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バカとテストと転校生

原作: その他 (原作:バカとテストと召喚獣) 作者: のんの
目次

第六問④

「…………これは」



 雑魚達を片付けて教室まで引き返した俺を迎えたのは、穴だらけになった卓袱台とヘシ折られたシャープ
や消しゴムだった。



「……転校生、今までどこにいた?」



 少し怒ったように訊ねてくる雄二。その横には、明久と木下もいる。

 こいつらは、確か前線部隊に所属していたはずだ。何故ここにいるんだろう?



「敵がいたから、戦ってた」


「……そうか。なら仕方ないな」



 それで納得いったのか、それ以上は何も聞いてこず、髪の毛をくしゃくしゃと掻き回す雄二。



「……何があった?」


「……見ての通りだ。おそらく、Bクラスの仕業だろうな」


「Bクラスの?」


「うむ。Bクラス代表の根本恭二には色々と黒い噂があるのじゃ」


「……なるほど」



 ボロボロになった教室を見渡す。地味だけど、確実に点数に響いてくる嫌がらせ。
 
 こんなことを平気で仕掛けてくる根本って奴は、よほどの外道らしい。



「……っ! そういうことか……」



 さっきの雑魚共の台詞を思い出す。



『本当なら、わざわざお前を誘き寄せずに強行突破したいんだけどな。失敗すると根本がうるさいだろうし
、まあ念には念をってことだ』



 あの時は意味がわからなかったけど、今なら理解できる。あの二人は囮となって俺を教室の近くから引き
離すのが目的だったわけだ。

 そして、俺という邪魔者が消えたところで、教室を襲った……。Bクラスの作戦に、俺はまんまと引っか
かったわけだ。くそっ!



「どうかしたのか? 転校生?」


「……いや、何でもないさ」


「それはそうと、どうして雄二は教室がこんなになっているのに気づかなかったの?」


「協定を結びたいという申し出があってな。調印の為に教室を空にしていた」


「協定じゃと?」


「ああ。四時までに決着がつかなかったら戦況をそのままにして続きは明日午前九時に持ち越し。その間は
試召戦争に関わる一切の行為を禁止する。ってな」


「それ、承諾したの?」


「そうだ」


「でも、体力勝負に持ち込んだ方がウチとしては有利なんじゃないの?」


「姫路さん以外は、な」


「あ、そっか」


「あいつ等を教室に押し込んだら今日の戦闘は終了になるだろう。そうすると、作戦の本番は明日というこ
とになる」


「そうだね。この調子だと本丸は落とせそうにないね」


「その時はクラス全体の戦闘力よりも姫路個人の戦闘力の方が重要になる」



 局地的な戦闘になるということだろうか。それとも、Dクラス戦みたいに姫路さんが止めを刺すとか。



「だから受けたの? 姫路さんが万全の状態で勝負できるように」


「そういうことだ。この協定は俺達にとってかなり都合がいい」



 確かに、この協定はFクラスにとって有利な条件だ。

 でも、だからこそ気になる。

 姫路さんがFクラスにいることは既に知れ渡っている以上、この協定を結ぶメリットはBクラスにはない
ように思える。それなのに、こんな協定を結ぶだろうか?



「明久。とりあえずワシらは前線に戻るぞい。向こうでも何かされているかもしれん」



 そう言うと、木下は教室駆け足で出て行った。


「ん。雄二、あとよろしく」


「おう、シャープや消しゴムの手配をしておこう」



 明久もその後を追って、駆け出して行った。


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