そのふわふわにとって大事な建物だったから守った。それだけのことでしょ。私は安室が何を怒って何を疑ってるのか全くわからない。」

降谷「俺にしてはあなたがどういうつもりで僕のもとに居るのかわからないがな。利益もメリットもないことをする人間と思えないと言っている。」

「利益、メリット。皆結局はそうなんだね。私に利用価値があるかないか。日本のお堅い職についてる安室ならそんなこと考えないと思ってついて来てもいいと思ってたけど。…結局私は利用価値があるかないかだけのモノに過ぎないってことだね。」

降谷「そんなこと言ってないだろ!」

「別に。いいよ、わかってる。それでもいいよ。どちらにせよ、"今は"私は安室の元にいる。安室の手足になるつもりだよ。あ、風見ほど忠実じゃないけどそれは許してよ。」

降谷「何を考えているんだ…」

「何も。ただその時間をどう潰すか。それだけのこと。ね、ハロ。」

そう言ってハロを撫でるとハロは首を傾げた。

「時間はあまりないと思うよ。今見せた組織の資料。間違ってないはずだから。私だけの意見じゃなくて安室が考えてこの組織が起こしてる事件だと思うのなら、すぐに動かなきゃ手遅れだよ。どうするの。優秀な部下たちに指示を出して、そして今は私を信じる信じないより私をどう利用するかを考えるのが先だよ。」
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