第六問①
「…………うっ……ここは?」
「あっ、智也。起きた?」
辺りを見渡すと、そこは先程まで昼食を食べていた屋上だった。
「……明久? ……あれ、なんで俺寝てたんだ?」
「……気絶してたんだよ」
明久が小声で答える。
ああ、確か姫路さん手作りのデザート (?) を食べて……そうか、生きて帰ってこれたのか。
そういえば、と同じ様にアレを食べた木下を見る。
「…………むぅ」
木下は今起きたようだ。顔色が悪いが、大丈夫だろうか?
「秀吉、智也、はい、お茶だよ」
明久が手渡してくれたお茶を勢いよくすする。お茶には殺菌作用が含まれているらしいから。まぁ気休め
程度にはなるだろう。
「……そういえば」
鞄を探り、一つのバスケットを取り出す。
「なんだそれ?」
「ん? ああ、サンドイッチ」
雄二が興味津々に覗き込んできたので、フタを開ける。そこには、今朝作った色とりどりのサンドイッチ。
「へぇ……それ竜崎が作ったの?」
島田さんが訊ねてくる。そういえば、彼女は姫路さんの兵器を食べることがなかったから、まだ何も口にしてないはず。
「ああ。食べるか? 口に合うかは分からないけど」
「本当? いいの?」
「ああ。昼食抜きで午後のテストは辛いだろ?」
「ありがと、頂くわね」
島田さんはサンドイッチの一つをひょいとつまんで自分の口に運ぶ。
「うん。美味しいわよ竜崎」
「そっか。それはよかった」
それを聞いて、食えるものだと判断したのか、雄二が横から手を伸ばし、たまごを挟んだサンドイッチを
一つ盗んでいく。
「あっ、てめ、勝手に取るんじゃねえよ」
「堅いこと言うなよ」
大きな口にサンドイッチを放り込むと、もぐもぐと口を動かす。
「おお。確かに美味いな」
「そっか。なら二百円だ」
「金取るのかよっ!?」
冗談だ、と言って姫路さんの方を見る。彼女も、まだ何も口にしてないはずだ。
「はい、姫路さん。よかったら食べてくれ」
「え……? でも、それは竜崎君のじゃ?」
「俺は姫路さんの弁当をもらったからな。これはそのお礼ってことで」
「えと……それじゃあ、お言葉に甘えて」
遠慮がちに手を伸ばし、サンドイッチの中の一つをつまんで、口へと運んでいく。
はむっ、と小さな口でサンドイッチを食べ、もぐもぐと口を動かす姫路さん。
小動物を連想させるような、そんな仕草がとても可愛い。
「お、美味しいです」
「ホント? ありがとう」
笑顔でそう言ってくれる姫路さん。
やっぱり可愛い。
「そういえば坂本、次の目標だけど」
「ん? 試召戦争のか?」
「うん」
食事を終えたところで、皆でお茶をすする。
俺が持参したサンドイッチは、瞬く間に皆の胃袋の中へと消えてしまった。作ってきた方としては嬉しい限りだ。
「相手はBクラスなの?」
「ああ。そうだ」
「どうしてBクラスなの? 目標はAクラスなんでしょう?」
俺達の目標はあくまでもAクラス。それなのに、通過点に過ぎないBクラスを相手にする理由がわからな
いのだろう。正直俺もよくわからない。
「正直に言おう」
雄二が急に神妙な面持ちになる。
「どんな作戦でも、うちの戦力じゃAクラスには勝てやしない」
戦う前から降伏宣言。とはいえ、無理もない。
Fクラスの馬鹿どもでは、どう頑張ってもAクラスのには勝てないだろう。いくら姫路さんがいたとして
も、だ。
「それじゃ。ウチらの目的はBクラスに変更ってこと?」
Aクラスほどではないけど、Bクラスの設備だって立派過ぎるほどに立派だ。皆には何の不満もないだろ
う。
「いいや、そんなことはない。Aクラスをやる」
「雄二、さっきといってることが違うじゃないか」
島田さんの台詞を引き継ぐように明久が間に入る。
「クラス単位では勝てないと思う。だから一騎打ちに持ち込むつもりだ」
「一騎打ちに? どうやって?」
「Bクラスを使う」
使う? Bクラスを? どうやってだろう?
