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バカとテストと転校生

原作: その他 (原作:バカとテストと召喚獣) 作者: のんの
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第八問②

「俺がこのやり方を採った理由は一つ。ある問題が出れば、アイツは確実に間違えると知っているからだ」



 ある問題? なんだろう。



「その問題は── 『大化の改新』」


「大化の改新? 誰が何をしたのか説明しろ、とか? そんなの小学生レベルの問題で出てくるのか?」



 お受験校とかなら出てくるかもしれないけど、そんな問題が用意されるとは思えないし。



「いや、そんな掘り下げた問題じゃない。もっと単純な問いだ」


「単純というと――何年に起きた、とかかのう?」


「おっ。ビンゴだ秀吉。お前の言う通り、その年号を問う問題が出たら、俺達の勝ちだ」



 そんな単純な問題、Aクラス代表が間違うわけない気がするけど。



「大化の改新が起きたのは、645年。こんな簡単な問題は明久ですら間違えない」



 なぜか明久が顔を背けているのは、この際無視しておこう。



「だが、翔子は間違える。これは確実だ。そうしたら俺達の勝ち。晴れてこの教室とおさらばって寸法だ」



 それにしても、さっきから気になってたけど――



「あの、坂本君」


「ん? なんだ姫路」


「霧島さんとは、その……仲が良いんですか?」



 そう。雄二はAクラス代表を 『アイツ』 とか 『翔子』 とか呼んでいた。顔見知りでなければ、そ
んな呼び方はしない。



「ああ。アイツとは幼なじみだ」


「総員、狙えぇっ!」


「なっ!? なぜ明久の号令で皆が急に上履きを構える!?」


「黙れ、男の敵! Aクラスの前にキサマを殺す!」


「俺が一体何をしたと!?」



 まったく、醜い男達だ。幼なじみがいるくらいでこんなに怒るなんて。



「…………これ」


「ん?」



 なんてことを考えながら、この状況を静観していた俺の傍に、いつの間にか近づいていたムッツリーニ。

 懐から一枚の写真を取り出すと、俺に手渡してくる。



「……へえ。可愛い娘だな。誰、この娘?」


「…………霧島翔子」


「霧島翔子? そいつってたしか……」


「…………雄二の幼なじみ」


「殺せえぇっ!! 雄二を殺せぇぇぇーーーっ!」


「何故転校生まで上履きを構える!?」



 男子生徒の意見は言葉がなくても満場一致。クラスの団結って素晴しい。



「遺言はそれだけか? ……待つんだ須川。靴下はまだ早い。それは押さえつけた後で口に押し込むものだ」


「了解です、竜崎隊長」



 我らが仇敵め。男子生徒四十八人分の靴下をとくと味わえ!



「あの、吉井君」


「ん? なに、姫路さん」


「吉井君は霧島さんが好みなんですか?」


「そりゃ、まぁ。美人だし」


「…………」


「え? なんで姫路さんは僕に向かって攻撃態勢を取るの!? それと美波、どうして君は教卓なんて危険な
ものを投げつけようとしているの!?」


「畜生! 俺の本当の敵は雄二じゃなかったのか!」


「待って智也! なんで標的を僕に変えるの?」


「まぁまぁ。落ち着くんじゃ皆の衆」



 パンパンと手を叩いて場を取り持つ木下。流石に冷静だ。



「む。秀吉は雄二が憎くないの?」


「冷静になって考えてみるが良い。相手はあの霧島翔子じゃぞ? 男である雄二に興味があるとは思えんじ
ゃろうが」


「……どういう意味だ?」



 Aクラス代表は実は男だとか?



「むしろ興味があるとすれば……」


「……そうだね」



 明久達の視線が姫路さんに集中する。え? そういうこと? 百合っ娘?



「な、なんですか? もしかして私、何かしましたか?」



 慌てる姫路さん。君は何もしてないよ。何もしてないけど、何かされる可能性は大だ。



「とにかく、俺と翔子は幼なじみで、小さな頃に間違えて嘘を教えていたんだ」



 まあそれなら許せるか。



「アイツは一度教えたことは忘れない。だから今、学年トップの座にいる」



 たが、今回はそれが仇になる。



「俺はそれを利用してアイツに勝つ。そうしたら俺達の机は───」


『『『 システムデスクだ! 』』』

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