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バカとテストと転校生

原作: その他 (原作:バカとテストと召喚獣) 作者: のんの
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第一問④

Aクラスへの宣戦布告。

 それはこのFクラスにとっては現実実の乏しい提案にしか思えなかった。



『勝てるわけがない』


『これ以上設備を落とされるなんて嫌だ』


『姫路さんがいたら何もいらない』


『……っていうか、坂本ってロリコンなのか?』


「ちがうわっ!」



 そんな悲鳴が教室内のいたるところから上
がる

 確かに、AクラスとFクラスの戦力差は明らかだった。


 この文月学園のテストには、点数の上限がない。

 一時間という制限時間内ならば、生徒の能力しだいでどこまでも成績を伸ばすことができる。

 そして、文月学園にはもう一つ変わったシステムがある。それは、科学とオカルトと偶然により完成され
た『試験召喚システム』というものだ。これはテストの点数に応じた強さを持つ 『召喚獣』 を喚び出して
戦うことができるシステムで、教師の立会いの下で行使が可能となる。

 学園長曰く、 「『成績』 を可視化することによって、生徒の勉強へのモチベーションを上げる」こと
を目的としたシステムらしい。

 そして、その中心にあるのが、召喚獣を用いたクラス単位の戦争――試験召喚戦争と呼ばれる戦いだ。



「…………」



 その戦争で重要になるのは、召喚獣の強さとなるテストの点数、つまりは学力となるんだけど……。



「…………はぁ」



 見渡す限り馬鹿、バカ、ばか……。

 この様子だと、Aクラスの生徒一人を倒すのに、Fクラス三人でも勝てるかどうか。いや、相手しだいで
は四、五人がかりでも負けるかもしれない。




「そんなことはない。必ず勝てる。いや、俺が勝たせてみせる」



 そんな圧倒的な戦力差を知りながらも、雄二はそう宣言した。

『何を馬鹿なことを』


『できるわけがないだろう』


『何の根拠があってそんなことを』



 否定的な意見が教室内に響き渡る。



「根拠ならあるさ。このクラスには試験召喚戦争で勝つことのできる要素が揃っている」



 こんな雄二の言葉を受けてクラスの皆が更にざわめく。



「それを今から説明してやる」



 不適な笑みうを浮かべ、壇上から皆を見下ろす雄二。



「おい、康太。畳に顔をつけて姫路のスカートを覗いてないで前に来い」


「…………!! (ブンブン)」


「は、はわっ」



 必死なって顔と手を左右に振り、否定のポーズを取る康太と呼ばれた男子生徒。

 姫路さんがスカートの裾を押さえて遠ざかると、ソイツは顔についた畳の跡を隠しながら壇上へと歩きだ
した。



「土屋康太。こいつがあの有名な、寡黙なる性識者 (ムッツリーニ) だ」



「…………!! (ブンブン)」



 何だろう、その嫌なニックネーム。



『ムッツリーニだと……?』


『馬鹿な、ヤツがそうだというのか?』


『だが見ろ。あそこまで明らかな覗きの証拠を未だに隠そうとしているぞ……』


『ああ。ムッツリの名に恥じない姿だ……』



 オーケー、大方理解した。是非彼とは友人になりたい。



「姫路のことは説明する必要もないだろう。皆だってその力はよく知っているはずだ」


「えっ? わ、私ですかっ?」


「ああ。主戦力の一人だ。期待している」



 ? 何でだろう? 女子がいると士気が上がるとか、そういった類の理由なのか?



「木下秀吉だっている」



 男に興味はない。



「当然俺も全力を尽くす」


『確かになんだかやってくれそうな奴だ』


『坂本って、小学生の頃は神童とか呼ばれていなかったか?』


『実力はAクラスレベルが二人もいるってことだよな!』



 いけそうだ、やれそうだ、そんな雰囲気がクラス内に満ちている。クラスの士気は確実に上がっていた。



「それに、吉井明久だっている」



  ……シン――



 そして一気に下がる。



「ちょっと雄二! どうしてそこで僕の名前を呼ぶのさ! 全くそんな必要はないよね!」



 教室内が静寂に包まれる中、雄二に名前を呼ばれた、吉井明久が勢いよく立ち上がる。



『誰だよ、吉井明久って』


『聞いたことないぞ』


「そうか。知らないようなら教えてやる。こいつの肩書きは ≪観察処分者≫ だ」



 観察処分者……文月学園の学校案内にそんなキーワードがあったような……。



『……それって、バカの代名詞じゃなかったっけ?』



 記憶の糸を辿っていると、クラスの誰かがそんな台詞を口にした。
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