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バカとテストと転校生

原作: その他 (原作:バカとテストと召喚獣) 作者: のんの
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第五問①

 翌日。欠伸を噛み殺しながら、学校へと向かう。

 今日は試召戦争で消費した点数を補充する為にテスト漬けのはず。だけど、俺は昨日点数を一点たりとも
消費してないので、別にテストを受ける必要はない。どこかでサボるとしよう。



「うぃーす」



 教室の戸をガラガラと開ける。

 相変わらずの畳と卓袱台。これらを見ると、Dクラスの設備でもよかったんじゃないかと思ってしまう。



「吉井っ!」


「ごぶぁっ!」



 自分の席へ向かう為、方向転換する。と、目の前で惨劇。

 そこには、何故か島田さんに殴られた明久の姿が。



「……何があったんだ?」



 近くで胡坐ををかいていた雄二に訊ねる。雄二は何も答えず、顎で二人をさす。見てればわかる、という
ことだろうか?



「アンタ、昨日はウチを見捨てただけじゃ飽き足らず、消火器のいたずらと窓を割った件の犯人に仕立てあ
げたわね……!」



 ……ああ、なるほど。昨日のあれは島田さんのせいではなく、明久の仕業だったのか。



「……ところで、だ、転校生」


「おう?」



 納得したところで、雄二が声をかけてくる。


「お前、補充テスト受けないつもりだろ」


「……なんでわかった?」


「なに、お前の性格は大体わかったからな」


「……それはあれですか? 俺のことならなんでもお見通しだと、そういうストーカー宣言ですか?」


「違うわっ!」



 冗談だったのに、雄二は、聞かれてないよな、と呟きながら周囲を気にしていた。

 誰にも聞かれてないと判断したのか、雄二は安堵の胸を撫で下ろす。



「……とにかく、テストは受けろ」


「? 何で? 俺、点数は消費してないぞ」


「お前の点数を把握しておくためだ。他の連中の点数はある程度分かっているが、お前の点数、つまりは戦
闘力だが、俺もまだ知らないからな。編入試験の結果は、教師に尋ねても教えてくれない以上、お前には今
日の補充試験を受けてもらう」


「なんで俺の点数を知りたいんだよ? まさか――」


「代表として、戦力を把握しておく為だ!」



 俺が言い終える前に、雄二が大声でそれを遮る。

 仕方ない、ここまで言うなら受けるか。面倒だけど。



「……わかったよ。補充テスト、受ければ――」



「あー竜崎君。学園長がお呼びですので、学園長室へ向かってください」



 いつの間にか教室にいた福原先生が、昨日同様覇気のない声でそう告げる。学園長が俺に何の用だろう。
できれば、あんな物の怪の顔は二度と見たくなかったんだけど。



「はぁ……」



 断るわけにもいかないので、雄二に、すまん、と一言告げてから、先に教室を出ていった福原先生の後を
追うように、俺も教室を後にした。
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