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降谷・風見『『凄い集中力だな…』』
そしてその数分後
「よーしー!終わったぁぁあ!!!」
降谷「は。」
ぐっと伸びをして達成感にあふれた顔をする彼女に降谷は心の底から何なんだこいつはという意味が込もった声が漏れた。
「あ、降谷さ!…ん…風見さんも早いですね。おはようございます」
先程までの元気の良さはどこに行ったのか。
昨日剛田に言われた言葉をしっかりと気にしているようで口元だけで作った笑顔で静かなトーンで2人に挨拶をするとまた新たな仕事を始めようとした。
仕方なく降谷も自分のデスクに向かった。
3人とも無言のままキーボードを叩く音だけが部屋に響いていた。
しばらくすると他の者達も登庁してきたらしく、部屋はあっという間に騒がしくなった。
朝礼が終わり各自が仕事を始める前、美弥妃は全員を呼び止めた。
「皆さん、少しいいですか」
きのうとはうってかわってヘラヘラとではなく、真顔でそう言う彼女に降谷と風見以外は一瞬怯んだ様子だったがすぐに偉そうな態度に戻った。
剛田「何ですか。」
「現場の仕事をお任せしたいので1週間後、現場に同期して頂けないでしょうか。同行出来ない方のみ挙手をお願いします。」
誰一人として手を挙げるものはいなかった。
「では皆さんに同行していただけると言うことで計画を進めたいと思います。今回は拳銃、劇薬密輸組織を取り押さえます。組織についての資料をお配りしますので目を通しておいてください。彼らのアジトについての調べは大方終わっていますが、まだ確実ではありませんのでくれぐれも当日まで勝手に動かないようにお願いします。明日、当日の動きをまとめた資料を配布しますので改善点があれば遠慮なく申し出てください。以上です。」
そう言い終えると全員の机を回って資料を配布し終えると美弥妃は車のキーと荷物を持って現場に行くと一言。走って本部を出て行った。
降谷は今日も彼女の代わりに部下達に仕事を振り分けようと思い彼女のデスクを見たがそれも全て終わっていた。
降谷『…この量を一人で…寝不足の様子もなかったことからすると朝の朝礼前の2.3.時間で仕上げたと言うことか…。それなりに出来る人だからか…それとも相当な鬼上司の下で働いていたか…』
降谷は彼女の仕上げた資料を見ながらそんなことを思っていた。
定時になり部署内のほとんどの人間が帰り支度を始めた頃、丁度美弥妃がコンビニの袋を片手に戻ってきた。
すれ違うように帰って行く部下にお疲れ様ですと律儀に挨拶をすると鞄とコンビニの袋を雑にデスクに置いてスマホを片手にまた本部を出ようとしていたがその足はピタリと扉の前で止まった。
"てか、今日の矢神サン見たか?あれ、絶対剛田に言われたこと気にして強がってただろ!"
"そうそう!現場に回すとか急に言い出すし!ばっかじゃねーの?って感じ!!"
"誰もあんたのいう通りに動かねーよって感じだよな!"
"そうそう!当日は俺達に手柄をとられておしまいだっての!"
"あ、でも降谷さんに見つかったらどうするんだ?"
"なーに、手柄さえあげてしまえば結果オーライ!降谷さんも怒んねーよ!"
"ははは!そうだな!俺たちが手柄をあげればあいつの立場も変わるんじゃねーか?そうなれば最高だな!"
"あんな俺らよりほぼ一回りも歳下が上司とかやってらんねーよな!大して仕事もできなさそうだし!"
廊下で大声で話しているのが扉のまえでなくとも聞こえてきていた。
それを聞いていた彼女は俯いたまま何かを小声で呟いた。
「Schei……e…!」(日本語訳:クソ!)
そして声が遠ざかったと同時に扉を少し乱暴に開けると何処かに電話を掛けながら出て行ってしまった。
降谷「風見、今矢神さん、何か言わなかったか?」
風見「独り言みたいでしたけど…シャイセ?とか何とか…」
降谷「シャイセ…」『何処かの外国語か…?』
どこの国の言葉だろうと降谷が考えていると美弥妃の声であろう怒号が聞こえてきた。
「Halt die Klappe! …………Halt dai Maul!」
(ハルト ディ クラッペ!ハルト ダイ マウル! 日本語訳:煩い!黙れ!)
