ネット喫茶.com

オリジナル小説や二次創作、エッセイ等、自由に投稿できるサイトです。

メニュー

バカとテストと転校生

原作: その他 (原作:バカとテストと召喚獣) 作者: のんの
目次

第三問②

「君島、島田を連行してくれ」


「了解!」


「須川、お前は前線へ戻れ。ただ、Dクラスが数学の木内を連れ出したみたいだから、明久に気をつけるよ
う伝えてくれ」


「了解!」



 雄二の指示に従って、君島と須川がテキパキと動く。統率のとれた動きは、前に見た戦争映画の軍隊を髣
髴とさせるものだった。



「吉井ぃっ! アンタはウチが殺してやるんだからぁー!」



 須川に代わり、君島に引きずられていく島田さん。本当に吉井を殺してしまうんじゃないかと思うくらい
の殺気は、何故か俺の体を急激に冷やしていく。冷や汗がとまらない。



「……これで明久ともお別れか」



 せっかく友人になれたのに、もうお別れなんて……。
 明久……またな……。



「おい転校生。物思いに耽っているところ悪いが、そろそろ頃合いだからな、スタンバイしてくれ」


「……ん? ああ、了解」



 明久との別れを惜しんでいると、俺にも雄二の指示が来る。

 俺は、めんどくさいなと呟きながらも、屋上で説明された作戦の為、教室を後にした。




「あう~、き、緊張します」


「大丈夫……だと思うぞ?」



 二年生の教室の階下、一年生の教室がある二階の廊下を、姫路さんと二人きり歩く。

 まだ授業中なのか、廊下には誰もいない。若干緊張しているのは内緒だ。



「でも、できるでしょうか?」


「ん~……まあ姫路さんならやれるさ」



 雄二から伝えられた作戦。それは、時機を見計らって姫路さんを無事にDクラス代表の前まで連れて行く
というものだった。

 何故わざわざ二階の廊下を歩いているのかというと、それはもちろん、敵方に見つからない為だ。

 ちなみに、姫路さんは今までFクラスの横にある階段の前にいたらしい。敵が本陣を奇襲するのを防ぐた
めだとか。



「……ところで、竜崎君」


「おう?」


「吉井君と坂本君が試召戦争をしようと思った理由……知ってますか?」



 何故だろうか、真剣な表情で尋ねる姫路さん。

 明久達が戦争をしようと思った理由……ねえ。



「……設備を改善しようと思ったから……かな? 悪い、詳しい理由はちょっと分からないな」


「そう……ですか」



 露骨にがっかりする姫路さん。やめてくれ! そんな顔をされると、俺が悪い奴みたいじゃないかっ!



 ピンポンパンポーン 《連絡致します》



 と、軽く死のうかと思っていた時のこと。突然校内放送が流れ出した。そこから聞こえるのは須川の声。



《船越先生、船越先生》



 船越先生……どこかで聞いたことのある名だ。



《吉井明久君が体育館裏で待っています》



 ……明久? 体育館裏?



《生徒と教師の垣根を越えた、男と女の大事な話があるそうです》



「「…………え?」」



 隣を歩く姫路さんの驚きの声と俺の驚きの声、綺麗に重なって、無人の廊下に響き渡った。

目次

※会員登録するとコメントが書き込める様になります。