「試召戦争で下位クラスが負けた場合の設備はどうなるか知っているよな?」
「え? も、もちろん!」
「と、当然!」
知らない。
「あっ、智也。起きた?」
辺りを見渡すと、そこは先程まで昼食を食べていた屋上だった。
「……明久? ……あれ、なんで俺寝てたんだ?」
「……気絶してたんだよ」
明久が小声で答える。
ああ、確か姫路さん手作りのデザート (?) を食べて……そうか、生きて帰ってこれたのか。
そういえば、と同じ様にアレを食べた木下を見る。
「…………むぅ」
木下は今起きたようだ。顔色が悪いが、大丈夫だろうか?
「秀吉、智也、はい、お茶だよ」
明久が手渡してくれたお茶を勢いよくすする。お茶には殺菌作用が含まれているらしいから。まぁ気休め
程度にはなるだろう。
「……そういえば」
鞄を探り、一つのバスケットを取り出す。
「なんだそれ?」
「ん? ああ、サンドイッチ」
雄二が興味津々に覗き込んできたので、フタを開ける。そこには、今朝作った色とりどりのサンドイッチ。
「へぇ……それ竜崎が作ったの?」
島田さんが訊ねてくる。そういえば、彼女は姫路さんの兵器を食べることがなかったから、まだ何も口にしてないはず。
「ああ。食べるか? 口に合うかは分からないけど」
「本当? いいの?」
「ああ。昼食抜きで午後のテストは辛いだろ?」
「ありがと、頂くわね」
島田さんはサンドイッチの一つをひょいとつまんで自分の口に運ぶ。
「うん。美味しいわよ竜崎」
「そっか。それはよかった」
それを聞いて、食えるものだと判断したのか、雄二が横から手を伸ばし、たまごを挟んだサンドイッチを
一つ盗んでいく。
「あっ、てめ、勝手に取るんじゃねえよ」
「堅いこと言うなよ」
大きな口にサンドイッチを放り込むと、もぐもぐと口を動かす。
「おお。確かに美味いな」
「そっか。なら二百円だ」
「金取るのかよっ!?」
冗談だ、と言って姫路さんの方を見る。彼女も、まだ何も口にしてないはずだ。
「はい、姫路さん。よかったら食べてくれ」
「え……? でも、それは竜崎君のじゃ?」
「俺は姫路さんの弁当をもらったからな。これはそのお礼ってことで」
「えと……それじゃあ、お言葉に甘えて」
遠慮がちに手を伸ばし、サンドイッチの中の一つをつまんで、口へと運んでいく。
はむっ、と小さな口でサンドイッチを食べ、もぐもぐと口を動かす姫路さん。
小動物を連想させるような、そんな仕草がとても可愛い。
「お、美味しいです」
「ホント? ありがとう」
笑顔でそう言ってくれる姫路さん。
やっぱり可愛い。
「そういえば坂本、次の目標だけど」
「ん? 試召戦争のか?」
「うん」
食事を終えたところで、皆でお茶をすする。
俺が持参したサンドイッチは、瞬く間に皆の胃袋の中へと消えてしまった。作ってきた方としては嬉しい限りだ。
「相手はBクラスなの?」
「ああ。そうだ」
「どうしてBクラスなの? 目標はAクラスなんでしょう?」
俺達の目標はあくまでもAクラス。それなのに、通過点に過ぎないBクラスを相手にする理由がわからな
いのだろう。正直俺もよくわからない。
「正直に言おう」
雄二が急に神妙な面持ちになる。
「どんな作戦でも、うちの戦力じゃAクラスには勝てやしない」
戦う前から降伏宣言。とはいえ、無理もない。
Fクラスの馬鹿どもでは、どう頑張ってもAクラスのには勝てないだろう。いくら姫路さんがいたとして
も、だ。
「それじゃ。ウチらの目的はBクラスに変更ってこと?」
Aクラスほどではないけど、Bクラスの設備だって立派過ぎるほどに立派だ。皆には何の不満もないだろ
う。
「いいや、そんなことはない。Aクラスをやる」
「雄二、さっきといってることが違うじゃないか」
島田さんの台詞を引き継ぐように明久が間に入る。
「クラス単位では勝てないと思う。だから一騎打ちに持ち込むつもりだ」
「一騎打ちに? どうやって?」
「Bクラスを使う」
使う? Bクラスを? どうやってだろう?
「試召戦争で下位クラスが負けた場合の設備はどうなるか知っているよな?」
「え? も、もちろん!」
「と、当然!」
知らない。
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