第三問②
「……明久……あいつ」
まさか教師狙いだったとは……。船越先生ってそんなに美人な……思い出したっ!
船越教諭……確か編入手続きやら何やらで文月学園に来たときにメールアドレスと電話番号が書いてある
紙を渡してきたあの先生だ。
個人的見解は、とても美人には見えなかったし、確か四十超えぐらいの年齢のように見受けたけど、明久
は熟女が好きなのか?
「よ、吉井君……そんな」
俺が明久の衝撃的事実に若干吐き気を催してると、隣から、悲しそうな姫路さんの声。俺と同じく、友人
の知りたくはなかった部分を知って気持ち悪くなったのだろうか?
「大丈夫? 気分が悪いなら保健室行く?」
「い、いえ……その、大丈夫です」
そうは言っても、姫路さんは大丈夫そうには見えなかった。気のせいかもしれないけど、泣いているよう
にも見えるし。
「どうした? 明久の性癖を受け入れられなかったか?」
「えと……そういうわけではないんです」
依然としてどこか悲しそうな姫路さんの横顔。よし、ここはウイットに富んだジョークで姫路さんを笑わ
せよう。
「じゃあ……もしかして、姫路さんは明久が好きで、その大好きな明久に好きな人がいるから泣いているの
かな?」
どうだ! 俺の持てる力全てをつぎ込んだジョーク。きっと姫路さんは 「そんなことあるわけないですよ~」 と言いながら笑ってい――
「…………はう」
――てほしかった。
「……え……っと」
顔を明らかに赤く染めている姫路さん。この反応、もしかして姫路さんは本当に……。
「本当に……明久のことが?」
「ふぇ!? しょ、しょんにゃこちょ、にゃいでしゅよ?」
顔を真っ赤に赤らめて噛みまくる姫路さん。その口から放たれた台詞は、もはや原型をとどめていない。
「…………Oh」
……ここまでわかりやすいと、逆に怪しいが、いまだに隣で顔を林檎色――いや、ここまで赤いと鮮血色
とでも言うべきか――に染めている姫路さんは嘘をついているようには見えない。
急いで周りを見渡しても、雄二や明久はおろか誰一人いない。残念なことに、ドッキリや誰かの悪戯とい
うわけではなさそうだ。ちくしょうっ!
だけどなんだろう、この急展開。たしかに、屋上での作戦会議の時、姫路さんが明久のことを何度かじっ
と見つめてたり、明久にお弁当を作るって言い出したりしてたから嫌な予感がしてたけど……ねえ?
「…………」
「り、竜崎君!? どうして泣いてるんですか!?」
「…………気に……しないでっ!」
俺の恋が終わっただけだから……。
「……まさか……姫路さんが明久のこと好きなんて……っ!」
「ふぇ……ち、ちがい……ま……せん」
「死のう。そういえば、文月学園には焼却炉があったよな……。逝ってくる」
灰になろう。
そうしよう。
「だ、だめですよ。死んじゃだめです!」
「姫路さん……分かったよ」
急いで涙を拭い、姫路さんを安心させるように笑顔で微笑む。よし、明久を殺そう。
「……あの、竜崎君? そんなにいっぱいペンを持って、一体どうするんですか?」
「ん? いや、ちょっと明久を殺し……コホン、懲らしめに。いや、やっぱり殺しに」
「だ、だめです! 吉井君を殺しちゃだめです!」
「…………く、くそぉぉぉぉぉ!!」
そんな風に涙目で頼まれたら、従うしかないじゃないかっ!
まさか教師狙いだったとは……。船越先生ってそんなに美人な……思い出したっ!
船越教諭……確か編入手続きやら何やらで文月学園に来たときにメールアドレスと電話番号が書いてある
紙を渡してきたあの先生だ。
個人的見解は、とても美人には見えなかったし、確か四十超えぐらいの年齢のように見受けたけど、明久
は熟女が好きなのか?
「よ、吉井君……そんな」
俺が明久の衝撃的事実に若干吐き気を催してると、隣から、悲しそうな姫路さんの声。俺と同じく、友人
の知りたくはなかった部分を知って気持ち悪くなったのだろうか?
「大丈夫? 気分が悪いなら保健室行く?」
「い、いえ……その、大丈夫です」
そうは言っても、姫路さんは大丈夫そうには見えなかった。気のせいかもしれないけど、泣いているよう
にも見えるし。
「どうした? 明久の性癖を受け入れられなかったか?」
「えと……そういうわけではないんです」
依然としてどこか悲しそうな姫路さんの横顔。よし、ここはウイットに富んだジョークで姫路さんを笑わ
せよう。
「じゃあ……もしかして、姫路さんは明久が好きで、その大好きな明久に好きな人がいるから泣いているの
かな?」
どうだ! 俺の持てる力全てをつぎ込んだジョーク。きっと姫路さんは 「そんなことあるわけないですよ~」 と言いながら笑ってい――
「…………はう」
――てほしかった。
「……え……っと」
顔を明らかに赤く染めている姫路さん。この反応、もしかして姫路さんは本当に……。
「本当に……明久のことが?」
「ふぇ!? しょ、しょんにゃこちょ、にゃいでしゅよ?」
顔を真っ赤に赤らめて噛みまくる姫路さん。その口から放たれた台詞は、もはや原型をとどめていない。
「…………Oh」
……ここまでわかりやすいと、逆に怪しいが、いまだに隣で顔を林檎色――いや、ここまで赤いと鮮血色
とでも言うべきか――に染めている姫路さんは嘘をついているようには見えない。
急いで周りを見渡しても、雄二や明久はおろか誰一人いない。残念なことに、ドッキリや誰かの悪戯とい
うわけではなさそうだ。ちくしょうっ!
だけどなんだろう、この急展開。たしかに、屋上での作戦会議の時、姫路さんが明久のことを何度かじっ
と見つめてたり、明久にお弁当を作るって言い出したりしてたから嫌な予感がしてたけど……ねえ?
「…………」
「り、竜崎君!? どうして泣いてるんですか!?」
「…………気に……しないでっ!」
俺の恋が終わっただけだから……。
「……まさか……姫路さんが明久のこと好きなんて……っ!」
「ふぇ……ち、ちがい……ま……せん」
「死のう。そういえば、文月学園には焼却炉があったよな……。逝ってくる」
灰になろう。
そうしよう。
「だ、だめですよ。死んじゃだめです!」
「姫路さん……分かったよ」
急いで涙を拭い、姫路さんを安心させるように笑顔で微笑む。よし、明久を殺そう。
「……あの、竜崎君? そんなにいっぱいペンを持って、一体どうするんですか?」
「ん? いや、ちょっと明久を殺し……コホン、懲らしめに。いや、やっぱり殺しに」
「だ、だめです! 吉井君を殺しちゃだめです!」
「…………く、くそぉぉぉぉぉ!!」
そんな風に涙目で頼まれたら、従うしかないじゃないかっ!
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