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若様の優雅なインペルダウン生活

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
目次

海軍のとある会議の議事録(超極秘) その1

(日時)×月×日 ×時×分 (出席者)担当部署の中将および少将准将 計4名

【中将1】:先日起こった、インペルダウン勤務の看守が一時行方不明になった事件について、担当者からその経緯と結果の報告をお願いします。

【少将1】:まず、行方不明になったインペルダウンの看守の経歴についてご説明いたします。性別は男性、年齢は36歳、インペルダウンに就職したのは、今から16年前の二十歳の時です。特別室担当ということから、就職する以前の身分については、お察し頂けるかと存じます。

この看守は、×月×日の朝、インペルダウンからフニャララ島への定期船に乗って、一週間の予定で出張に出ました。出張の目的は、特別室に飾る風景画の買い付けです。

1日半後の×月×日夜、予定通りフニャララ島に到着。

翌日午前10時、定期船の乗組員が利用している宿舎から、取引きを予定していた画廊に一人で外出。この時、画廊のほうから馬車で迎えがあったそうです。
しかし、帰舎予定の同日17時を過ぎても帰らず。同21時、定期便の乗組員たちが周囲や繁華街を捜索したが、発見ならず。

翌日9時、インペルダウンのハンニャバル署長に、定期船乗組員の担当者から、当該看守が帰ってこない旨が連絡されました。
この担当者は当該看守の経歴等を知らされていないため、ハンニャバル署長への連絡しか行っておりません。

同日9時半、ハンニャバル署長から、フニャララ島海軍支部に捜索願が出されました。
担当職員が捜査した結果、画廊は架空のものであったことが判明。その後は、当該看守が乗ったとされる馬車の行方を中心に捜索するも、発見には至りませんでした。

そして行方不明から4日後、本人からハンニャバル署長に電伝虫で連絡があり、2日後に取引き予定だった画商の船で無事にインペルダウンに帰署しました。

美しい風景画を求める熱意のあまり、その画商の絵の保管庫がある島まで、つい遠出をしてしまったというのが本人が話した理由です。職務中に連絡もなく予定外の行動を取ったことに対し、ハンニャバル署長は数日間の謹慎処分を考えているようです。

この件に係わった画商ですが、今のところは特に罪には問われておりません。画廊が架空だったことについては、当該看守が「勘違い」したことになっています。初めから、画廊ではなく、船に乗せて他の島に連れ出す予定だったと。
この件はこれで解決となっております。報告は以上です。

【中将1】:画廊が架空だったのは看守の勘違いか…。ふう~む…。

【少将2】:え~、この件に関連しているであろう出来事が、2件ほどありますので、ご報告します。
まず、この事件の最中、州知事官邸の迎賓宿泊室が外部者に貸し切られております。あくまで推測ですが、日付けが一致することと、室内で乱闘があった形跡が残っていたことなどから、何らかの関連があると思われます。

【中将1】:ちょっと待て、貸し切ったのは誰だ?

【少将2】:え~、州知事官邸側は、貸し切った人物の名前までは明かしておりません。ただ、しつこく追及したところ“断ることができない人物”であることをポロリと漏らしました。

【中将1】:…了解した。

【少将2】:え~、もう1件についてご説明いたします。こちらは関連が明白です。
×月×日…この日付は、当該看守が行方不明になる1日前であります。当該看守の父親から、海軍本部に「明日、フニャララ島付近の海上で親族間の争いがあるが、一切の介入を不要とする」という要請がありました。

予告通り、翌日未明、フニャララ島近海でこの家系の紋章である“空高く扇をかかげるマヌルネコとヨツコブツノゼミ”のマークを付けた船同士の戦闘が勃発。この戦闘は周辺の広い海域まで展開され、終結まで4日を要しました。

戦闘が行われていた4日間、海軍本部は海軍の全ての船に対して、この海域に船を入れないように通達を出しています。

幸いにも、この戦闘による外部への大きな被害はありませんでしたが、いくつか気になることが起こりました。この戦闘の詳細を、准将1から報告してもらいます。

【准将1】:自分は海軍本部から命令を受けて、この戦闘の様子を秘かに観察しておりました。
戦闘が勃発したのは、×月×日午前4時、フニャララ島から東に80キロの地点であります。
襲撃を受けた船は1隻。船に掲げられていた2枚目の旗の意匠から、この家系の第3分家の第一夫人、つまり当該看守の母親に当たる人物が乗船していたものと思われます。

襲撃を行った船は2隻で、この2隻も“空高く扇をかかげるマヌルネコとヨツコブツノゼミ”の旗を掲げてはいましたが、傭兵部隊だと思われます。
この傭兵部隊を雇用した人物ですが、その後の状況などから、第3分家の当主、つまり当該看守の父親…義理ですが…に当たる人物と推測されております。

【中将1】:…。

【准将1】:初めのうちは襲撃を受けた側が劣勢でしたが、同日13時、第一夫人の船からの反撃により襲撃側の1隻が撃沈。
これと同時に、第一夫人の船が航路を大きく変更して全速力で航走したので、当初は退却したと考えられておりました。残った襲撃側の1隻も、ある程度で追撃を中断しております。

しかし、4時間後、第一夫人船が航路上で出会った同家の船1隻に対して攻撃を開始。襲撃された船には、第3分家の当主が乗船していたことが後に確認されております。
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