普段の彼女からは想像もつかないような大声で、降谷と風見は驚いて顔を上げ、二人で顔を見合わせた。
怒号はそれを最後におさまり、少しすると何事もなかったかのように美弥妃は戻ってきた。
降谷「ドイツ語…話せるんですね」
降谷は戻ってきた彼女を扉の前で待ち構えてそう言った。風見は自分の仕事をしていたが二人の様子が気になってチラチラと二人を見ながらキーボードを叩いていた。
「すみません、汚い言葉を聞かせてしまいましたね…」
降谷「意味まではわかりませんでしたよ。ただ何かに怒っているようでしたが。今回の件と何か関係でもあるんですか」
「いえ、今回の件で調べてもらいたいことがあったので…(公安(ココ)には調べてもらえる知人などいませんので…学生時代の友人に頼んだのですが、ドイツ語しか通じないもので…」
そしてその数分後
「よーしー!終わったぁぁあ!!!」
降谷「は。」
ぐっと伸びをして達成感にあふれた顔をする彼女に降谷は心の底から何なんだこいつはという意味が込もった声が漏れた。
「あ、降谷さ!…ん…風見さんも早いですね。おはようございます」
先程までの元気の良さはどこに行ったのか。
昨日剛田に言われた言葉をしっかりと気にしているようで口元だけで作った笑顔で静かなトーンで2人に挨拶をするとまた新たな仕事を始めようとした。
仕方なく降谷も自分のデスクに向かった。
3人とも無言のままキーボードを叩く音だけが部屋に響いていた。
しばらくすると他の者達も登庁してきたらしく、部屋はあっという間に騒がしくなった。
朝礼が終わり各自が仕事を始める前、美弥妃は全員を呼び止めた。
「皆さん、少しいいですか」
きのうとはうってかわってヘラヘラとではなく、真顔でそう言う彼女に降谷と風見以外は一瞬怯んだ様子だったがすぐに偉そうな態度に戻った。
剛田「何ですか。」
「現場の仕事をお任せしたいので1週間後、現場に同期して頂けないでしょうか。同行出来ない方のみ挙手をお願いします。」
誰一人として手を挙げるものはいなかった。
「では皆さんに同行していただけると言うことで計画を進めたいと思います。今回は拳銃、劇薬密輸組織を取り押さえます。組織についての資料をお配りしますので目を通しておいてください。彼らのアジトについての調べは大方終わっていますが、まだ確実ではありませんのでくれぐれも当日まで勝手に動かないようにお願いします。明日、当日の動きをまとめた資料を配布しますので改善点があれば遠慮なく申し出てください。以上です。」
そう言い終えると全員の机を回って資料を配布し終えると美弥妃は車のキーと荷物を持って現場に行くと一言。走って本部を出て行った。
降谷は今日も彼女の代わりに部下達に仕事を振り分けようと思い彼女のデスクを見たがそれも全て終わっていた。
降谷『…この量を一人で…寝不足の様子もなかったことからすると朝の朝礼前の2.3.時間で仕上げたと言うことか…。それなりに出来る人だからか…それとも相当な鬼上司の下で働いていたか…』
降谷は彼女の仕上げた資料を見ながらそんなことを思っていた。
定時になり部署内のほとんどの人間が帰り支度を始めた頃、丁度美弥妃がコンビニの袋を片手に戻ってきた。
すれ違うように帰って行く部下にお疲れ様ですと律儀に挨拶をすると鞄とコンビニの袋を雑にデスクに置いてスマホを片手にまた本部を出ようとしていたがその足はピタリと扉の前で止まった。
"てか、今日の矢神サン見たか?あれ、絶対剛田に言われたこと気にして強がってただろ!"
"そうそう!現場に回すとか急に言い出すし!ばっかじゃねーの?って感じ!!"
"誰もあんたのいう通りに動かねーよって感じだよな!"
"そうそう!当日は俺達に手柄をとられておしまいだっての!"
"あ、でも降谷さんに見つかったらどうするんだ?"
"なーに、手柄さえあげてしまえば結果オーライ!降谷さんも怒んねーよ!"
"ははは!そうだな!俺たちが手柄をあげればあいつの立場も変わるんじゃねーか?そうなれば最高だな!"
"あんな俺らよりほぼ一回りも歳下が上司とかやってらんねーよな!大して仕事もできなさそうだし!"
廊下で大声で話しているのが扉のまえでなくとも聞こえてきていた。
それを聞いていた彼女は俯いたまま何かを小声で呟いた。
「Schei……e…!」(日本語訳:クソ!)
そして声が遠ざかったと同時に扉を少し乱暴に開けると何処かに電話を掛けながら出て行ってしまった。
降谷「風見、今矢神さん、何か言わなかったか?」
風見「独り言みたいでしたけど…シャイセ?とか何とか…」
降谷「シャイセ…」『何処かの外国語か…?』
どこの国の言葉だろうと降谷が考えていると美弥妃の声であろう怒号が聞こえてきた。
「Halt die Klappe! …………Halt dai Maul!」
(ハルト ディ クラッペ!ハルト ダイ マウル! 日本語訳:煩い!黙れ!)
普段の彼女からは想像もつかないような大声で、降谷と風見は驚いて顔を上げ、二人で顔を見合わせた。
怒号はそれを最後におさまり、少しすると何事もなかったかのように美弥妃は戻ってきた。
降谷「ドイツ語…話せるんですね」
降谷は戻ってきた彼女を扉の前で待ち構えてそう言った。風見は自分の仕事をしていたが二人の様子が気になってチラチラと二人を見ながらキーボードを叩いていた。
「すみません、汚い言葉を聞かせてしまいましたね…」
降谷「意味まではわかりませんでしたよ。ただ何かに怒っているようでしたが。今回の件と何か関係でもあるんですか」
「いえ、今回の件で調べてもらいたいことがあったので…(公安(ココ)には調べてもらえる知人などいませんので…学生時代の友人に頼んだのですが、ドイツ語しか通じないもので…」
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