ネット喫茶.com

オリジナル小説や二次創作、エッセイ等、自由に投稿できるサイトです。

メニュー

バカとテストと転校生

原作: その他 (原作:バカとテストと召喚獣) 作者: のんの
目次

第一問①

「ここが、今日から君が過ごす教室です」


「…………」



 物の怪とのコミュニケーション後、おそらく担任であろう冴えない風体のオジサンに案内され、二年F組
と書かれたプレートのある教室の前までやってきて、同時に言葉を失った……。




 ここ、文月学園は、クラスがAからFまであり、二年生以上の生徒は成績順にクラスが決まっていく。頭
のいい人はAクラス、悪い人はFクラス、といった具合だ。

 そして、教室の設備の良し悪しも同様に、Aクラスから順に悪くなっていく。


 ちなみに、Fクラスに着く前にAクラスの教室を見たけど、その設備は凄まじいものだった。ノートパソ
コンやエアコンが一人一台ずつある上に、冷蔵庫には各種飲料やお菓子をを含めた様々な食料、さらには、
格調高い絵画や観葉植物がさりげなく置かれていて、まるで高級ホテルのロビーの様だった。


 それに比べてFクラスはというと……。



「これは……酷い……」



 ドアの隙間から見えるFクラスには机がない。あるのは畳と卓袱台と座布団。なんて斬新な設備だろう。

 Aクラスの設備もそうだけど、Fクラスの設備も圧倒的だ。



「では、少しの間ここで待っていてください」



 あまりの酷さに現実逃避をしていると、オジサンが教室の中に入っていった。



「えー、おはようございます。二年F組担任の福原慎です。よろしくお願いします」



 覇気のない声でそう告げると、薄汚れた黒板に名前を書こうとして、やめた。どうやら、チョークさえ用
意されてないらしい。



「さて、ここで皆さんに転校生の紹介をしたいと思います。竜崎君、入ってきてください」


「あ、はい」



 福原先生に呼ばれて、教室に入る。途端に教室内がざわつきだした。



「えーと……」



 教卓の前に立ち、クラス内を見渡す。かび臭い空気、吹き込む風、むさくるしいクラスメイト達――



「最悪だ……」


「? どうしました? 何か問題でも?」


「あ、いえ、何でもないです」



 問題は数え切れないほどあるけど、今それを言っても仕方がない。改めて皆の方を向き自己紹介をする。



「はじめまして。転入してきた竜崎智也です。これからよろしくお願いします」



 できる限りの笑顔で簡単な自己紹介をする。なんの面白みもないオーソドックスな自己紹介だけど、あん
まり長ったらしくするよりはいいだろう。シンプルイズベストというやつだ。



『『『…………』』』



 ……でも何でだろう? みんなの視線が怖い。教室に入って二分でいじめ!?



「しつも~ん、生きている内に彼女できたことありますか?」



 そんな中、クラスメイトの一人が手を上げる。転校生に質問をするのはよくあることだとは思うけど、最
初の質問が人生の中での彼女の有無についてってどうだろう?



「えーと……」



 さて、こんな意味のわからない質問だけど、この質問で今後の学園生活が決まるといっても過言ではなさ
そうだ。なんて答えようか……。



 →俺は女です
 →人間には興味ありません
 →女には興味ありません



 どうしよう。まともな選択肢が見当たらない。

 仕方がない、ここは無難に答えよう。俺だってまだ死にたくない。



「……ありません」


『『『ウェルカム』』』



 ……すごい歓迎された。さっきまで睨まれていたのが嘘みたいに温かい眼差しを向けられる。



「あの、遅れて、すいま、せん……」



 クラスメイトの態度が急変したのに戸惑っていると、不意に教室のドアが開き、息を切らせて胸に手を当
てている女子生徒が現れた。
目次

※会員登録するとコメントが書き込める様になります。