第六問⑥
「ぎゃぁぁぁー……!」
「たすけてぇー……!」
補習講師に連行される戦死した二人。
まあ、結果的には島田さんを助けることができたから良しとしよう。
さて、残りは――
「皆、気をつけろ! 変装を解いて襲い掛かってくるぞ!」
この阿呆だけだ。
「よ、吉井、酷い……。ウチ、本当に心配したのに……」
「まだ白々しい演技を続けるか! この大根役者め!」
島田さん、本当に心配してんだろうな。それなのに好きな相手に偽者呼ばわりされるなんて。可哀想に。
「本当だよ! 本当に心配したんだから!」
「……その辺にしておけ、明久。死ぬぞ?」
「大丈夫だよ。いくらBクラスでも、この人数で取り囲めば勝てるから」
「本当に、『吉井が瑞希のパンツ見て鼻血が止まらなくなった』 って聞いて心配したんだから!」
「包囲中止! コレ本物の島田さんだ!」
どういう判断をしたんだ、お前は。
「島田さん、大丈夫だった?」
「…………」
床に座り込んでいた彼女は、差し出された明久の手に掴まり、立ち上がる。
「無事で良かったよ。心配したんだからね」
「…………」
「教室に戻って休憩するといいよ。疲れてるでしょう?」
「…………」
「それにしても、卑怯な連中だね。人として恥ずかしくないのかな?」
「…………」
島田さんのリアクションがない。
一応、とばっちりを受けないようにいつでもこの場を離れられるよう体勢を整える。
「あー、島田さん。実はね」
「……なによ」
やっと返ってくるリアクション。
そんな彼女に、明久は最高の笑顔を作り、こう言った。
「僕、本物の島田さんだって最初から気付いていたんだよ?」
クラスメイトの命が、儚く散るところだった。
「野郎共! Bクラスの連中は皆殺しにしろ!」
『おおーっ!』
部隊長である明久が不慮の事故で指揮を取れなくなってしまった為、俺がその後を引き継いで、部隊を操
る。
雄二の作戦だと、今日中に教室前まで攻め込むのが目標だ。四時からは協定通り休戦となるはずなので、
あまり時間はない。
それでも、モチベーションの差からか、戦況は悪くはない。このままいけば、なんとか目標を達成できそ
うだ。被害も多くなるだろうが。
「先生、Bクラス福永愛が行きます! 試獣召喚!」
戦場を見渡していると、横から敵が。
「相手してやる。試獣召喚!」
そろそろ見慣れてきた幾何学的な魔法陣。
その魔法陣から現れた召喚獣は、漆黒の鎧に身を包まれて、手にハルバードを持っている点以外、顔つき
も俺そっくり。ただし、身長は80センチ程度だ。その姿を一言で表現するなら、『デフォルメされた竜崎智也』 ってところか。
世界史
Bクラス福永愛
155点
VS
Fクラス竜崎智也
312点
「な、なんでFクラスのくせにそんな点数を……っ!」
「さあな。補習室ででもじっくり考えろ」
ハルバードを構え、敵の召喚獣に肉薄する。相手も剣を構えて抵抗しようとするが、少し遅い。一気に間
合いを詰め、敵召喚獣を薙ぐ。
「いやぁぁぁー……!」
召喚獣に止めを刺されたことで、近くにいた補習講師によって連行される。
「……ふう」
これで四人目。雄二から課せられたノルマは五人だから、後一人戦死させれば、俺は生き延びることがで
きるわけだ。
早く、殺らないと……。
「たすけてぇー……!」
補習講師に連行される戦死した二人。
まあ、結果的には島田さんを助けることができたから良しとしよう。
さて、残りは――
「皆、気をつけろ! 変装を解いて襲い掛かってくるぞ!」
この阿呆だけだ。
「よ、吉井、酷い……。ウチ、本当に心配したのに……」
「まだ白々しい演技を続けるか! この大根役者め!」
島田さん、本当に心配してんだろうな。それなのに好きな相手に偽者呼ばわりされるなんて。可哀想に。
「本当だよ! 本当に心配したんだから!」
「……その辺にしておけ、明久。死ぬぞ?」
「大丈夫だよ。いくらBクラスでも、この人数で取り囲めば勝てるから」
「本当に、『吉井が瑞希のパンツ見て鼻血が止まらなくなった』 って聞いて心配したんだから!」
「包囲中止! コレ本物の島田さんだ!」
どういう判断をしたんだ、お前は。
「島田さん、大丈夫だった?」
「…………」
床に座り込んでいた彼女は、差し出された明久の手に掴まり、立ち上がる。
「無事で良かったよ。心配したんだからね」
「…………」
「教室に戻って休憩するといいよ。疲れてるでしょう?」
「…………」
「それにしても、卑怯な連中だね。人として恥ずかしくないのかな?」
「…………」
島田さんのリアクションがない。
一応、とばっちりを受けないようにいつでもこの場を離れられるよう体勢を整える。
「あー、島田さん。実はね」
「……なによ」
やっと返ってくるリアクション。
そんな彼女に、明久は最高の笑顔を作り、こう言った。
「僕、本物の島田さんだって最初から気付いていたんだよ?」
クラスメイトの命が、儚く散るところだった。
「野郎共! Bクラスの連中は皆殺しにしろ!」
『おおーっ!』
部隊長である明久が不慮の事故で指揮を取れなくなってしまった為、俺がその後を引き継いで、部隊を操
る。
雄二の作戦だと、今日中に教室前まで攻め込むのが目標だ。四時からは協定通り休戦となるはずなので、
あまり時間はない。
それでも、モチベーションの差からか、戦況は悪くはない。このままいけば、なんとか目標を達成できそ
うだ。被害も多くなるだろうが。
「先生、Bクラス福永愛が行きます! 試獣召喚!」
戦場を見渡していると、横から敵が。
「相手してやる。試獣召喚!」
そろそろ見慣れてきた幾何学的な魔法陣。
その魔法陣から現れた召喚獣は、漆黒の鎧に身を包まれて、手にハルバードを持っている点以外、顔つき
も俺そっくり。ただし、身長は80センチ程度だ。その姿を一言で表現するなら、『デフォルメされた竜崎智也』 ってところか。
世界史
Bクラス福永愛
155点
VS
Fクラス竜崎智也
312点
「な、なんでFクラスのくせにそんな点数を……っ!」
「さあな。補習室ででもじっくり考えろ」
ハルバードを構え、敵の召喚獣に肉薄する。相手も剣を構えて抵抗しようとするが、少し遅い。一気に間
合いを詰め、敵召喚獣を薙ぐ。
「いやぁぁぁー……!」
召喚獣に止めを刺されたことで、近くにいた補習講師によって連行される。
「……ふう」
これで四人目。雄二から課せられたノルマは五人だから、後一人戦死させれば、俺は生き延びることがで
きるわけだ。
早く、殺らないと……。
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