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バカとテストと転校生

原作: その他 (原作:バカとテストと召喚獣) 作者: のんの
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第五問②

「どうぞ」


「失礼します」



 学園長室の立派なドアをノックする。しばらくして返ってきた学園長の声を確認してから、扉を開ける。

 いくら醜い老婆相手だろうと、一応は年上だ。それ相応の態度で臨まなければいけないからな。



「おや、竜崎かい」



 相も変わらず物の怪の様な学園長。これが美人教師、とかだったら俺のテンションは最高潮になるのだが
……まあ、今はそんなことどうでもいい。



「何の御用でしょうか」


「いや、なに。そういえば、お前さんの召喚獣について、説明していなかったと思ってね」



 Fクラスは近々戦争だろう? と続ける学園長。

 確かに、明日あたりBクラス戦があるだろう。昨日は俺が出るまでもなかったが、それは相手がDクラス
だったからだ。次の相手がBクラスである以上、俺も戦わなければいけないだろう。

 だからこその学園長の配慮だろうが、召喚獣の動かし方や、点数と召喚獣の関係性等についての説明は、
前に受けたことがあるはず。今更必要はない。



「説明ってのは、そんな基本的なことじゃない」



 俺の心を読んだかのように、そんなことを言う学園長。やっぱり物の怪とか仙人とか、そういった類の生
き物なんじゃないだろうか。

 その思考はどうやら読まれることはなかったようで、学園長はそのまま続ける。



「お前さんの召喚獣の、特殊能力についてさね」


「……特殊能力、ですか?」


「ああ」



 ニヤリ、と不気味に笑う学園長。その姿に、若干吐き気を覚えたのは内緒だ。


「……やっと終わったぁーー!」



 机に突っ伏す。

 学園長のいらん計らいで、特例として一時間目の数学の試験を、途中から受けることになってしまった。

 今朝の雄二との会話のこともあり、そのせいで、結局サボることもできずに午前中はテスト漬けだった。
あのババア、覚えてろよ……。



「うあー……づがれたー」



 明久も同じようで、破棄のない声を上げながら机とキスしている。



「うむ。疲れたのう」



 いつの間にか俺と明久の机の近く来ていた木下が答える。

 顔を上げると、そこには髪をポニーテールにしている木下の姿が。



「…………」


「? 智也、どうしたのじゃ?」


「……ふぇ? い、いや、なんでもないぞ? うん」



 不覚にも、見惚れてしまった。

 これはあれか? 今後の伏線か? 俺と木下は閉鎖空間にでも迷い込んでキスするのか!? 『俺、実はポ
ニーテール萌えなんだ』 って性癖をカミングアウトするのか!?



「どうしたのじゃ? 顔が赤いぞ?」



 心配そうに俺の顔を覗き込んでくる木下。

 ちくしょぉぉー! 木下とならそれもアリかな、って思っちまうじゃないか!



「…………智也の気持ちは、よく分かる」



 気配を感じさせずにいつの間にやら近づいていたムッツリーニが、俺の肩に手を置いて、うんうんと頷い
ていた。

 いや、違う。俺はノーマルだ。



「よし、昼飯食いに行くぞ! 今日はラーメンとカツ丼と炒飯とカレーにすっかな」



 勢いよく立ち上がる雄二。コイツからは全然疲れを感じられないが、どういう身体の構造をしているんだ
か。昼食のメニューも含めて。



「ん? 吉井達は食堂に行くの? だったら一緒していい?」


「ああ、島田か。別に構わないぞ」


「それじゃ、混ぜてもらうね」


「………… (コクコク)」



 ムッツリーニがうなずいているのは下心のせいだろう。やはり、やつとは一度エロを肴に語り合いたいも
のだ……うん。




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