第三問②
「君島、島田を連行してくれ」
「了解!」
「須川、お前は前線へ戻れ。ただ、Dクラスが数学の木内を連れ出したみたいだから、明久に気をつけるよ
う伝えてくれ」
「了解!」
雄二の指示に従って、君島と須川がテキパキと動く。統率のとれた動きは、前に見た戦争映画の軍隊を髣
髴とさせるものだった。
「吉井ぃっ! アンタはウチが殺してやるんだからぁー!」
須川に代わり、君島に引きずられていく島田さん。本当に吉井を殺してしまうんじゃないかと思うくらい
の殺気は、何故か俺の体を急激に冷やしていく。冷や汗がとまらない。
「……これで明久ともお別れか」
せっかく友人になれたのに、もうお別れなんて……。
明久……またな……。
「おい転校生。物思いに耽っているところ悪いが、そろそろ頃合いだからな、スタンバイしてくれ」
「……ん? ああ、了解」
明久との別れを惜しんでいると、俺にも雄二の指示が来る。
俺は、めんどくさいなと呟きながらも、屋上で説明された作戦の為、教室を後にした。
「あう~、き、緊張します」
「大丈夫……だと思うぞ?」
二年生の教室の階下、一年生の教室がある二階の廊下を、姫路さんと二人きり歩く。
まだ授業中なのか、廊下には誰もいない。若干緊張しているのは内緒だ。
「でも、できるでしょうか?」
「ん~……まあ姫路さんならやれるさ」
雄二から伝えられた作戦。それは、時機を見計らって姫路さんを無事にDクラス代表の前まで連れて行く
というものだった。
何故わざわざ二階の廊下を歩いているのかというと、それはもちろん、敵方に見つからない為だ。
ちなみに、姫路さんは今までFクラスの横にある階段の前にいたらしい。敵が本陣を奇襲するのを防ぐた
めだとか。
「……ところで、竜崎君」
「おう?」
「吉井君と坂本君が試召戦争をしようと思った理由……知ってますか?」
何故だろうか、真剣な表情で尋ねる姫路さん。
明久達が戦争をしようと思った理由……ねえ。
「……設備を改善しようと思ったから……かな? 悪い、詳しい理由はちょっと分からないな」
「そう……ですか」
露骨にがっかりする姫路さん。やめてくれ! そんな顔をされると、俺が悪い奴みたいじゃないかっ!
ピンポンパンポーン 《連絡致します》
と、軽く死のうかと思っていた時のこと。突然校内放送が流れ出した。そこから聞こえるのは須川の声。
《船越先生、船越先生》
船越先生……どこかで聞いたことのある名だ。
《吉井明久君が体育館裏で待っています》
……明久? 体育館裏?
《生徒と教師の垣根を越えた、男と女の大事な話があるそうです》
「「…………え?」」
隣を歩く姫路さんの驚きの声と俺の驚きの声、綺麗に重なって、無人の廊下に響き渡った。
「了解!」
「須川、お前は前線へ戻れ。ただ、Dクラスが数学の木内を連れ出したみたいだから、明久に気をつけるよ
う伝えてくれ」
「了解!」
雄二の指示に従って、君島と須川がテキパキと動く。統率のとれた動きは、前に見た戦争映画の軍隊を髣
髴とさせるものだった。
「吉井ぃっ! アンタはウチが殺してやるんだからぁー!」
須川に代わり、君島に引きずられていく島田さん。本当に吉井を殺してしまうんじゃないかと思うくらい
の殺気は、何故か俺の体を急激に冷やしていく。冷や汗がとまらない。
「……これで明久ともお別れか」
せっかく友人になれたのに、もうお別れなんて……。
明久……またな……。
「おい転校生。物思いに耽っているところ悪いが、そろそろ頃合いだからな、スタンバイしてくれ」
「……ん? ああ、了解」
明久との別れを惜しんでいると、俺にも雄二の指示が来る。
俺は、めんどくさいなと呟きながらも、屋上で説明された作戦の為、教室を後にした。
「あう~、き、緊張します」
「大丈夫……だと思うぞ?」
二年生の教室の階下、一年生の教室がある二階の廊下を、姫路さんと二人きり歩く。
まだ授業中なのか、廊下には誰もいない。若干緊張しているのは内緒だ。
「でも、できるでしょうか?」
「ん~……まあ姫路さんならやれるさ」
雄二から伝えられた作戦。それは、時機を見計らって姫路さんを無事にDクラス代表の前まで連れて行く
というものだった。
何故わざわざ二階の廊下を歩いているのかというと、それはもちろん、敵方に見つからない為だ。
ちなみに、姫路さんは今までFクラスの横にある階段の前にいたらしい。敵が本陣を奇襲するのを防ぐた
めだとか。
「……ところで、竜崎君」
「おう?」
「吉井君と坂本君が試召戦争をしようと思った理由……知ってますか?」
何故だろうか、真剣な表情で尋ねる姫路さん。
明久達が戦争をしようと思った理由……ねえ。
「……設備を改善しようと思ったから……かな? 悪い、詳しい理由はちょっと分からないな」
「そう……ですか」
露骨にがっかりする姫路さん。やめてくれ! そんな顔をされると、俺が悪い奴みたいじゃないかっ!
ピンポンパンポーン 《連絡致します》
と、軽く死のうかと思っていた時のこと。突然校内放送が流れ出した。そこから聞こえるのは須川の声。
《船越先生、船越先生》
船越先生……どこかで聞いたことのある名だ。
《吉井明久君が体育館裏で待っています》
……明久? 体育館裏?
《生徒と教師の垣根を越えた、男と女の大事な話があるそうです》
「「…………え?」」
隣を歩く姫路さんの驚きの声と俺の驚きの声、綺麗に重なって、無人の廊下に響き渡った。
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