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若様の優雅なインペルダウン生活

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
目次

ドフラミンゴの日記 その3

×月×日
日を増すごとに体力と気力が戻ってくる。やはり、おれの体が新しい海楼石に慣れてきているのだ。

こんなふうに段階的に純度の高い海楼石に変えていったら、それだけで鍛えることになるかもしれない。限界はあるだろうが。

退屈なので、一日中新聞を読んで過ごす。くたばっていた間に読まないでいた分にも手を出す。
あまり元気そうでないほうがいいかもしれないが、看守がマゼランに告げ口しなさそうに見えるのは、単なるおれの希望的観測だろうか。


×月×日
朝から腹が減っている。だが、食う量で体調の良し悪しを測られるのもあれだから、ガツガツ食うのはもうしばらく控えることにする。

今朝の朝食は、飲み物(コーヒーを選択)、挽き肉とマッシュルームの具が入ったオムレツ(これは向こうから出されたもので、おれがオーダーしたものではない。だが不満はない)、トースト、ヨーグルトだった。

昼食はスープ(ミネストローネ)とパン。
夕食はホウレン草のクリームスープとパン、生野菜のサラダ、ローストした骨付きの鶏の脚。

正直、これだけじゃ全然足りねえ。
ダイエットが必要な奴にはいいかもしれねえが、もともとおれにはそんなもんは必要ない。


×月×日
なぜか出される飯の量が増えた。有り難いがタイミングが良すぎて不思議な気分がする。だが、罠という訳でもなさそうだから全て平らげる。

朝食:飲み物は紅茶を選択。大皿に盛り付けられたスクランブルエッグとベーコンとソーセージ、フライドオニオン、生野菜。量も比較的多め。パンもトーストの他に数種類、果物、ヨーグルト

昼食:ブイヤベース、パン数種

夕食:スープ(エビのビスク)、パン数種、魚料理(サーモンのマリネ)、肉料理(ラムのグリル)、サラダ(マッシュポテトとピクルス)、チーズ、デザート(クリームブリュレ)、苺、コーヒー
前菜がなかったのは予算削減の影響か。ワインはあった。酒は久しぶりだ。


×月×日
今朝はいつも朝の時間帯を担当する看守でなく、10時から夜まで担当している二人うちの、四角い顔のほうがいた。いつもの看守は月に一度の休みの日だそうだ。月に一度しか休みがないのはご苦労なことだ。

朝食:飲み物はコーヒー(モカ)を選択、チーズとハムとレタスのサンドイッチ、温野菜とスパニッシュフライドエッグ、バナナ、ヨーグルト
昼食:ブロッコリーのクリームソースのニョッキ
夕食:スープ(インゲン豆のポタージュ)、パン、サラダ(人参とオニオンのサラダ)、魚料理(金目鯛のポワレ)、肉料理(ローストポーク)、チーズ、デザート(洋梨のタルト)、コーヒー

10時からは丸顔の看守が来た。

風呂の日だったが、海楼石が変わってから湯舟に長い時間浸かっていられない。


×月×日
今朝はいつもの看守がいた。この看守は他の二人より年が上で、おそらく60歳前後ではないかと思われる。他の二人は四角いほうが50代前半、丸いほうが40代後半~半ばくらいか。
ちなみに、この看守の顔は三角形だ。

今朝の朝食は、紅茶(ダージリン)、ポーチドエッグ、ソーセージとベーコン、ソテーしたマッシュルーム、ピクルス、トースト、りんごと葡萄

一日ぶりに顔を見る看守に、食事のことを質問した。
「数日前から食事の内容が良くなったが、予算を削られたんじゃなかったのか?」

看守はちょっと意外そうな顔をした後、にこやかに答えた。
「そのようなことを気にする必要はございません。そこまで予算を削られた訳ではありませんし、あの数日間は食欲がなさそうでしたので」

「つまり、予算じゃなく、おれの腹の具合を見てああしてたってことか」
「差し出がましいことをいたしました」
「ふん」
こいつの態度は慇懃過ぎて、かえって気味が悪い。

「予算が当初よりも少なくなったのは事実です。飲み物はこれまで通りオーダーが可能ですが、料理のほうは…」
「別に構わねえ」
「または事前にご希望を言っておいていただければ、可能な限りではありますが、対応できるかと思います」
「ずいぶん気を使ってくれるんだな」

下にも置かないようなこの待遇の良さは、一体何なのだろう。

(囚人でも天竜人や元天竜人であれば、こういう扱いなのか?)
以前、マゼランにしたのと同じ内容の質問をしてみようかとも思ったが、やめておいた。こいつらがおれのことをどのくらい知っているのか分からないし、知らないならわざわざ教えてやることはない。

「まだ名前を聞いていなかったな」
質問の代わりに名前を訊ねると、三角顔はうやうやしく答えた。
「カスターとお呼びください」

ものは試しに、カスターにいくつかの要望を出してみた。
「おれの好物はロブスターだ」
「かしこまりました」
「肉の焼き方は特別な場合を除いてウェルダンにしてくれ」
「承りました」

カスターが何と答えるか興味が出てきて、ついこんなことを言ってしまった。
「日中、退屈だ。チェスの相手をしろ」
「さすがにそれは…」
「マゼランにバレなきゃ別に構わねえんじゃねえか?」

カスターはちょっと黙ってから静かに言った。
「私以下他の二人も、召使いではなく看守です。くれぐれもお忘れなきよう…」

「ちょっとは気晴らしがあったほうが、囚人は大人しくしてると思うぜ?」
「…」

おっと、いかん。調子に乗ってしまった。挑発になってしまってはいけない。
今日は静かに新聞を読んで過ごそう。
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